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4 農林水産省消費・安全局長賞 <食育ネットワーク分野> 三島市民生部健康増進課

三島市民家族団らんの日 〜今日は家族みんなで夕ごはん〜

発表者:小池満 さん

■「三島市家族団らんの日」を定める

 今日は、「三島市民家族団らんの日〜今日は家族みんなで夕ごはん」という事業のご紹介をいたします。百聞は一見に如かずといいますので、まずこの事業の内容を静岡第一テレビのニュース「リアルタイム静岡」という番組で特集をしていただいたビデオを流しますので、そちらの方を5分間、見ていただきたいと思います。


【「家族団らんの日」がスタートした日のようすや、市が定めた経緯を紹介するTVニュースを紹介】

 このへんでビデオの方は終わらせていただきます。これは、去年の6月19日から「市民家族団らんの日」としてスタートしたものですから、この日に取材してニュースとして流したものです。

 後で詳しく説明したいと思いますが、その前に三島市の食育の全体像を少し説明させていただきます。行政が食育に取り組むにあたり、非常に食育自体が幅広いものですから、1分野だけでなく、いろいろな分野で総合的に進めていかなければなりません。

 そこで、総合的に食育を進めていくために、まずはじめに「三島市食育基本計画」を作りました。ただし5年の計画が終わって食育そのものが終わることがないように、今現在、さらに基本条例を作っています。その条例とあわせて、この2月から議会がはじまりますけれども、議会のなかで食育推進都市として内外にPRしていこうという風にがんばっています。
 今の「家族団らんの日」も、恒久的に市民にやってもらいたいという願いを込めて、この条例の中にも食育を効果的に推進していく日を作ろうと案として設けて、2月からはじまる議会の中で審議をしていくという状態です。


■食育5つの柱

 この中で食育を五つの大きな柱に分けております。
 一つめが「健康」ですね。食育というのが最終的にどこへ到達するかというと、やはり健康だと思うのです。
 この健康という軸がブレてはいけないということで、まず健康をメインにおきました。私たちの生活のために、いろいろな分野に食育を発展させていかなければなりませんので、「食を通じた豊かな心の育成」ですとか「食の安全・安心の確保」を位置付けてあります。安全というのは、有害物質が入っていないとか、そういう安全性です。安心というのは、安定的にそれを供給できるかという部分の安心です。
 また、日本の食文化を含めて地域の伝統的な食文化が忘れつつありますので、いかに次世代に引き継ぐかということが四番めです。地産地消もその中に入って一緒に進めていっている状況です。
 それから、食を通して地球環境にも貢献していこうじゃないかということで、この五つのテーマを設けて三島市は進めております。

 分野ごとに私たちの市で行っている行事としては、「食育教室」や「食育出前講座」があります。
 食育教室は学校へ栄養士が行って授業をし、食育出前講座は、PTAとか地域の婦人団体とか女性団体のようなところへ栄養士が行って講座を行うということをやっております。

 あとは、「健口教室」「健骨教室」ですが、食として一番大事な口の衛生管理のためブラッシング指導なども学校へ出向き、うちの歯科衛生士が授業をやっております。
 健骨教室は、骨密度測定器を使って骨の健康を調べて栄養指導をしていきます。あとは、「豊かな心を育てるため」の一つに、「三島市民家族団らんの日」の事業が入っています。「食育元気教室」は、市内にある日本大学の短期大学部食物栄養学科の生徒が保育園に行き、実際にそこの園児に味覚教育などいろいろなことをやっています。

 それから、「郷土の安全・安心な食文化のために」ということで、みしまコロッケがあります。これは今の三島の箱根西麓(せいろく)、箱根の西側の山麓に優良な畑が広がっているのですが、そこでとれる馬鈴薯(メークィーン)が非常に高級なもので、めったに地元には下りてこないのです。そのまま東京の帝国ホテルとか、そういうところへ行ってしまうものです。そういう食材の粒が揃っていないものを集めてコロッケを作って売り出そう、と。今日の優良団体にも富士宮市の「いただきます検定」が入っていましたけれども、富士宮焼きそばの次をはってがんばろう、と。今年の敏腕グルメに参加しようと思って、これも一生懸命やっているところです。そして環境問題については、環境保全型農業ですとか、市内の店舗は全部レジ袋を廃止して有料化し、買い物袋の持参を進めております。

■食育よりも先に、家にお父さんが帰ってこないことが問題?

 では、「三島市民家族団らんの日の創設に向けて」ということで、そのきっかけから説明させていただきます。
 食育基本計画を作る市民会議は総勢26名いるのですが、日大の食物栄養学科の教授を座長に、自治会やPTA、医師会、歯科医師会のメンバーも入って、大きな市民会議を作っています。その中には公募で市民の方が3人いらっしゃいますが、この計画を作るときにもいろいろな意見が出ました。

 その会議の中で「食育よりも先に、家にお父さんがいないことが問題だろう」と批判的な意見が出ました。「行政は食育、食育と言うけれども、食育を進める前に、お父さんを家に帰すことをやらなければ意味がない」という厳しいご意見をいただきまして、それを何とか実現させる方法はないものか、と。やはり現状でいえば、毎晩毎晩お父さんが遅く、家族団らんで食事をしようにも、お父さんがおらず子どもと母親だけで簡単な食事になってしまうとか、お惣菜を買ってきてすますようになってしまう。そういう現状があるものですから、ではこれを何とかしようと考えました。

■「家族団らんの日」が決まるまで

 そこで、家族で団らんする機会を、行政の方で設けられないか、と。強制はできませんので、何かPRをして市民の関心をひくことができないかということで、「家族団らんの日」を作ろうということになりました。
 そこで、三島市食育基本計画の重点プロジェクトの中に「家族団らんの日を作る」ことを入れ、事業として進めることにしました。そこからいろいろな検討がはじまったわけですが、まずはその日をいつにしようか、と。
 週に1回あるいは月に1回、または2回、あるいは年に1回とか、いろいろな意見が出ましたけれども、国で毎月19日を「食育の日」にしています。ですから、その日が一番いいのではということになりました。また三島市独自に日を決めても混乱するということで、「食育の日」の19日を「三島市民家族団らんの日」にしようということになりました。

 ただ、市が勝手に「19日にします」と言っても、誰もふり向いてくれませんので、何かインパクトが必要なのです。そこでいろいろと考えて、4月からこの事業の検討に入ったこともあり、食育月間である6月の「食育の日」の19日にキックオフの宣言をしよう、となりました。

 ただ市長が記者会見の中で「やります」と言ってもインパクトはないわけですから、もう少し原点にかえって考えてみようということに。お父さんが家に帰らないことが発端になったのだから、事業所の協力がないと実効性に欠けると、事業所にも一緒に宣言してもらうことにしました。6月19日と決めましたから、その日に向けてなるべく大手の企業に集まってもらって宣言してもらおうということで進めました。

■第一回目の当日のようす

 6月19日にキックオフをした時は、市長から「三島市民家族団らんの日」を宣言しました。その後に、大手8社の事業所の事業者と労働組合の代表の方に集まっていただき、連名の宣言書を出していただきました。
  「よく組合が賛成したね」という話を聞きますけれども、これには一つ理由があります。ちょうど去年の今頃、「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」等が内閣府で定められ、それが経済界、あるいは労働界もそれに賛同して「一緒に進めていこう」という気運があったのです。ですから、こういう家族団らんの日を設けるからそれに賛同してくださいという市からのお願いも、快く引き受けてくれました。

 そういうことで、実際に6月19日に大手8社、従業員でいいますと約4千人となりますが、4千人というと市内の労働者の約10%にあたるものですから、大手企業が集まっていただきました。
 企業にただ19日といってもなかなか無理があるものですから、企業が今まで進めている、例えば「一斉退社の日」、「ノー残業デー」を「わが社の家族団らんの日」にしてもらい、まず進めてもらいました。そして、19日も併せて「市民団らんの日」にしていただくことで、宣言書をそれぞれ出していただきました。当初は8社でしたけれども、今現在は14社にまでふくらんでおります。

 それから、これは同じく6月19日のスタートの日に、市内の小売店舗にも協力願いました。市でのぼり旗を作って店舗に渡し、売り場に立ててもらいました。やはり、小売店の方もそれをうまく商売に結びつけてもらうように、例えば「家族団らんセット」のように簡単に食材を一同に集めたセット物を売ったり、そういうような協力をいただきました。これも毎月19日には旗を掲げていただいて、継続して家族と一緒に食べる材料を提供してもらうことも進めています。

■市民に関心をもってもらうための試み

 一番大事なのは、どのようにもっと市民に周知していくかということですが、とりあえず6月19日からキックオフした後に、市内の小中学校と高校をまわって団らんの日のポスターコンクールに出していただくようポスターの募集をし、10月19日に食育フェスタを行ったのですけれども、その中で表彰させていただきました。高校生の部の優秀作品が、左側の方にあります。実はこれを表紙にした食育カレンダーを今年のカレンダーにしました。三島市は毎年カレンダーを作って、全世帯に無料で配布しております。だいたい4万5千世帯くらいありますので、今年はテーマを食育にして、中学生と高校生の食育ポスターコンクールの優秀賞を掲げて、これも現物を今日持ってきて後の方に貼ってありますので、また後で見ていただきたいと思います。

 そういうことでなるべく市民に関心をもってもらおうと、今現在も進めているところです。そして、先ほど説明しましたけれども、みしまコロッケを使って、親子で料理する機会を作っていくという、地産地消と併せて家族団らんの一つの手段を提供していくということもはじめております。

 食育教室や食育出前授業のようすも写真でご紹介します。また、「健骨教室」「骨元気教室」では市役所の玄関ホールで、市民に骨密度測定器を使って、保健師や栄養士が栄養指導をしています。大学生との協働による食育元気教室も行っています。これも、学生たちが自分たちがもっている専門知識を使って、保育園の園児に教育していただいています。特に味覚については、非常に好評を得ています。

■食育は言うだけでなく、まず実践

  最後になりますけれども、三島市は来年から完全米飯給食を行っていきます。現在、週3回ですけれども、今年の4月からそれを週4回に増やします。平成22年の来年から完全米飯給食にしようという計画です。
 ただ、いろいろな問題があります。ハード的に言えば、各小学校や共同調理場が持っている釜の数が足りず、全部自校炊飯ができればいいのですけれども、なかなか経費的にむずかしいことがあって、委託炊飯にしていることが多いのです。委託炊飯の数をこれ以上増やしてしまうと給食費に影響するのです。
 そういうことをひとつ一つクリアしながら、やはり調理員さんと学校の先生方の協力がないとできませんので、これから先生方にもご飯のいいところなどをいろいろと教育してもらいながら進めています。

 食育というのはただ言っただけではなく、それを実践してくれないと意味がありません。各家庭で親から子へ自然と教えていくということができないと、なかなか伝わっていかないと思います。行政は、それをあくまでもお手伝いする立場にいますので、黒子になって市民の食育をこれからの食育を進めていきたいと思います。ご静聴ありがとうございました。

(要約文責:地域に根ざした食育推進協議会 事務局)


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