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1 農林水産大臣賞 <教育分野> 綾南町立滝宮小学校 表彰事例発表

「子どもが作る「弁当の日」」

発表者:香川県 綾南町立滝宮小学校 前校長 竹下和男さん(現・国分寺町立国分寺中学校 校長)

 この実践は、子どもを変えるためにするのではありません。子どもは今の環境の中で環境に添った育ち方をしている。だから、大人を変えて社会を変えれば、私たちが描く本当に生き生きとした子どもたちが当然芽生えてくるに違いない。
 結果として、本当にたくさんの元気を子どもたちからもらいました。そのことをとても喜んでいます。

「弁当の日」の3つの原則

 今、滝宮小学校の「弁当の日」は3年目に入っています。
 「『弁当の日』というのを実践します」と、私が13年4月のPTAの総会のときに話をすると、「えー」という声が聞こえてきました。母親たちは、これは大変なことだと、どうして学校給食があるのに弁当つくらないといけないんですかという意味の「えー」なんです。その説明のなかで、「弁当の日」には3つの原則があることを話しました。
 1つめは、子どもたちが献立を立てて食材を買いに行って、自分で朝早く起きて調理をして、弁当箱に詰めて、それを提げて登校時間に学校へ来なさい。その日は給食をストップするんです。この「子どもたちがつくる、親たちは絶対に手伝わないでください」、これが1つめの原則です。
 2つめの原則は、対象は5年生、6年生のみ。1年生から4年生は、普通どおり給食を食べます。なぜ5年生、6年生にするかというと、家庭科の授業があるからです。だから、保護者の人には、弁当づくりに必要な基礎的な知識、技術、それは学校が教えます、お母さんたちは教えなくてもかまいませんと話しました。
 3つめの原則は、実施は10月の第3金曜日。4月から始めるんじゃないのです。「弁当の日」の第1回目がスタートするまでに、半年間の余裕があります。半年間の猶予をおいた、月1回なんです。10月、11月、12月、1月、2月の年5回です。
 この3つが、『子どもが作る「弁当の日」』の原則です。

大人が変われば子どもは変わる

 基本的なことについては学校で教えますが、あと現実に自分が弁当つくらなければお昼ごはんが食べられないという状況にもっていくと、子どもが育ちます。私は、それを生きる力と考えています。知識や技術は、これは学校のなかで黒板を使ったり資料を使ったり話をしながらいけるんですが、身につけないと一人前になれない、その思いが子どもたちを育てます。
 親が手伝わないというのは、手伝わないことで育つということを知ってほしかったからです。子どもは、みんな一人前になろうとしています。自立をしようとしています。その、しようとしているのを一生懸命阻害しているのは、過干渉の親だったり、放任の親なのです。

「通過儀礼」が子どもを育てる

 それから、5年生、6年生のみを対象にしたことについて。これを思いついたのは、実は滝宮小学校の運動会は4年生の種目がいつも一輪車なのです。子どもたちは3年生の運動会がすんだら、翌日から一輪車に乗る練習を自分から始めます。4年生の運動会までに一輪車に乗れるようになっていないと格好悪いという思いが、一人前になりたいという本来的DNAの中に盛り込まれている力を活性化させます。そういう通過儀礼という方法も、私は教育における不易の部分だと思っています。
 だから、1年生から「弁当の日」を実施するつもりはまったくありません。滝宮小学校の先生方に聞くと「もう滝宮小学校の子どもは、5年生になったら自分で弁当をつくれるようになっていなければいけないと思っています」と。 
 詰め込まれるんじゃなくて、自分から取りにいくという姿勢が、1年生から4年生の猶予期間としてある。そうであれば、学年をいたずらに下げる必要もない、5年生、6年生で十分やれる。
 年1回では、教育の方法として不易の部分が出てこないんです。1回だと親がつくってしまってそれで終わりになるという可能性があります。だけど、年5回ということになってくると、その都度親がつくっていたのでは格好がつかなくなる。子ども自身も格好がつかないんですよ。
 「弁当の日」を重ねるごとに自分の技術をレベルアップ。そういう力を高めていく機会を与えるために、月1回年5回というのは、有効な方法だと思っています。

(表彰式での発表を要約。文責・事務局)


 1 農林水産大臣賞 綾南町立滝宮小学校
 2 農林水産省 消費・安全局長賞 村田ナホ
 3 農林水産省 消費・安全局長賞 有限会社 茄子の花
 4 農林水産省 消費・安全局長賞 那賀町有機農業実践グループ

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