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3 農林水産省 消費・安全局長賞 <食品産業分野> 有限会社 茄子の花 表彰事例発表

「食卓コミュニケーションのトータル提案」

発表者:島根県松江市 (有)茄子の花 村上由佳子さん

■今、子どもたちに一番伝えたいこと

 私たち有限会社茄子の花は、平成11年4月に立ち上げました。島根県というところは非常に高齢化率の高い地域で、当初は島根県の中高年やお年寄りの知恵や経験を子どもたちの教育に生かしていきたいという理念を持って立ち上げました。ですが、地元のお年寄りの方々とさまざまな事業を通してふれ合っていくなかで、例えば農山漁村の方たちや、加工場で働くおばあさんたちとじかにお話をさせていただくなかで、今子どもたちに一番伝えたいことは正しい食文化なのではないかということに気づきました。
 今は、昔に比べ、家族全員で食卓を囲む時間が非常に少なくなってきています。こういったなかで心のバランスを崩してキレてしまう子ども、そういうことが起こる一つの原因に、食卓でのコミュニケーションが希薄になっているのではないかということに気づいたのです。
 また、最近の大手食品メーカーによる不正などから、食の安全性に対する不信感が広がっており、私たちは安心・安全な食、そして昔から伝わる食習慣を見直していく必要があると強く感じております。こういったことがきっかけで、現在ではどちらかというと「子どもと食」にだんだん焦点が移行してきており、食育事業を独自の視点で展開しております。

■食の専門家グループ「子どもと食の楽会」立ち上げ

 食というのは、私たちの生活に最も根づいたテーマであり、かつすべての世代に共通したテーマであると思っています。私たちは未来ある子どもたちのために、そしてその子どもたちを生み育てる親世代のために、食を通じて、楽しくそして安全な暮らしを提案していきたいと思っています。
 私たちの食育の事業に大きな四つの柱があります。まず一つめが「子どもと食の楽会(がっかい)」の立ち上げと運営です。私たちは、平成14年に子どもと食に関するさまざまな分野で活躍をしている専門家のグループを立ち上げました。私たちの、子どもたちに安心・安全な食を伝えたい、そして食が生み出すコミュニケーションを伝えていきたいという思いに賛同する方がいろいろな方面で集まってくださり、会員数が20名になります。
 日ごろから食や子どもとかかわる専門的な立場で活躍している方がほとんどで、管理栄養士、調理師、精神科医、小児科医やフ−ドコーディネーターといった方たちが中心になりこの活動を広げております。主な活動内容は、食育をテーマにした企画提案、子育て中のお母さん方を対象に専門家の立場からの情報提供やアドバイスといった子育てサポートです。定期的に会を開き、ここでの意見や思いが、私たち茄子の花の食育事業のベースとなっています。

■レストランから食育講座まで「子育てトータルスペースTonTon」

 二つめに、「子育てトータルスペースTonTon」を拠点とした活動があります。私たちは、平成14年に松江市内の古い商店を改装して、「子育てトータルスペースTonTon」をオープンしました。子どもに優しく、安心・安全な食を提供したいという思いで、お子様ランチを専門に提供するレストランとしました。ここでは、地元の食材や無農薬野菜を使った子ども向けのランチや、お父さんお母さん向けのパパママランチといったものを食べてもらえるようになっており、地元のお母さん方には、子連れでも気兼ねなく外食ができるスペースとして非常に親しまれています。
 この子育てトータルスペースという場所を使って、平成14年の秋より定期的に「食育ってなあに?」という食育講座を開催しています。この食育講座は、子育て中のお母さんを対象に行ないます。対象となる子どもさんの年齢は0歳から3歳くらいまでと、小さい年齢の子どもさんが中心です。
 毎回、おにぎりづくり、おだんごづくり、野菜の皮をむいたりといったごく簡単な調理を親子でいっしょに取り組みます。日ごろお母さん方は、台所が汚れるとか、服が汚れるといったことを気にするので、なかなか家庭でそういった体験を子どもたちにさせるとことが難しい状況があります。このスペースでは、子どもたちがご飯粒でべたべたにしてしまっても、洋服を汚してしまっても、まったく気にせず、お母さん方もとても楽しんでこの会に参加してくださっています。
 最初は、私たちもこれだけ小さな子どもに対して、こういう講座を行なうというのが、果たして本当にうまくいくのだろうかという不安もありました。なかなか人が集まらなず、企画倒れになった講座も何回かありました。実際に開始してから1年ちょっとたちますが、今は毎回予約でいっぱいという状況がずっと続いています。1歳や2歳の子どもたちが包丁を握ったり、鍋をかきまぜたりという作業を通して、子どもたちの目が非常に輝いていくというのをお母さん方も間近に見て、食の大切さ、楽しさというのを子どもといっしょに味わいたいと、強く思ってくださっています。
 平成14年の秋から、この「食育ってなあに?」を開催していますが、現在延べ100組の親子が参加しています。1回の参加定員がだいたい7〜8組の親子と小規模のイベントですが、こういった地道な活動から、親と子が食を通じて心のつながりをもっともっと深めていく、こういう方向でこれからも展開していきたいと思っています。

■食の専門家グループ「子どもと食の楽会」立ち上げ

 食というのは、私たちの生活に最も根づいたテーマであり、かつすべての世代に共通したテーマであると思っています。私たちは未来ある子どもたちのために、そしてその子どもたちを生み育てる親世代のために、食を通じて、楽しくそして安全な暮らしを提案していきたいと思っています。
 私たちの食育の事業に大きな四つの柱があります。まず一つめが「子どもと食の楽会(がっかい)」の立ち上げと運営です。私たちは、平成14年に子どもと食に関するさまざまな分野で活躍をしている専門家のグループを立ち上げました。私たちの、子どもたちに安心・安全な食を伝えたい、そして食が生み出すコミュニケーションを伝えていきたいという思いに賛同する方がいろいろな方面で集まってくださり、会員数が20名になります。
 日ごろから食や子どもとかかわる専門的な立場で活躍している方がほとんどで、管理栄養士、調理師、精神科医、小児科医やフ−ドコーディネーターといった方たちが中心になりこの活動を広げております。主な活動内容は、食育をテーマにした企画提案、子育て中のお母さん方を対象に専門家の立場からの情報提供やアドバイスといった子育てサポートです。定期的に会を開き、ここでの意見や思いが、私たち茄子の花の食育事業のベースとなっています。

■安全安心な離乳食「あかちゃんどうぞ」

 三つめに、安心・安全な食をテーマとした商品提案と開発があります。平成15年7月に子どもに安心して食べさせられる市販の離乳食がほしいというお母さん方の声をもとに、オリジナルの商品として、離乳食「あかちゃんどうぞ」を発売いたしました。この商品は、基本的に添加物を使わず、原材料は国産のみと子どもに安心して食べさせられる離乳食になっています。離乳食というのは、お母さんの手作りがやはりいちばん理想的だと思うんですね。ですけど、最近ではやはり働きながら子育てをするといった女性がたいへん増えており、家で毎日毎日離乳食をつくることが非常に困難な状況ができています。
 そういったなかで、仕方なく市販のベビーフードに頼らざるを得ないといったお母さん方が多いのです。そういうお母さん方に、安心して子どもに食べさせられる商品があれば、子育ての負担、心の負担を軽くしてあげられるのではないかと思い、この商品開発に至りました。
 平成14年の春に実際この構想ができ、市内で高級スーパーマーケットを経営している株式会社ふくしまに製造を委託し、何べんも試作を繰り返しました。私たちも食品を開発すること、株式会社ふくしまのほうでも離乳食という食品をつくることに対してまったく初心者という立場で、最初は手探りの状況から始めたんですね。何べんも何べんも試作を重ね、その都度地元のお母さんたちに集まっていただき試食をしてもらいました。そこで出た意見をまた次の試作に生かしていくといったことを重ね、構想から1年半をかけて、平成15年7月に最初の商品アイテム10品目を販売することができました。
 現在、松江市内のスーパー3店舗における店頭販売と、インターネットによる直接販売を実施しています。発売から半年近くがたっていますが、今現在、約8,000個の売り上げがあり、今は市内というよりは、どちらかというと都市部、県外の方からのニーズが高まっている状況です。
 私たちは、こういう商品をお届けすることで、全国のお母さんたちに安心・安全な食を届け、食に対する不安を取り除き、さらに心のゆとりを届けられればと思っております。また、こういう商品を世に出すことが、一人でも多くの方々に、今の食の現状、あとは食の大切さということを気づいていただくきっかけになればと願っております。

■WEBで子育て中のお母さんをサポート

 四つめの大きな柱は、子どもと食に関するさまざまな情報提供です。現在、私たちが取り組んでいる活動の拠点である松江市内に限らず、一人でも多くのお母さんたちや子どもたちに食の楽しさ、大切さということを伝えていきたいと考え、その一環として平成15年12月に子どもと食に関するWEBサイトを立ち上げました。これは、広島のカンドウコーポレーションという会社にプロデュースをお願いしているんですが、「おいしいheart.net」というタイトルのそのサイトは、子どもと食を一緒に楽しむこと、それと子育て中のお母さん方の心の負担を少しでも軽くしてあげたい、そして心のゆとりを食を通じてお届けしたいというのが主旨です。
 このサイトは妊娠中から就学前のお子さんを持つお母さん方が主な対象ですが、内容は、先ほどご説明した、「子どもと食の楽会」による専門家の立場での子育てQ&A、「あかちゃんどうぞ」をはじめとした安心・安全の食の提案と販売、さらには、子ども用の台所用品や食器といたような食コミュニケーショングッズの販売をしております。これらの商品というのは、一般のお母さん方の視点から選んで、私たち茄子の花が独自の基準を設け、それをクリアした商品だけをこのサイトに載せています。
 また、お母さん同士のコミュニケーションの場としての掲示板、月2回発行しているメールマガジンでの子育て情報の提供が主な内容になっております。
 基本的にこのサイトは会員登録制で、WEB上で簡単に会員登録をしてもらえますが、その際に子どもさんの年齢、性別だけではなく、離乳食がどのようにすすんでいるのか、そして子どもの健康状態、アレルギーがあるのか、そういう細かいデータを記入してもらうようになっています。
 そうして送られてきた個人情報をデータ管理し、その中から一人一人が必要とする情報を選び、メールでダイレクトにお届けしたり、それぞれの人に応じた商品を提案させていただくというきめ細かいサービスが可能になっています。このサイトを通じ、一人でも多くの全国のお母さんたちに子どもと食の楽しさを伝えていきたいと思っています。

■次は食育をすすめる人材育成へ

 最後に今後の展開ですが、現在松江市内の「トータルスペースTonTon」を拠点に開催している食育講座を、今後は例えばそれぞれの家庭において、あるいは県外の拠点において、同じような活動していきたいと思っております。今、私たちはスタッフ4名でやっていますが、それではとても手が足りなくなってしまいますので、今後は人材育成にも力を入れていきたいと思っております。
 私たちが考える茄子の花の食育というのをきちんと理解し、そして食育推進活動に携わってくださる人々を育てていくという事業を、私たちは食育コミュニケーター養成事業と呼び、現在はその内容について構想中です。早ければ、来年度の4月から開始したいと思っています。
 最後になりましたけれども、食というのは、やはりまさにその人の生き方が反映されていくものだと思っています。一人でも多くの子どもたちに、食の楽しさ、大切さ、そして食べることへの感謝の気持ちを伝えていくにはどうしたらいいかと考えるときに、私たちのアイデアはつきることがありません。これからも、私たち有限会社茄子の花は、家庭の食卓に心を育てるコミュニケーションを生み出すにはどうしたらよいかということを常に考えて、食育活動に携わっていきたいと思っています。食を通じて心豊かな子どもたちを育てていくこと、それが私たちの考える食卓コミュニケーション事業なのです。

(表彰式での発表を要約。文責・事務局)


 1 農林水産大臣賞 綾南町立滝宮小学校
 2 農林水産省 消費・安全局長賞 村田ナホ
 3 農林水産省 消費・安全局長賞 有限会社 茄子の花
 4 農林水産省 消費・安全局長賞 那賀町有機農業実践グループ

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