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4 農林水産省 消費・安全局長賞 <食生活改善分野> 
  西米良村元気な子どもを育む食育推進委員会

目覚めのみそ汁で今日も元気!

発表者:浜砂真二 さん

■実態調査にもとづき食育に取り組む

 ただいまご紹介いただきました、西米良村元気な子どもを育む食育推進委員会事務局を担当しております、浜砂と申します。よろしくお願いいたします。
 それでは西米良村における、食育の取り組みをご紹介させていただきます。西米良村は宮崎県の西北部に位置する、人口約1300人、世帯数わずか600戸の、県内一人口の少ない村です。面積の90%以上が山林原野で、村内には保育所が1カ所、小学校1校、中学校1校があります。
 村では、自然や風土、歴史、文化など、地域固有の資源にテーマ性を持たせた地域づくりを進めております。特産品として、ゆず、カラーピーマン、西米良サーモン、米良糸巻き大根、いせいも、ホオズキなどがあります。
 宮崎県では「元気な子どもを育む食育推進事業」として、3年間にわたり食に関する実態調査を行い、その分析結果に基づいた食育活動を推進しております。県内3地区が対象となり、都市部として小林市、臨海部として門川町、山間部として西米良村が選ばれました。

 そこで西米良村では、元気な子どもを育む食育推進委員会を組織し、養護教諭、学校栄養職員部会、歯科保健推進協議会と連携しながら、食育を進めてまいりました。食育推進委員会では、教育関係者、医者、地域、保健関係者の計14名で組織しております。


■「朝食を食べない日がある」と答えた子どもが11%いた

 初年度は、園児、児童、生徒、及び保護者を対象に、食生活や基本的生活習慣についてのアンケートを実施しました。
 「毎朝食事をしていますか?」という問いに対しては、「食べていない」と答えた子どもはほとんどいなかったものの、「食べない日もある」と答えた子どもが11%いました。朝食の組み合わせでは、主食・主菜・副菜のそろった食事が望ましいにも関わらず、主食だけが32%となっております。
 朝食について、「特に不調はない」と答えたのは14%のみで、そのほかは、「何らかの体調不良を感じている」という結果でした。この調査から、山間部においても、生活習慣が乱れつつあるのではないか? という懸念がありました。

 朝ごはんは、基本的生活習慣を身につけるための大切な第一歩となるため、2年目は朝食について調査を行うことになりました。平日1日・休日1日の計2日間の朝食を調べた結果、朝ごはんは全員食べているという結果が出ました。
 しかし、個人の食べた内容まで見てみると、栄養バランスがとれているとはいえないものもありました。食事内容については、平日よりも時間的に余裕のありそうな休日の食事の方が、食事の品数が減っていたり、簡単なものですませる傾向がありました。

■7日間の朝食アンケートでわかったこと

 この調査は2日間でしたので、さらに詳しく実態を把握するため、養護教諭、学校栄養職員部会と連携して、7日間の朝食アンケートを行いました。このアンケートは、献立を赤・黄・緑の食品に分けてチェックすることで、自分自身で足りない食品群に気づいて欲しいという願いがあります。

 調査の結果、西米良村の小中学生で最も多い食事パターンが、ご飯と目玉焼きのような、主食と主菜という組み合わせでした。理想とされる主食、主菜、副菜のそろった食事は33%でした。朝ごはんで野菜を食べている子どもは、40%という結果でした。
 今回の調査では、前回の2日間の調査では見えなかった朝食の欠食が、2%いることも分かりました。1週間で1度も朝食を食べていない子どもはいませんでしたので、今の時点では、朝食欠食が習慣化しないように注意する必要性を感じました。

 7日間のうち、朝ごはんで味噌汁を食べた子どもの割合を出してみると、わずか35%という結果でした。日本人の朝ごはんの定番、と思われていた味噌汁も、山間部である本村においても意外と食べられていないことに驚きもありました。

■一週間の食事例を見てみると…

 これは、1週間の食事例です。朝食についての調査から、Aくんのように1週間のうち全く味噌汁を食べていない子もいれば、Bくんのように毎日食べている子もいることが分かりました。
 栄養バランスのよい食事とは、主食、主菜、副菜の食品が揃った食事のことです。例えば、昔ながらの日本の伝統的な朝ごはんを見てみると、黄色のグループのご飯、赤のグループの焼き魚、緑のグループの野菜たっぷりの味噌汁は、栄養バランスがとれていたと言えます。

 全てをとるのは無理でもせめて、味噌汁を具だくさんにすると、「赤」の食品の豆腐や味噌、「緑」の食品の野菜、「黄色」の食品のイモ類を加えた一品で、赤・黄・緑の栄養バランスがとれた献立になります。
 朝は忙しく、手の込んだ朝食を作るのは難しいので、みんなが手軽に取り組め、また栄養バランスの取りやすい味噌汁を、もっと子どもたちに食べてほしいと願いました。

 そこで食育推進委員会では味噌汁を普及させるため、『味噌汁レシピ集』を作成し、各家庭に配布することになりました。
 「味噌汁の作り方など誰でも知っているので簡単すぎるのでは?」といった意見もありましたが、朝ごはんでの子どもたちの野菜不足や、味噌汁離れという現実から、子どもたち自身にも実際にレシピ集を使って自分でも作れるようになってほしいと願い、味噌汁レシピ集を作成することが決まりました。

■地域の食材を使って『味噌汁レシピ集』

 地域柄、手に入る食材が限られているので、「地元で取れて簡単に手に入る食材を活用しよう」「家庭に配布する時は、使ううちに濡れたり破れたりしないように」「子ども向けにもう少し味付けを工夫しよう」「本のようなものだとしまいこんで使わないのでは」「いつも目にみえるところにあると意識化が図られるのでは」といった意見がありました。

 委員は多様な職種が集まっていますので、様々な意見を取り入れたレシピ集となりました。ここで、レシピ集のなかから何品か紹介したいと思います。

 まずおから入り味噌汁です。村内に豆腐屋がありますので、無料で手に入るおからと特産品のいせいもを使った、食物繊維たっぷりの味噌汁です。
 次は、米良大根のゆず風味味噌汁です。特産品の米良大根と、味付けに「ゆずこしょう」を使っております。
 さらに、きのこたっぷりの味噌汁です。村内にしめじ工場がありますので、特産品のしめじとしいたけを使った、低カロリーで噛みごたえのある味噌汁です。
 また学校給食においても、地元産の野菜を使った味噌汁を積極的に取り入れてもらうように務めております。噛み応えのあるメニューを給食に取り入れるので、歯科保健推進委員会とも連携して取り組んでいます。

■レシピ集には工夫が満載!

 完成したレシピ集には、村のイメージキャラクター「カリコボーズ」を使い、親しみやすいものにしました。いつも目につくところに置いて意識化を図れるように、ラミネート加工し、マグネットを裏面に付け、冷蔵庫に貼れるようにしました。
 当初は子どものいる家庭だけに配布する予定でしたが、食育の取り組みを村全体に知ってもらうために、全世帯に配布しております。
 昨年7月には、小中学校の保護者に対して、レシピ集の活用についてのアンケートを行いました。「見えるところに貼っている」と答えたのは、56%でした。

■広がる『味噌汁レシピ集』の活用

 これらの結果をふまえて、8月末には社会教育担当と連携し、『味噌汁レシピ集』を使った料理教室を開催しました。そのほか小中学校では、このレシピ集を活用しての「味噌汁コンテスト」を実施し、その中から面白いものを選んで、第2弾のレシピ集を作る予定です。

 また中学校では日曜参観に、「親子のふれあい」をテーマにしたカレーライス作りを行いました。その際もう一品決める際、レシピ集に載っていた「和風豆乳スープ」を作ったことがある保護者から「美味しかった」という意見があり、メニューに加わったということです。

■少人数だからこそできる「食育」

 そのほかの取り組みとしては、昨年度、小中学校合同で家庭教育学級講演会を開催いたしました。「食育は一生の財産」という演題で、南九州大学の教授に、西米良村の食事調査結果を踏まえて、専門的な立場から講演をいただきました。
 小学校では、学校保健委員会でJA女性部の方を講師に招き、食と農の大切さについての勉強会をしております。学校栄養職員は食育推進委員会を通して、保育園の先生方と交流が持て、園内研修で食についての勉強会を取り入れていただくこともできました。

 食育の重要性が叫ばれていますが、学校現場ではまだまだ食育に時間が十分取れないのが現状です。西米良村では、少人数ながらも、各学校の協力や食育推進委員会の協力により、これらの食育活動を行うことができました。

 課題としては、まだ子どもたちに望ましい食生活習慣が確立できたとは言えません。今後も継続的な、食に関する取り組みを行っていく必要性があるということです。
 西米良村ではまだ小さな一歩を踏み出したところで、大きな成果は残していません。3年間の調査結果や取り組みを活かし、今後も地域の食に対する意識が少しでも深まるように努めていきたいと考えております。ありがとうございました。

(要約文責:地域に根ざした食育推進協議会 事務局)


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