「食事バランスガイド」京弁当試食会
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当日の「食事バランスガイド」京弁当の内容: |
前日の、勝野美江さん(農林水産省消費・安全局消費者情報官補佐)参加による食育講座「間違いだらけの食生活〜〜農水省キャリア女性官僚が同大生と語る」に引き続き、「食事バランスガイド」京弁当の試食会が開かれました。
まず「食事バランスガイド」とはなにか? について、西村和代さん(同志社大学総合政策科学研究科)から説明がありました。
「食事バランスガイド」とは、一日に「何を」「どれだけ」食べたらよいかを、コマのイラストでわかりやすく説明したもの。そのコマが食事のバランスが崩れると傾いてしまうことや、コマを安定して回転させるように、人間にも適度な運動が必要なことなどを、スライドも使いながら手際よく説明していきます。
「主食が女性なら4-5つ(SV)って、意外とごはんが食べられると思いませんか?」「お豆料理は副菜ですが、大豆・大豆製品の料理は主菜なんです。冷奴、たしかにボリュームありますよね」など、西村さんの感想もまじえたわかりやすいお話に、会場の方はうなずきながらきいていました。
![]() 西村和代さん(同志社大学総合政策科学研究科)が説明する「食事バランスガイド」 |
今日のお弁当は、「近又」、「草喰なかひがし」、「繁なり」、「リストランテ・ストラーダ」、「エヴァンタイユ」、「平八茶屋」、「滝本将博(京都ブライトンホテル)」、「上島康二(元京都ホテルオークラ)」、「長澤農園」、「大徳寺真珠庵」、「京都府立大学食事学研究室」(順不同、敬称略)といった、京都を代表する料理人たちの協力でできあがったもの。
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当日は、「京弁当」の中味とサービング数を示したスライドを使って |
当日は料理人代表として、「繁なり」の高木隆慈さん((株)二和佐 専務取締役)が登場、その中味を説明されました。この京弁当は和洋折衷で、和風の部分は高木さん、洋風は滝本さんのお料理です。
高木さんはまず「ふたを開けてみてください」と、会場のお客さんを促します。「わぁ! きれい」、と歓声をあげる人、すかさず携帯を取り出して中味を撮影する人など、会場の雰囲気が一気に華やぎました。
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お弁当に華やぐ会場 |
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その様子を高木さんは「つくった甲斐があります」とニコニコしながら、説明を始めました。
「見ていただくとわかりますが、大根の煮物を真ん中にしつらえてあります。これは、同志社大学の大原にある農場(農縁館・結の家)でとれたものなので、ぜひ主役におこうと決めていました。生で食べても甘くみずみずしいものを、前の晩から柚子を細かく切って入れた出し汁に浸けてあります。だから食べるとほんのり、柚子の後味が残ると思います。
ほうれん草は、長澤農園(京都市内で17代続く農家で、無農薬・有機栽培をおこなっている)のもの。カニの甲羅で出しをとり、さらにかつお節の出しをあわせて染ませました。
マリネは、ブライトンホテルの滝本さんにつくっていただいたのですが、試作段階では生野菜のサラダだったんです。でもそれでは野菜がたくさん食べられないということで、マリネに変更することになりました。
こういう企画は初めてでしたが、不思議なもので、旬の素材・食べ合わせのよいものを組み合わせて献立を考えると、自然にバランスのとれたものになっていくんですね。日本の食事はよくできているもんやなあと、あらためて見直すよい機会になりました。
また、お弁当は限られたスペースで、色合い・カロリーとの兼ね合いを考えながら世界をつくっていきます。ふたを開けておいしそう、と思っていただけるかが勝負。だから、今日のように写真を撮っていただく姿を間近で見られて、本当にうれしいです」
と、お話をされました。
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みずみずしい大根はお重の中心に |
野菜たっぷりのマリネ |
お弁当の美しさ・おいしさに魅入られたのか残す人はほとんどなく、口福(おいしいものを食べて感じる満足感)をつくるのは「人の手」だということが、実感できる企画となりました。
高木さんからはさらに、今回の企画や食への取り組みについて、お話をうかがうことができました。
「このお話をいただいてから、だいたい1ヶ月ほどで、今日の日を迎えることができました。だから完成したのが実は、3日前だったんです(笑)。いろいろ条件をいただいたのですが、まず、ご飯の量だけ決め、「食事バランスガイド」のことは一切忘れて献立を立てることにしました。そうでないと、手がちぢこまってしまいますから。ただ大根の煮物とひじき煮は、必ず入れよう、と思っていました。お弁当は水分の多いものがやはりおいしいんです。
どうしても主菜が多くなるので苦労しましたが、たいへん勉強になりました。
洋風をつくってくださった滝本さんとは、この企画で初めて一緒に仕事をすることになったのですが、奇しくも同い年。力を合わせてやっていたので、最後の方はずいぶん仲良くなりました(笑)。
食べてくださった方には、よかった・おいしかった、と賞めていただくよりは、できれば厳しいお叱りをいただいて、次につなげていきたいです。ハードルが高ければ高いほど、できたときに大きな力になりますから」
と、当日の参加は叶わなかった滝本さんのことも気遣いつつ、お話をされる姿が印象的でした。
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「繁なり」の高木隆慈さん((株)二和佐 専務取締役)がお弁当の中味を説明 |
また(日ごろのお仕事とくらべて)、とまどうことはなかったですか、と質問してみたところ、いえいえ、日ごろから小学生に出前授業をしているんですよ、とのお答え。
「最近の子どもたちは、食べることに対しての感動が少ないのが残念なんです。そこで子どもたちに味覚教育をということで、先日は小学3年生に、「出しの味」を知ってもらう授業をしました。これは、日本料理アカデミーと京都市教育委員会が協力しておこなっています。
まず、お湯を口に含んでもらいます。次に昆布出し、そこにかつお節を足し、最後は塩・しょうゆで味付けをし、と味のないお湯→お吸い物に変化するまでの味の過程をひとつひとつ、味わってもらいます。「おいしい!」って言葉や、いろんな反応がでるのがほんま、おもしろいです」
昔からこういった試みをされていたのですか、という質問には、
「20代の終わりに命にかかわるほどの大怪我をしたことが、私の転機になっていますね(だいぶやんちゃもしましたから・笑)。日本に四季があるように、身体も一年をかけてゆっくりと治っていくことも実感しましたし、日々の移ろい、極端にいえば紅葉の色が一日一日違うといったことにも敏感になりました。今こうやっていられるのは、食の楽しさを伝えていきなさいよということで、生かされているのかもしれません。
お店でも長いこと通ってくださっているお客さんが、(お年を召して)さまざまな食事制限を受けるのだけど、それでも食べるのが楽しみで、といわはる。そういうお客さまへの恩返しだと思っています」
と、高木さんの食への思いが聞き手にも伝わるお話となりました。
「食べることに、子どもたちが感動してほしいのです」と語る、高木さん |