【表彰式に戻る】

5 農林水産省 消費・安全局長賞 <教育分野> 西海市立 瀬戸小学校

私たちの町に大瀬戸食堂を作ろう〜大瀬戸ならではの自慢のメニューを考え、地域のみなさんに紹介しよう〜

発表者:宮田幸治 さん

■「町の良さ、それから地域へ」がキーワードの食育

 みなさんこんにちは。昨年度から年間を通じて本校が取り組んでまいりました、5年生の総合的な学習「私たちの町に大瀬戸食堂を作ろう」の内容と、そこから広がってきた本年度の各学年の取り組みについてご紹介します。

 昨年度春に、食育についての研究委託を受けたのですが、その時点では「食育って何だろう?」というところで皆、はてなマークが出ていました。ですが5年生の総合的な学習でどんなことをやってみたいか、子どもたちに相談をしてみました。
 子どもたちの願いと、私たちが持っていた願い、それに子どもたちの言った「町の良さ、それから地域へ」という言葉がキーワードになりました。

 しかし、その4月に私は転任してきたばかりだったので、学校の事も分からない、子どものことも分からない、ましてや地域のことも分からないという状況で、「さあどうしたらいいだろう」と困ってしまいました。ですが私自身、学校に慣れてくると、地域の様子が少しずつ分かってきました。

■大瀬戸のよさを活かすには?

 学校は恵まれた自然に囲まれています。子どもたちのために快く協力して下さる地域の方々がたくさんいらっしゃいます。それに今では、「学校のためならいつでも協力しますよ」とおっしゃってくださり、地産地消の給食に協力していただける農家や漁協の方がいらっしゃいます。

 このような大瀬戸の良さを活かし、子どもたちと一緒に私自身も、課題解決を図る学習をしていこう、と考えました。
 大瀬戸食堂の開店のためには、オリジナルメニューを考えなければなりません。そこでまず、歴史的背景に富んだ長崎市へ出かけ、メニュー作りの視点を探りました。
 グループ別に地図を見ながらの探索として、ちゃんぽん1杯を5人で試食したり、角煮まんじゅうを分解して調べてみたりなど、自分たちの足で歩き、目と耳と舌で調べた結果、メニュー作りに向けて大きなヒントを得ることができました。
 その後、郷土史研究の先生のお話を聞いて、大瀬戸の伝統的な食材についてもアドバイスをいだたきました。

■何十回となくメニューを書き直した子どもたちに脱帽

 これは、子どもたちが考えたメニューのレシピです。プロの力を借りることでより良い成果が得られると考え、本校の栄養教諭の先生の協力をお願いしました。
 40人全員が一品ずつメニューを考え、その中からグループ作りの視点に合ったものを選び、それを全員の前でプレゼンして採用されたものを、大瀬戸食堂のメニューとしていきました。

 栄養教諭の先生のアドバイスをもとに、何十回と書き直した子どもたちの意欲に脱帽します。このレシピ写真に貼ってある黄色いフセンは、栄養教諭の先生が分量の変更を促してくれたフセンです。
 また、栄養教諭の先生からは、衛生面については特に気をつけるようにとの話があり、そのことだけの学習を1時間、特別に行っていただきました。

 併せて、すべてのグループの作業工程表を作っていただき、それを元に、レシピの中の作業の流れを再度見直しました。魚をさばいたり肉を切ったりする場所とほかの調理を行う場所をしっかり分けて、とにかく招待したお客さんが困らないように、衛生面には特に気をつけました。
 また、保護者の方にチェックカードを渡して、お手伝いをする子どもたちと同じように衛生面でのチェックをしていただきました。

■メニューの試作は冬休みに家族と一緒に

 ある程度レシピが完成したところで、冬休みを迎えました。活動もしばらくストップすることになり、子どもたちの意欲も止まってしまうかなぁと思い、このお休みをうまく使うことができないかと考えました。家庭も一緒に食に関する資質を高めることができるのではないかと考えて、メニューの試作については、冬休み中に家庭で家族と一緒に行うこととしました。

 また、子どもたちが手紙を書き、農家の方や漁協を一軒一軒一緒に回って、材料提供のお願いをしました。
 その結果、お願いした材料については全面的に無償でご協力をいただくことができました。これは、大瀬戸らしいメニューということで、新鮮で安全な食材があるということから子どもたちが考えた成果です。

■いよいよ、大瀬戸食堂開店!

 2月末、1日だけの大瀬戸食堂開店です。保護者からのお手伝いもいただきながら、家庭科室と、学校のすぐ下にあるコミュニティーセンターの調理室の2カ所を使って調理をしました。
 材料分けに時間がかかったり、オーブンレンジを使ったらブレーカーが落ちたりと、ハプニングも続出しましたが、その都度グループで話し合いをしながら、なんとか時間内に全メニューを完成させました。

 開店時の様子です。ご招待した地域の方にも大変、喜んでいただきました。
 大瀬戸食堂開店を成功させた子どもたちの意欲が高まり、現在6年生になったのですが、さらに続けたいという願いを持ちました。

 今度は食材から自分たちで作り、家の人の力を借りずに自分たちの力だけで挑戦したい、小さい子どもからお年寄りまで招待できるメニューにしたいなど、自分たちで多くの課題を設定しました。
 また、多くの方を招待するということで、接客の方法を学ぼうと、長崎でも有数のホテル「ホテルニュー長崎」で職場体験もしました。

■すべてのベクトルを食育へ

 昨年度の5年生の大瀬戸食堂の取り組みは、他の学年の活動へも広がり、今年度はさまざまな活動がでてきました。6年生の「ふるさとまごころキッチン」を2月1日に開店予定です。全校挙げての食のフェスタ、これが2月17日の予定になっております。
 またこれは3年生の「親子郷土料理教室」の様子です。伝統料理を学ぶということで、地域のお年寄りの方がいらっしゃり、最終的には3世代の料理教室となりました。
 これは自分たちが育てたカボチャを使って親子で行った、4年生のカボチャ料理の様子です。このようなことを通して、以前よりも増して地域の協力が増え、保護者も家庭などで取り組んでみるなど、大きな成果となりました。

 「すべてのベクトルを食育に向ける」という本校の方針から、学校行事も変わってきました。秋の縦割り体験活動では、「幼稚園体験コース」 「お年寄り交流コース」そして「食の体験コース」など6コースの中から、今度は地区別の縦割り班、1年生から6年生まで同じ班にいるんですけど、その班でコースを選択して体験活動を行います。
 食の体験コースでは、農協婦人部の方と漁師めしや、すり身揚げなどを作り、美味しくいただきました。

■時間短縮されても質を落とさない食育をめざす

 最後になりますが、これらの活動のゴールとして、子どもたちの将来の姿に目を向け、「食育は研究のためではなく、日々の活動として取り組んでいくことが大切である」と考えました。
 しかし、総合的な学習の時間が減って時間がないということは、本校においても大きな課題となりました。

 そこでアイディアを出し合って、午前中5時間制の試行も行いました。いくつかの課題もありますが、午前中5時間行ったことで他の教科の学習の時間は確保し、そして体験活動の中身があるものが行われる、午前中勉強して午後から畑に出かけて作業をすると、親子で交流して料理をする、というような活動も入ります。
 職員は打ち合わせをしっかりして、それを基に地域の方と打ち合わせをしていく、という活動が十分できます。この準備がないと、子どもたちにとって中身のある体験はできないのではないか、と思っております。

 今年度はそこを活かしながら、給食の時間を使ってちょっとした投げかけをしていく、栄養教諭と連携して食育と関連した各教科における還元もしていく、総合的な学習の時間の各学年間の縦のつながりを見直していく、というような活動も行っております。
 子どもたちと取り組んだ大瀬戸食堂は、子どもたちだけでなく私たち職員、そして地域のみなさんの大きな財産となっています。この活動を、次期の改定では時間数が70時間と減りますが、スリム化を図りながら質は落とさない計画を組んでいきたいと思っております。ありがとうございました。

(要約文責:地域に根ざした食育推進協議会 事務局)


【表彰式に戻る】