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--優秀賞 農林水産省 消費・安全局長賞--

教育分野

「食べ事」を共にして、食を楽しみ、生きる力をたかめる
〜定時制高校生と地域住民との交流〜

 
 
 

熊本県湧心館高等学校定時制課程

(熊本県熊本市)

●朝食を食べていない生徒56%

調理実習の授業で、班員同士の会話がなく、作業が進まないことに端を発した活動です。食事記録や会話から、本校生徒の半数以上が朝食を食べていないことがわかり、食生活の課題がたくさんあることがわかったのです。また、本校の生徒の半数以上が不登校の経験を持ち、3〜4割が単親家庭にあって、その大半が経済的に困窮しているため、生徒自身が働く必要に迫られているのが現状です。

●高齢者が取り結ぶ地域住民との交流

学業と仕事を両立させる定時制高校の生徒は多忙な生活であり、家族とともに食事をすることを本人が望んでもむずかしいのが現実です。そこで、生徒の食生活改善の方策として「家族のような関係でコミュニケーションを行なう」という体験の場を、家庭科教育の授業でつくり出すことを考えました。社会福祉協議会の食生活改善グループの協力を得て、高齢者との交流が実現されました。だんご汁や豆腐つくりなどの調理加工、長い人生経験に耳を傾け、一緒に食べる・話す・作る喜びが生まれています。

●「食べ事」を重ねて高まった生きる力

住民参加調理実習は9年に及び、なかには40回の参加を重ねた住民もいます。高齢者との会食は5年にもなり、私たちの造語「食べ事」によって、高齢者の方々に学んだことの価値は計り知れません。生徒からは「食べ物を無駄にしない」「素直になって日本のためにがんばろうと思った」「たくさん励まされた」などと嬉しい感想があり、まるで家族のような親しい関係をそれまで無縁だった大人たちと築き、生きる力をともに高めあっています。