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3 農林水産消費・安全局長賞 <食品産業分野> 栄養食株式会社

「栄養相談・パネル展〜社員食堂で「大人の食育」活動〜」

発表者:栄養食株式会社管理栄養士 立花紀子(たちばなのりこ)さん

 我が社は東京都品川区で、60年余り給食事業を展開している会社です。お客様から高い評価と信頼を得ていると自負しております。おいしい食事・心のこもったサービス・完璧な衛生管理を徹底しまして、「継続は力なり」をモットーにして堅実経営をして参りました。企業社員食堂では「働く人に楽しい食事を」、学校・病院・老健施設では「集うところに楽しい食事を」。これが我が社の社是となっております。管理栄養士4人、栄養士2人、うち産業栄養指導者3人がこの活動のメンバーです。
 社員食堂というのは、毎日同じお客様が長期にわたって利用されることに特徴があります。場合によっては朝食・昼食・夕食の3食を提供する場合もあります。そのため、栄養価・安全性・健康面で大きな責任を担っています。そこで、お客様に食生活の自己管理をしていただくために、正確な情報をより分かりやすく提供するためにはどのようにしたらよいのか、ということを考えました。

 「栄養相談・パネル展」というのは、お客様においしく食事をとっていただきながら、健康維持・増進のお手伝いをさせていただきたいというネライで始めました。1カ所での実施期間は3日前後、開催時間帯は昼食時、会場は食堂フロアーの一角を利用して行います。
 今までに実施した食堂は16社、対象人数は5,986人、栄養相談者724人になります。「栄養相談」「パネル展示」「食品展示」「各種測定機器」「卓上メモ」という5つのコーナーとツールを使います。
 「栄養相談」は希望者を対象としまして、管理栄養士がパソコンを用いた「食生活診断」を行います。その結果に基づいた食事摂取のアドバイスをするとともに、また悩みや疑問にもお答えします。1人15分程度で、パソコン3台を準備します。管理栄養士とお客様が1対1で対応します。
 まず「問診票」に必要事項を記入していただきます。「質問事項」は25項目あり、1つ1つお客様にお聞きして、そのお答えから結果表を作成します。その結果表に基づいて相談にのることになります。そして最後にパネルをA4版1枚に縮小した「食生活はバランスよく」という用紙をお渡しして、今後の食生活の参考マニュアルとして使っていただきます。

 最近の相談内容には興味深いものがあります。「20歳代男性」の中に、「ダイエット願望」と「美肌願望」が強いという今までにない傾向があります。「20歳代男性」にもダイエットにこだわっている方が見られます。ご飯は1日に1膳しか食べないとか、やせているにもかかわらずもっとやせたいとか、「美肌願望」についても熱心です。「栄養相談」は1カ所で3日間やりますが、毎日のようにやってきて「昨夜コラーゲンを食べたのにどうして肌水分が増えないのだろうか」「昨夜ビタミンCをたくさん食べたのにどうして肌水分がこんなに低いのだろうか」と本当に真剣に悩んでいる男性の方もいらっしゃいます。

 30歳代の男性になると、晩酌時のおつまみ等で食べ過ぎになるという傾向があります。また飲酒の後にラーメンを食べる方が多数いらっしゃいます。カロリーの過剰摂取ということになります。みそ汁・おつけ物・ラーメンスープ等に含まれる塩分は目に見えないので、知らず知らずのうちに過剰摂取することになります。
多少なりともストレスを感じておられるので、そのことで暴飲・暴食をしたり、逆に食欲不振になって体調不良に陥るということがあります。独身者に限らず単身赴任者も含めて、単身生活者の傾向としては、野菜や果物の摂取が少ないということが挙げられます。野菜や果物は1個単位では買いにくく、まとめて買うと残ってしまいます。残すともったいないので買うのを控えてしまうということになるのです。

 サプリメントは若い世代では3人に1人くらいが飲んでおられます。サプリメントを利用すること自体は問題ありませんが、サプリメントを利用しているから大丈夫だと過信している方が多いことが問題です。またマスコミ情報をうのみにするということも問題です。

 「パネル」は6枚作っています。昼食を摂りながら見ていただけるようにしています。「食品展示」は「試食・体験・観覧」の3つで構成しています。「試食」では飲み過ぎや疲労時に効果的な料理紹介を行います。またこれとあわせてレシピもお渡しします。1日に必要な野菜と果物の量を見て分かるようにと始めたのが「体験」です。「秤り」を準備して、実際に必要量と思う量を載せて貰います。
 次は「並べてみよう」というコーナーです。果物を幾つか並べてビタミンCの含有量の多い順番に並べてもらったりします。野菜では料理に含まれる野菜のグラム数を比較して貰います。
 「ケーキランキング」というのは、ケーキに含まれる砂糖分をスティックシュガーに換算して実感して貰うことです。
 食堂のラーメンコーナーには、ラーメンに含まれる塩分量がひと目で分かるような展示をします。これからラーメンを食べようというお客様がカウンターで待っている間に見てもらいますので、この方法は効果てきめんです。かならずスープは残すようになります。

 「各種の測定器」の中には「骨量測定器」があります。この「骨量測定」は今大変人気がありまして、最近実施したところでは300人もの方が参加してくれました。
「卓上メモ」は「健康日本21」や「ISO」に基づいた内容で制作しています。これは卓上に置きまして毎月更新しています。これまでに57種類作りましたので、栄養相談の時にはお持ち帰りいただいています。

 これらの活動にあたっては「個別指導」ということが一番大切だということを実感しています。皆さん抱えている問題は1人1人違うので、一律の指導では対応できません。個別の事情を聞きながら実践的にアドバイスすることが重要だと考えています。
 食情報はマスコミを含めて氾濫しているといってもいいかと思います。その中で1人1人が、自分にあった適切な情報を選択することができるようにアドバイスすることが大切です。

 今後の課題としましては、「食事摂取だけのアドバイス」から、「食事と運動の両方のアドバイス」が必要なのではないかと思います。またアドバイスの方法としては、「指導型ではなく援助型」のアドバイスを徹底することが必要だと思います。「押しつけ」は全く効果がありません。私たちがいくら知識を持って相談しても、本人がやる気にならなければ何も改善されません。当事者の状態にあわせて、その人ができることをアドバイスするということが最良の方法ではないかと思います。ただし、そのためには相談員自身も知識の向上を図らなくてはなりませんので、社内的には「産業栄養指導士」資格の取得を奨励しています。

 もう一つ、私たちは企業内の社員食堂だけでなく、地域で「親子の料理教室」を実施しています。江東区内の親子を対象にした「楽しい食事の会」を昨年から始めています。旬の食材を用いて、子ども達が親しみやすい料理を考えています。産地の見学にも出向いて私たち自身の学習機会としてその結果を子ども達にも伝えています。

 またその料理教室では素材から加工食品を作り出すようなことも体験もします。例えばこんにゃく芋からこんにゃくを作るというようなことは都会の子どもはまず体験したことがありません。一度そのような体験をすれば、今後加工食品を見たときに想像をたくましくすることができます。そこから食生活や料理に対する関心を、子どもの頃から養うことにつながるのではないかと考えています。

(要約文責:事務局)


 1 農林水産大臣賞 塩山市保健福祉センター・塩山市食生活改善推進員会
 2 農林水産省 消費・安全局長賞 幕別町立途別小学校
 3 農林水産省 消費・安全局長賞 栄養食株式会社
 4 農林水産省 消費・安全局長賞 JA鳥取県食農教育支援センター

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