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3 農林水産省 消費・安全局長賞 <農林漁業分野> やきつべの里フォーラム

地域の子どもと「心」コミュニケーション

発表者:ユ田光男 さん

■休耕田を借りた農業体験

 こんにちは。焼津から来ました、田です。よろしくお願いいたします。
 焼津といいますと、皆様ご承知かと思いますけれど、カツオの水揚げ高が日本一です。けれど今、気温の関係でかなり減っているようです。人口は約12万人です。農業は、ミカンとかお茶といったものは作業が大変ということで、だいぶ減っているようです。田んぼ(米農家)は、2代目3代目もなかなかやってもらえない状態で、農家の人もちょっと困っているといったところです。
 そういう中で「やきつべの里フォーラム」は、休耕田を借りて農業体験をしております。焼津市は海・山・川とある中で、私たちが活動している東益津地区は、高草山(たかくさやま)の山麓にあります。歴史文化の宝庫とも言われております。

■テーマは「心」、各団体と連携がカギ

 「やきつべの里フォーラム」のテーマは「心」。
 “心・コミュニケーション・未来”、『豊かな自然』、『温かな心』、「ふるさとの豊かな自然と歴史を守ろう、地域の人材(知恵・技術)を活かそう、地域の子は地域で育てよう」という共通認識のもとに、平成13年2月に設立、東益津地区の22の市民団体で構成されています。行政・企業・公民館・小学校が一体となって一生懸命やっております。

 焼津市の8公民館のうち、3つの公民館で「三公民館合同地域交流講座」というのをやっております。これが「MYライス」というものです。東益津小学校5年生の総合的な学習も、米作りになっております。それともう一カ所、焼津南小学校5年生のバケツを利用した米作り。お米の関係はこの3事業を行っております。
 それと、公民館と共催で「ふるさとジュニアカレッジ」をひらき、1年間で19行事、川下りとか自然体験などを行っています。

 また、サッポロビール静岡工場さんにもご参加いただいているのですが、その場合のメリットをちょっと言っておくと、工場内の施設を借りられることがあります。敷地内の川でホタルの放流をしたり、ひょうたんを植えて、子どもと一緒にひょうたん作り・ひょうたん飾りなどやることも可能になっております。
 ですから組織的には、いろいろな団体さん・企業さん・いろいろな方々から幅広く、能力や人材を確保できていると思います。

■年7回の稲作体験「MYライス・東益津小学校5年生」

 お米作りの目的を説明させてもらいます。
 農業体験が少なく、米がどのようにしてできているのか、またどうしてご飯になるのかよく分からない、それが子どもだけでなく、大人も知らない人が増えている。
 そこで「米作りを体験したい」と公民館から依頼があったものですから、私たちが引き受けたわけです。その後、小学校からも依頼があったもので、今現在は小学校でもやっています。

 MYライスは、平成17年より、モミまきから米粉料理教室・「食事バランスガイド」まで年7回、親子での農作業体験を実施しています。昨年、東益津小学校5年生は、むろ出し後、田植えまでの16日間、朝夕時の水掛けがうまくできず、稲苗24箱の生育に失敗しました。そこで今年はグループをクラスで作ってもらいました。やる気を出すために、常にグループ単位で田んぼに行き、今どういう状態になっているのか、それを見ながらどうするのかを、考えて責任を持ってもらうようにしました。

 5月には苗を作るんですけど、「ムロ出し」をやります。もみまきしてからだいたい5日〜7日くらいでムロへ出します。すると、色が黄色いんです。
 子どもは、びっくりするんですよね。なぜ黄色いの? 光合成ですよね。何センチくらい伸びたかの具合を調べると、ムロでおかれた位置の高さで伸び具合が違います。温度差があるからです。そこでまた子どもがびっくりするんです。「私たちのは短いな、(高さが)一緒になりますか?」とか。

■自分で考える「田植え」

 田植えは手植えをします。子どもの農業体験の場合、田んぼの広さが千平方メートル、一反になります。植える途中で子どもは飽きがくるのですが、そこで止めるわけにはいきません。「みんなで植えないと終わりませんよ」、ということを初めから言っておきます。そうすると、一生懸命植えてくれます。
 苗の植え付けですが、なかなか大人のようにまっすぐとはいきません。終わってから子どもに、もう一度田から離れて田を見てもらいました。どのようになってるかを見てもらい、自分たちでこれからどうするか、そして悪ければ直してもらう。

 子どもに責任を持たせてやるのが一番かな、と思います。そうすると自分たちで考えてもう一度、一生懸命田植えをしてくれます。これみんな失敗をすることを恐れないということ。私は黙ってます。失敗してもいいもんですから。そうすると、失敗したとき、次のことを子ども同士で考えてくれます。

■失敗して次のことを考える

 昨年の冬は温度が上がっていたために、田植えとか草取りの頃にジャンボタニシがたくさん出て、苗を半分以上食べられました。ジャンボタニシを二度拾って、補植を二度もやりました。
 これを機会に、「ジャンボタニシがどういうものを食べるか?」ということを、教室の水槽にジャンボタニシを入れ、エサになるかは分かりませんが「ジャガイモ」と「酒粕」、この2種類のうちどっちを食べるかを比べてもらいました。初めジャガイモの方にいっていたんだけれども、時間が経つにつれて酒粕の方にジャンボタニシが行って、好物であることがわかり、農薬を使わず捕獲する方法が発見できました。

 なるべく子どもには、いろんなことを覚えてもらいたい、失敗してもいいですから。そうすると次のことを考えてくれます。
 米作りだけじゃなくても、ひょうたん作り、クリスマスイルミネーションとか、竹の子堀り、いろいろやっていますけれども、子どもというのはまだ未完成であり、可能性がいっぱいつまっております。この無限性を広げるお手伝いができればなぁと思います。

■もったいないを大事にする

 米作りは、もみまき、田植えからやって、餅つきと、米粉クッキングまでやります。また、さつまいも掘り、さつまいもの焼きいもも作ります。

 それと昨年一つ増えたのが、大根を種まきから育て、大根を収穫して、おでんにすることでした。焼津には魚の加工組合もあり、焼津の名産「黒はんべ」を作る体験をして、それと一緒に子どもたちが作った大根で、おでんを作りました。
 この中で子どもたちが一番食べたい、と言ったものが、みなさん分かりますか? 「自分たちが作った大根、大根をください!」でした。
 でもその時、子どもたちはあまり食べなかったんです。どうしたのかなと思ったら、パックを持ってきて、たくさんつめて家に持って帰り、お父さんお母さんに食べさせたいと。何も残さず全部、子どもたちが家へ持って帰りました。
 やっぱり自分で作ると、食べ物の大切さとか親への気持ち、普段お母さんが食事作ってくれているんだ、そういった気持ちがめばえてきて、それが一番だな、と思います。食べ物を大事にしてくれるというのは、本当に有難いなと思います。

 中学生になると、給食を残す子どもが多いようです。みなさんの地域の中学もそうだと思いますけど、残飯が増えてもったいないな、そういうことだと困るな、と。静岡県でも「もったいない」という言葉を使います。昔の言葉かもしれませんけど、大事にしたいなと思います。

(要約文責:地域に根ざした食育推進協議会 事務局)


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