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地域に根ざした食育コンクール2006表彰式・活動発表会

◆表彰式主催者挨拶

(社)農山漁村文化協会専務理事 坂本 尚

 食育コンクールの活動も、これで6回目の表彰・発表会になります。6回目は334件と非常に多くの応募がございまして、この6年間で1,410の団体が活動したということになります。この食育推進のコンクールに参加している方々それぞれが、地域独自の特徴を活かした活動をしている訳ですから、新しい食の文化をつくる先頭に立っている人達だと思います。こういう活動は、珍しいと思うんですね。全部が違うんです。構成メンバーも違うし、やっている内容も違う、テーマも違います。 
 それぞれの地域の特徴を活かした活動が、これからの日本の文化をつくっていく基本だと思います。

 この表彰式は物事のスタートでありますから、これからも地域での特徴を活かした食育活動を推進していただくことをお願いして、挨拶にかえます。

 

 

◆来賓祝辞

農林水産省大臣官房審議官 貝谷 伸

 本日みなさま方には、食育の推進に平素より格別なご協力をいただいていることに対し、まず感謝を申し上げたいと思います。農林水産大臣賞を受賞されます「食ネット鳥栖」を初め34の団体の皆さん、今回の受賞誠におめでとうございます。心からお祝いを申し上げます。


 平成17(2005)年に「食育基本法」が成立し、これ基づきまして政府では、昨年(2006年)の3月に「食育推進基本計画」を策定しました。同年12月には政府として初めての『食育白書』をまとめました。この白書を国会議員の方々に見ていただいたところ、「法律や白書ができたことはよいことだが、もう少し食育について実質的な取組み、地域で沸き起っているエネルギーを引き続き保つようにしてほしい」という声もよせられました。

 今回の「地域に根ざした食育コンクール2006」には334件もの応募があり、内容も年々レベルアップをされていると聞いております。こうした食育の取組みは、健康への関心や食への関心など、地域ごとに課題はさまざまですが、たいへん盛り上がりを見せてきております。

 しかしながら実際の生活をみますと、食事が不規則であることや、一家団欒といいますか、家族で食卓を囲む夕食がなかなか昔のように見られなくなってきているなど、問題もいろいろと指摘されております。
また昨今、食の安全・安心に関してマスコミをにぎわすような状況が引き続き起こり、食に対する国民的な関心が大変高まってきております。基本的には食品関連業者の方々が、安全性の面で一義的な責任を持っているわけでございますけども、最終的には消費者の側も、食に関する知識や食を選ぶ判断力を身に付けていくことも、食育のねらいのひとつです。

 生産・流通・消費は、農水省の一番得意としているところでございます。このフードチェーン全体を所管している立場から、食育についても積極的に推進しております。具体的に申し上げますと、「教育ファーム」や「食事バランスガイドによる日本型食生活の普及啓発」などへの取り組みです。また、内閣府を初めとする省庁と連携しながら、さまざまなかたちでの情報発信に努めております。

 本コンクールでこの度受賞されました方々を初め、本日お集まりの皆様方には、このあとの受賞事例の発表、こういったものを参考にされまして、ご自身それぞれの食育に関します取組みをさらに充実したものとしていただければと思います。

◆審査講評

地域に根ざした食育推進協議会会長 坂本元子

 受賞者のみなさま、本当におめでとうございました。長い間の活動の業績が今実ってここに表彰を得られたことを、私も大変うれしく思っています。

 審査委員会を代表して、講評を述べさせていただきます。この地域に根ざした食育活動も、平成17(2005)年の「食育基本法」の設立以来、全国に広がってきました。本年度はこれまでの6回の中で一番多い、334事例が集まりました。改めて多数の応募をいただいたことに、お礼を申し上げます。
 7人の審査委員が、応募事例を「創造性=新たな工夫と普遍性があるか」「成果はあがっているか」「持続性はどうか」など、総合的な観点から審査いたしまして、合わせて34の事例を優れた活動として表彰することにいたしました。

 

【農林水産大臣賞】

 はじめに最優秀賞である農林水産大臣賞を受賞されたのは、佐賀県鳥栖(とす)市の「食ネット鳥栖」の取組みです。「スクラム組めばみんなHAPPY!」を合言葉に、保健福祉分野と農業分野を中心にして、学校・保育所・JAや直売所・飲食店まで、食と健康に関わる人々が広く連携し、健康な暮らしを「地産地消」で実現するネットワークを、お互いにメリットのある形でつくりあげておられます。これは、いま全国の市町村ですすめられている「食育推進会議」の設立と「食育推進計画」づくりのすぐれたモデルにもなると、高く評価されました。

【農林水産省消費・安全局長賞】

 次に優秀賞として、農林水産省消費・安全局長賞を受賞したのは、4事例あります。
「食生活改善分野」からの受賞は、高槻市保健センターの取組み「孫と一緒にクッキング」です。高槻市は大阪市の近郊都市として若い世帯の多いところですが、市内の各地区に配置した健康リーダーによる「料理教室」を、祖父母や地域の力を借りて行なう「3世代食育講座」に取り組んでいます。「よその孫を借りて参加する」とか、じいちゃん世代と孫世代が真剣に学びあうなど、活気ある形を実現していることが評価されました。

 教育分野から優秀賞を受賞したのは、青森県鶴田町立菖蒲川(しょうぶがわ)小学校です。いま文部科学省の提唱で「早寝早起き朝ごはん運動」が展開されていますが、鶴田町は全国で初めて「朝ごはん条例」を制定した町として知られています。米とリンゴの産地として、地域の協力者の支援のもとで子どもたちは農業体験学習をし、朝ごはんの大切さも学び、「早寝早起き朝ごはん」の定着へ成果をあげています。子どもたちが地域に誇りを持ち、健康なライフスタイルを取り戻すことを、地域ぐるみで進めた取組みとして評価の高かった事例です。

 次に、食品産業分野からの優秀賞受賞事例は、滋賀県彦根市・株式会社平和堂の「食育活動宣言」による総合小売業の食育活動です。食育基本法でも食育を推進すべき関係者として、食品関連事業者の「責務」が条文化されていますが、平和堂は経営するスーパーマーケットなどの場で、親子を対象に、食に関する体験や情報提供活動を総合的に展開しています。内部に「食育活動推進委員会」を置き、「生産者に感謝しよう」という社風のもとで、食と農の結び役として「地産地消」の活動を重視していることは、地域と共生する企業のあり方として高く評価できます。

 農林漁業分野からの優秀賞は、愛媛県愛南町ぎょしょく普及推進協議会が受賞しました。水産業が盛んな愛南町でも、子どもや若い世代を中心に魚を食べることが少なくなっています。地元の大学、水産関係者、学校教職員の協力のもとで、7つの「ぎょしょく」という言葉をキーワードに、ひらがなの「ぎょしょく教育」を展開しています。子どもと魚を仲良くさせる多彩な取組みであるこの食育活動も、単に「魚離れ」を是正するだけでなく、関係者の連携が深まり、改めて地域の豊かさを再認識する波及効果も生み出していることが評価点としてあげられます。

【地域に根ざした食育推進協議会会長賞】

 次に優良賞である協議会会長賞として、9事例選考いたしました。

食生活改善分野からは、東部島根心身障害医療福祉センターの「障害児施設における食育活動」。ともすると合理化の対象になりがちな施設の給食を「食材の旬・地産地消」を大切する内容にして、調理体験や農業体験も行ない、食と農の大切さを学びあう、心温まる取組みです。また同じく、横浜市緑区食生活等改善推進員会の「緑をたっぷり召し上がれ事業」。畑の残る緑区内で、野菜畑や直売所を結ぶウォーキングマップをつくるなど、ユニークな活動が評価されました。

 教育分野からは、静岡県川根町立川根小学校の「学校・家庭・地域ぐるみの食育活動」。お茶の産地・ふるさと川根の誇りを子どもに引き継ぐ、優れた取組みです。同じく中学校の取組みとして、奈良県五条市立西吉野中学校の「カッキータイム」。日本一の柿産地で、地域の人たちの願いと学校の教育が一つになった農と食の体験活動です。徳島県阿波市立市場小学校の「地産地消うどんをつくろう」。身近なうどんをめぐって、食料自給率の問題などに切り込んだ実践です。

 食品産業分野からは、東京都足立区・関東水産物商業協同組合の「お魚料理教室から地域ぐるみの食育活動へ」。小学生から高齢者までの参加体験型食育教室です。同じく、大阪府中央卸売市場の「食の流通拠点での、食育塾開催の取組み」。魚も青果も、見て触って食べて、市場の食材と機能を丸ごと体験させる活動です。

 農林漁業分野からは、神奈川県小田原市・NPO法人あしがら農の会の「市民自給の会」。市民が農地を借りて、お米やお茶、大豆などを自給し、暮らしを見つめ直す取組みです。同じく、宮城県大崎市・エコファーム佐々木農場。環境保全型農業の実践のなかで、子どもたちやその家族と交流を深めて、健康な食の輪を広げている、志の高い農家の取組みです。

【審査委員会奨励賞】

 この他にも奨励に値する優れた事例があるということで、昨年に引き続き特別賞として、審査委員会奨励賞を20事例、選考いたしました。活動内容は資料をご覧いただくとして、分野別に改めてお名前を紹介します。

 <食生活改善分野では>
●千葉県船橋市の板良敷信子さん
●愛知県名古屋市「おやじの休日の会」
●東京都江東区「江東区民の田んぼの学校」
●北海道札幌市「北海道食の自給ネットワーク」
●群馬県高崎市「良い歯の会」
 いずれの事例も、地域に根ざした健康な食を考えるユニークな取組みとして、高く評価されました。

<教育分野では>
●三重県松阪市立天白小学校
●茨城県立真壁高等学校農業研究部
●長野県小谷村 小谷村保育園
●徳島県北島町学校給食センター
●東京都世田谷区立千歳台小学校
●北海道更別村の更別どんぐり福祉会
●東京都板橋区 板橋雲母保育園高島平
 いずれも、給食や、料理づくりを生きた教材・交流の場として、地域に根ざした食育を実践している優れた取組みです。

 

<食品産業分野では>
●愛知県岡崎市「株式会社ワーカービー」
●東京都中央区「ハウス食品株式会社」
●秋田県大仙市「株式会社タカヤナギ」
●神奈川県生活協同組合パルシステム 神奈川ゆめコープ
 それぞれの専門性を生かして、子どもたちや保護者へ、料理の楽しさ、食べることの大切さを伝える取組みが評価されました。

<農林漁業分野では>
●長野県飯田市「あぐりの田んぼ学校と竜丘・時又保育園」
●北海道江別市「やまもと農園」
●福岡県宗像市「福岡県稲作経営者協議会・パートナーの会・みそ汁キャラバン隊」
●秋田やまもと農業協同組合
 いずれも、子どもたちや消費者に楽しく思い出深い農業体験をさせ、食と農を大切にする心を育てる、志の高い取組みです。

 以上、駆け足でしたが、合わせて34の表彰事例を紹介しました。共通していえるのは、地域に根ざした食育活動で地域ごとに個性豊かで豊かな健康な食生活を実現しようという「食育のネットワーク」が広がっているということです。
 これからも、楽しくユニークな食育活動が全国で展開されることを期待して、講評といたします。


(要約文責:地域に根ざした食育推進協議会 事務局、撮影:倉持正実)


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