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2 農林水産省消費・安全局長賞 <食生活改善分野> お父さんの料理教室

単身赴任お父さんの料理教室〜「食べる」ふれあい毎月開催〜

発表者:堤浩隆 さん

■22年目をむかえた料理教室

 「お父さんの料理教室」は、官公庁が多かった島根県川本町で、単身赴任者の偏りがちな食生活の改善を地域住民と考え、交流をはかり、親睦を深めることで地域の活性化の一端となることを目的としまして、昭和62年5月21日にはじまり、今年22年目に入ります。先月、1月27日の教室で第263回をかぞえました。

 メンバーは職域や地域で班分けをしておりますが、教室開催の際は、班は関係なく、和気あいあいと調理をおこなっております。
  現在は35名が入室しており、室長1名と副室長2名、若干名の役員、それから講師にも参加していただいて、3カ月に一回役員会をおこない、開催日や習いたい料理、使いたい旬の食材などを決めております。 副室長のうち1名は代々、単身赴任の方がつとめております。メンバーはお父さんだけでなく、若い独身男性や花嫁修業の女性、国際交流員さんも入会しています。


■食材はできるだけ、地元産の旬のものを

 開始当時はまだ、地産地消という概念はありませんでしたが、教室のポリシーとして当初から、できるだけ地元産の食材で旬のものを使うようにしております。イタメシ、エスニックなど、その時々の流行りの料理にも挑戦し、米不足の折にはタイ米のおいしい料理の仕方も習いました。現在は、時代の流れの中で「エコクッキング」を心がけております。

 今でこそ、男の料理教室というのはめずらしくないですが、地元島根県やお隣の広島県などのテレビ局の取材も何度か受け、緊張で手が震えるなか、調理場面を収録いたしました。
 今をときめくレスリングの浜口京子さん親子ともNHKの番組でごいっしょさせていただいたことは、大変なつかしい思い出です。

 また、転勤による退会にあわせ、希望者の方を対象に、記念植樹を8年前からおこなっております。種類は桜と梅で、現在40本を超えました。既に花をつけている木もあり、再開のきっかけづくりになればと続けております。

■イベントでの十八番料理は「広島風お好み焼き」

 平成2年、地域活性化のため企画されました「葉月のきらめきフェスティバル」にあわせて主催者から出店を要請され、集客の一助になればと教室の総力をあげて参加しました。
  屋台はなにぶん初めての挑戦で、メニューづくりから始まって試行錯誤の連続でしたが、フェスティバルは5年続き、名物屋台となりました。またこれを機に、メンバーでありました当時の総務事務所職員の助力により県から助成をいただき、テント、鉄板台など、備品を整備いたしました。
  イベントにあわせてオハコ料理を作ろうということで、お隣広島県の「広島風お好み焼き」に決定。有名お好み焼きソースのメーカーへメンバーが研修に行き、以後イベント時の教室の名物料理となりました。

 「葉月のきらめきフェスティバル」が終了した後も、実績を買われたのか、夏祭りへの出店オファーがきまして、不慣れなことではありましたが、レジや客の呼び込みなど、協力しながら行っております。たまには失敗もしてチェックも入るのですけれども、こういうものが、毎月の教室とはまた別の、メンバー同士のふれあいになっております。

■炊き出しボランティア活動が教えてくれたこと

 地元へのボランティア活動も、教室の活動の一環として行っています。老人福祉施設への慰問、イベント時の収益金の寄附、チャリティコンサート会場でのお汁粉サービス、共同作業所の通所者の方をお招きしての食事会の開催、保育所へのイベント協力などもおこなってまいりました。

 平成7年2月8日には役場からの要請で、阪神淡路大震災への炊き出しボランティアに参加いたしました。
 構成メンバーは、我々と役場職員、商工会青年部の総勢12名。2日間に亘り、須磨高校、滝川学園、飛松中学校と避難所をまわりました。

 豚汁などの炊き出しを大変喜んでいただきまして、「食べること」がいかに、人間にとって根元的な営みであるかということを感じました。しかし、あまりの惨状を目の当たりにしたり、体験談をお伺いするうち、大変いたたまれない気持ちになってへこんでいたのですけれども、朝、我々の朝食用に持ち込んだパンと、お湯を紙コップに注ぐだけのコーヒーを用意しておりましたら、その香りに誘われたのか、避難所の皆さんが出てこられて、結局それを全部さしあげることになりました。
 そのとき、炊き出しの時とはまたちがう笑顔をいただきまして、多少へこんでいたのが救われたような気持ちになりました。

 あたたかいコーヒーを飲むなんてことは日常茶飯事、当たり前のことなのですが、それすらできない状況の中で、コーヒーというのは別に飲まなくてもすむものではありますが…、人にとって「食べる」「飲む」ことがエネルギーの摂取ではなくて、こころの糧とか栄養になるのだなと強く感じました。

■世の男性諸氏のために?「20周年記念のレシピ本」

 100回記念といたしまして、当時のテレビ番組で「料理の鉄人」に掲げられました程一彦氏を招き講演会を行いました。200回記念には、料亭「つきぢ田村」の代表、田村暉昭氏を招いて講演会を開催しました。いずれも、町民の方にも無料開放し、いっしょに聴講いたしました。その中には料理店の方もいて、「大変勉強になった」と感謝のお言葉をいただきました。

 料理好きなグループやサークルに呼びかけまして、平成8年から料理サミットを開催しております。今年で第13回を迎えました。日頃鍛えた腕の披露や、試食会でレシピの交換や活動報告をし、今後のネットワーク構築をはかることを目的としております。
  統一テーマとしまして、地元の特産品をつかって素材自慢、腕自慢ということで、今年(2009年)は3月20日(金)に行います。また、第9回の全国エゴマサミットを6月20〜21日に川本町で開催することになり、「お父さんの料理教室」も協力する方向で準備をしているところです。

 県内の出版社からレシピ本発刊の提案がございまして、ちょうど教室も20周年を迎える年でもありましたので、記念して発刊することにいたしました。現在、講師をされている大野先生に習ったレシピの中から、四季折々の料理80種類をリストアップしました。が、1月に、しかも2日間で80種類をすべて調理し、撮影するということは、冬場に夏場のものも用意するということで、食材の調達からしてもほんとうに大変でした。
  メンバーを2班に分け、何種類もの料理を同時進行で調理し、カメラマンの指示で手順のショットを撮りました。器を提供してくださった陶芸家の方の古民家をお借りし、作った料理を持ち込んで完成させ、盛りつけの料理を撮りました。慣れないことで疲労困憊しましたけれども、先日、出版社へ問い合わせたところ、既に千冊以上売り上げているということでした。
 我々の作りました本が、世の中の男性の役に立っているのかなと思うと大変うれしく思いますし、男子が厨房に入るきっかけになれば、と願っております。また、この本の完成に関しましては、ほんとうに大野先生の助力なしではあり得なかったことで、改めてお礼を申し上げたいと思います。

■川本町の名物丼を作ろう!

 町内の道の駅、インフォメーションセンター川本の名物丼を作ろうというコンテストがありまして、我々も参加いたしました。
 22点の応募作品があった中、我々は上位5位以内に入りましたが、残念ながらグランプリ、準グランプリは逃しました。グランプリ作品は「春巻きヤッホーサラサラ丼」で、川本町の特産でありますエゴマ入りの春巻きをのせ、最後はスープをかけてお茶漬け風に楽しめるものでした。
 我々の丼は同じく川本の特産のエゴマ、マガモ、白ネギ、シイタケ、畑野コンニャクを贅沢に使い、韓国風に味付けしたのですが、道の駅の商品としてはコストパフォーマンスに難があったようで、グランプリ・準グランプリは逃したというところです。

 また、町内で土日に空いている飲食店が少ないという声を受け、教室のメンバーが平成9年に調理師免許を取得していたこと、平成16年9月に「島根生涯現役チャレンジ事業」の助成金をいただいたこと

、それにあわせて有志で出資金を出しまして、お父さんの料理の店「岩見屋」をオープンし、週末の町のにぎわいの一役を担っております。これはローカル局ですが、柳沢慎吾さんが来町されまして、記念写真を撮ったところです。


■食とは「人に良いこと」

 現在、さまざまなキーワードで、現代日本の食の問題点が浮かび上がっております。大げさに言えば、今こそ正しいものを正しく食べるということをおろそかにしてはいけないのだなと思います。食とは、字をばらしますと「人に良いこと」と書きます。また、良いことではないといけないなと、私たちは教室活動を通じてそれを学ばせていただきました。これまで21年、食を通じて交流の面をすすめてまいりましたが、この受賞を機に食育の観点からも、これからも活動をつづけていきたいと思います。
 以上、ご静聴ありがとうございました。島根なので、だんだん(ありがとう)!


(要約文責:地域に根ざした食育推進協議会 事務局)


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