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食育コンクール2004
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    「なつかしい未来へ〜地域に大きな食卓をつくろう〜」

    講師:結城登美雄 (ゆうき とみお)

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     北海道のニセコ。高校生が大きな農家からはねられたジャガイモ、トマトを、「私たちも農業をやっていくのに心配だから、これを生かしたい」と、町のお母さんたちを動かした。農家の人は忙しくてできないから、もったいないと、余ったやつを一生懸命、7年間加工を研究してきました。自前でです。これはトマトジャムですよ。うまかったですな。東京には売らないようにしようと、今言っています。

     本当に、お母さんたちの台所の力が大きな農業を支えるようになりました。ピーマン、カボチャ、北海道らしさが随所にあふれています。そして、町場のお母さんたちと農家のお母さんたちが今、一緒にやろうと手を組み始めたところです。食育は大人の気持ちも近づけてくれます。柔らかくしてくれます。固まった気持ちを溶かしてくれます。

     沖縄であります。祭りのメッカであります。東北もそうでありますが、これは秋田の梵天なんかと全く同じで、必ず神様に捧げるものがヒエ、アワ、キビ。そしてそれでつくったお酒で儀式をやります。そういうものを子供たちが持っていって、ノロさんたちに捧げて、神様に「今年も豊作でありますように」と。それを子供たちがちゃんと見届けています。そこにも食育の心みたいなのがあろうと。


     宮崎県の高千穂であります。神楽であります。岩戸神楽に行きました。いいですな。私は神楽はよくわからないんです。でも、確かにわかるのは、見るだけではない。ご馳走がありました。長い神楽の区切り区切りにご馳走が来て、カッポ酒、竹があって、向こうに何やらおいしいものがあります。こんなもてなし受けたらフニャフニャになってしまいます。ほら、地域の人のつくったものがここに現れています。

     最後に、つい10月末から11月ぐらいにかけて、熊本県水俣市。環境で苦しんだところでありますが、日本一環境をよくしようという人たちの気持ちにあふれる町になりました。海は漁師の人だけの苦しみの場所ではない、僕たちが何かできないか、私たちが何かできないか。水俣川流域の人たちが水を気遣い、食べ物に気遣うことによって、それが結果として海の人たちを支えることになるんだという考え方がしっかり根づきました。「地元学」という方法で。そして、多くの人にこの水俣湾でとれた本当においしい魚を食べてもらいたいという、いくつかの村々に食堂ができた。

     杉本栄子さんの食堂では、タチウオの刺身、焼いたもの、これをみんなが楽しみに待っているわけです。「できましたよ」と言って、こう来るんですわ。シラスのゆでたやつ、生のやつ、さまざまであります。タケノコ、海のもの、山のもの。おしょうゆを使わない、だしだけのうどんです。だしをよくとると、お醤油は少しでいい。だしだけのうどんですよ。そのだしのおいしさがとれるからこの海は大事だ、というのをこのごちそうが訴えかけてきます。おのずとわかります。

     そういうものをたくさんの人がやってきて、「ああ、食べる場所っていいな、食べる人が側にいてくれるって何と幸せなことなんだろう」と。

     自分たちはそれを買ったりすることしかできないけれども、身近に食べ物を支えてくれる人がいる幸せ、それが地域の幸せであり、次の時代を生きる子供たちの安心や幸せにつながるんだと。


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