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6 農林水産省 消費・安全局長賞 <食品産業分野>   株式会社 日立柏レイソル

楽しく!元気に!強く!〜挑戦! 「食育」をスポーツの現場から〜

発表者:柴田麗さん

■設立当初から始まった食事への取り組み

 柏レイソルでは、1988年に中学生のサッカースクールが設立された当初から、食事に関する取り組みを始めていました。

 当時のスタッフは発育発達の面から「練習が終わったら直ぐに何かを食べさせたほうが良い」と考え、「1本の牛乳」を提供することを始めました。その後、高校生だけは、練習が終わって、近隣の中華料理店で食事ができるようになりました。しばらくすると、中学生と高校生に近隣の仕出し弁当を発注し、練習が終わった後に食事をするように変化しました。

 Jリーグに加入した翌年には、練習場、スタジアムと同じ敷地内にフードサービス日京クリエイトが運営するレストラン「ピアノ」が設立され、トップチームのプロ選手は練習後すぐに、食事ができる環境になりました。2000年になると、「成長期である彼らこそ練習後すぐの食事が非常に重要である」と考え、トップチームの選手と同じ施設レストラン「ピアノ」で食事ができるようになりました。このように、コーチ、スタッフが選手の成長面と食事について考え、段階的に発展されてきました。

■選手に食事を選ぶ力を身につけるために

 近年、スポーツの世界でも栄養学が進歩してきました。柏レイソルでは食事を提供するだけでなく、選手自身に食事について考える力を身につけ、保護者の方にも食事に対する正確な知識を持ってもらうために、2006年から、スポーツ栄養の専門家である、ザバス スポーツ&ニュートリション・ラボと共同で、食育活動を実施していくことになりました。

 2006年度から中学生を対象とした栄養指導をスタート。次年度からは、小学生から高校生までの一貫した食事の教育や、食事の指導を実施するようになりました。
 選手を取り巻く食環境は右の図のようになります。

 目的は年間を通じて2つをかかげました。
・自ら食について考える習慣を養い、正しい栄養知識と食品選択能力を培うこと、
・食を通じた心と体の健全な成長 

 実際に行った一部の取り組み内容をご紹介させていただきます。
・選手の状況を知るために、3日間の食事調査
・選手は食事に対してどう思っているか、実際に行動しているのかという意識と行動調査
・選手、保護者に栄養の重要性を理解してもらうためのセミナー

・栄養ドリル ⇒「栄養ドリル」は、 栄養に関する設問をサッカーと関連づけ出題。1回のドリルは約5問程度。それを月に2回実施しました。選手が答案を提出した後、採点し、次週解説と一緒に返す。という繰り返し学習を実施していきました。年20回のドリルはファイルにはさんでいき、分からないことがあればまた見直しができるような形をとりました。

・情報レター ⇒「情報レター」は保護者の方への栄養の情報配信です。内容は「栄養ドリル」とテーマがリンクしており、共通理解のもとに家でも食事の話ができるように意識してきました。

・遠征実習 ⇒選手が、栄養ドリルなどで得た知識を、実際に自分たちが現場で活用できるように、遠征先のコンビニエンスストアーやスーパーなどで、「予算内で何が買えるか」「自分たちには何が必要か」「今日の食事を振り返ると間食で何を選べばいいか」を考えて購入する「買い物実習」実施しました。みんなすごく楽しそうに買い物をしていました

・現場との連携 ⇒レストラン「ピアノ」を管理している日京クリエイトの栄養士さんを初めとするスタッフの方々との連携です。日々のメニューの相談、試合時の食事メニューの依頼、残食の状態を見る、季節のイベントの際には特別なメニューをいれてもらう、普段の選手の様子を聞くなど、協力しながら取り組みを進めてきました

・料理教室などのイベント ⇒保護者のための調理実習の講師は「ピアノ」の栄養士、調理士の方々です。日頃の選手たちの人気メニューを家でも再現できるよう、プロの技術を、教えてもらいました。保護者の方はレストランにいらっしゃることはありませんので、非常に興味を持たれた上、「家でも早速同じメニューを作ります」という感想をいただきました。 
  小学生には、生クリームからバターを作ったり、乳酸飲料やチーズを作るイベントを実施しました。
  そうすることで、自分たちが普段食べている加工食品が何からできているのかに興味を持ち、食事その物に興味を持てるようなきっかけにと実施しました。

■地域に密着した食育活動の継続を

 昨年度の食行動に関する選手たちの意識調査では「取り組み前」「取り組んで半年経ってから」「一年後」で、バランスのよい食事をする選手の割合、食事はサッカーをするために必要であるかというような内容を調べています。今回、詳細な数値は示しませんが共に良い傾向になっていました。食事に関する取り組みは目に見えない結果に疑問を持たれることなどから、取組み自体の必要性の是非にもなります。しかし、選手が仲間や家族との食事の重要性を理解し、マナーを身につけることは、豊かな人間の形成や豊かなコミュニケーションの構築に欠かせないと実感しております。
 柏レイソルの来年度の展開と展望としては、プロのサッカー選手を育てる中で、食育活動の継続・定着を図る方向を目指します。小学生/中学生/高校生と年代別に目標決め、食事の知識を得て自分で感じ・考え・行動する選手を育成していきたいと考えております。また、段階的な取り組みを繰り返す中で、選手の変化はさることながら、地域での食事に関するセミナー依頼などの波及効果が見えてきました。 地域に密着することを目指すJリーグのクラブとして、地域に貢献することを使命と考え、小学校低学年向けのスクール、地域の学校訪問、交流戦など、サッカーの普及活動を軸に、共に食育の活動を地域に普及していくことを挑戦していく考えです。
 以上で終わります。ありがとうございました。

(要約文責:地域に根ざした食育推進協議会 事務局)


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