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地域に根ざした食育コンクール2007表彰式・活動発表会

◆審査講評

地域に根ざした食育推進協議会会長 坂本元子

 5つの部門で314の応募事例の中から、表彰対象に選ばれたのは31の食育実践です。
審査委員会での評価点を中心に、講評させていただきます。

【最優秀賞:農林水産大臣賞】(教育分野)

新潟県 上越市立高志(たかし)小学校5年生
 「いただきますのために」をテーマにした、米どころ新潟の小学校の5年生87人の取り組みですが、単に米作りの生産体験だけでなく、販売体験を通して、労働の価値や食べ物の価値を考えさせる仕掛けが用意されているなど、総合学習の教育実践として、子どもの意欲を高めるユニークな内容を持っています。とくに、「売れ残ったおにぎりは処分する」という命題を子どもたちに課すことで、その危機感から「どうやったら売れるだろうか」と、値段の設定も含めて、子ども同士で論議し、創意工夫を凝らすところが審査委員の評価を集めました。一生懸命やったことを書いただけにとどまる応募事例が多いなかで、子どもがどう変わったのかまで掘り下げているところが、高い評価を受けました。

【優秀賞:農林水産省消費・安全局長賞】(食生活改善分野)

宮崎県 西米良村(にしめらそん)元気な子どもを育む食育推進委員会
 「目覚めのみそ汁で今日も元気!」の合言葉で、子どもたちの食を健康にしようとする山村の取り組みですが、地元の教育委員会が主導して学校や地域の関係者が集まった「食育推進委員会」の実践としても、全国のモデルになる事例です。
 子どもたちの朝食の欠食が増えていることが懸念されるなか、キノコや大根など、地域の特産物を活用した、具だくさんのみそ汁を毎日食べようという運動は、ごはんの消費も増やす食育活動として、普及発展性が高いと評価されました。

【優秀賞:農林水産省消費・安全局長賞】(教育分野)

長崎県 西海市立瀬戸小学校
 「私たちの町に大瀬戸食堂をつくろう」という実践は、漁業のまち、西海市大瀬戸町の小学校5年生40人が1年間続けた「調べ活動」です。4月から地域特産の食材と食文化を探求し、魚のさばき方など調理の基礎を学びながら、秋には自分たちでメニューを考案しました。3学期には、一日限定で、自分たちで調理したバイキング方式の「大瀬戸食堂」をオープンし、保護者・地域の人たちも招待して食事会を開催。この事例は、子どもたちが、地域の食材を活かした個性豊かな献立を大人たちにアピールしている優れた実践として、また引き続き6年生のときも実践している継続性も、高く評価されました。

【優秀賞:農林水産省消費・安全局長賞】(食品産業分野)

千葉県 株式会社日立柏レイソル
 「食育をスポーツの現場から」すすめている事例ですが、これまでのコンクールの応募の中でも、「スポーツと食」に着目した実践は初めてで、審査委員の注目を集めました。プロサッカーチームの運営会社が栄養指導の企業と連携して、下部組織の小中学生・高校生の選手を対象に食育活動を実施し、家庭や学校との連携活動にも広がっています。一流の選手になるには、食生活から始める体づくりが大事ですから、今後、サッカーに限らず、野球そのほかのスポーツ分野でも取り組んでいけるきっかけにもなる取り組みとして優秀賞に選ばれました。

【優秀賞:農林水産省消費・安全局長賞】(農林漁業分野)

静岡県焼津市 やきつべの里フォーラム
 「地域の子どもと心を通わせ、地域で子どもを育てる」その応援団としての「やきつべの里フォーラム」の取り組みは、農家や定年退職者を中心とした、地域に根ざす食育ボランティア活動として、全国のモデルになる取り組みです。小学校との連携で農業体験を支援する取り組みや、公民館と共同して土日に親子で農業体験を企画し、指導運営する取り組みは、国の食育推進基本計画の重点となっている「教育ファーム」の先駆的活動として、高く評価されました。

【優秀賞:農林水産省消費・安全局長賞】(食育ネットワーク分野)

鹿児島県霧島市 NPO法人霧島食育研究会
 2005年に続く2度目の受賞となった霧島食育研究会は、管理栄養士・社会福祉士・教員・農家など「多様な職種のスタッフによる食育ネットワークの構築」を進めて、「学ぶ・創る・耕す・つながる」多彩な活動を深化させています。 <学ぶ>霧島たべもの伝承塾、<創る>食の文化祭、<耕す>「霧島・畑んがっこ」(畑の学校・子ども組から大人組まである)、さらには<つなぐ>「大人のための食育セミナー」を全国から参加者を集めて開催するなど、食育と地域つくりを重ねる活動を展開して、地域の健康と食の自立をめざしており、今年から応募分野に加えた「食育ネットワーク分野」の先進事例として高い評価を受けました。

【優良賞:地域に根ざした食育推進協議会会長賞】

横浜市「保土ケ谷区お弁当向上委員会」ほか9事例
 次に、【優良賞:地域に根ざした食育推進協議会会長賞】には、9つの活動事例が選ばれました。
 横浜市「保土ケ谷区のお弁当向上委員会」の、幼稚園・中学生の保護者に向けたお弁当づくり支援の取り組み、熊本市の「ふれあいサロンいそぎんちゃく」の高齢者から子どもたちへ地区の食文化を伝承する取り組み、このどちらも「食生活改善推進員」が中心の食育ボランティア活動です。

 山口県「田布施農業高校の地域食育活動」、秋田県横手市の「農業体験交流学習活動」、このふたつの事例は、農業科の高校生が付属の農場を生かして地元の小学生と交流し、高校生と小学生がともに成長する優れた取り組みです。
 食品産業分野の「ヒガシマル醤油株式会社」、「松山市の水産市場運営協議会」は、どちらも地域の特産物と食文化の理解を広げる、地域貢献の活動が評価されました。

 農家個人の事例として、愛知県「季の野の台所」の味噌つくり教室と、福井県「ささえたまご農園」の取り組みは、いずれも農家の加工のワザや家畜の飼育の場を活かした食育交流活動です。

 また、「群馬県玉村小学校・玉村町とうがん給食ネットワーク」の取り組みは、食材のとうがんづくりを町民に呼びかけ、家庭菜園でつくったとうがんを分けてもらい、残菜ゼロのおいしいとうがん給食を提供した、ユニークで、普遍性のある、学校と地域を結ぶ食育ネットワーク活動です。

【特別賞:審査委員会奨励賞】

新居浜市食生活改善推進協議会「にいはま食事バランスガイド」ほか16事例
 次に、今年度も、前年度に引き続き300を超える応募がありましたので、【特別賞】として【審査委員会奨励賞】を、16の事例に贈ることにいたしました。

 時間の都合で全部の事例にはふれられませんが、受賞事例から主な評価ポイントをまとめてみますと、子どもたちや大人の食を自立に向かわせる工夫。たとえば腹話術人形を使って子ども自身を食育の指導役にする工夫や、大人の男性の料理教室で、食の自立を支援し、その修了生を出前講座の先生にするアイデア。

 地域版の食事バランスガイドをつくってすすめる地域密着型の食育。食と農の体験をつなげて、いのちをいただく実感をからだに刻む取り組み。地域特産の食材や、加工品などにふれて、自分の育つ地域の食の豊かさ、食べものに関わる人々のつながりに気付く取り組み。
  どの取り組みも、いのちを育て、そのいのちに育てられている私たちの食を見直し、個性豊かで健康な食をとりもどす意欲的な活動です。

 以上、駆け足ですが、受賞事例の評価点を中心に紹介いたしました。
最後に、このコンクールに集まった活動事例がモデルとなって、ますます「地域に根ざした食育」が、全国に広がることを期待申し上げて、審査講評とさせていただきます。

(要約文責:地域に根ざした食育推進協議会 事務局、撮影:倉持正実)


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