地域に根ざした食生活推進コンクール2001 【前のページに戻る】

農林水産省総合食料局長賞

食生活改善分野

「郷土食の伝承を通じて広がる食育の輪」

中野市食生活改善推進協議会(長野県中野市)

【活動の内容】

(1)私達の活動
 中野市食生活改善推進協議会が発足した当時、長野県、特に北信地方(私達の地域)は、塩辛い野沢菜漬けがたくさん漬けられていました。塩分の取り過ぎによる高血圧症・脳卒中が、県下でも上位を占め、減塩料理の普及・定着が食生活改善活動の中心でした。


 現在、市では他地域と同様に、少子・高齢化が進んでおり、食生活を中心とした健康づくりを進める私達の活動は、すべての人のさまざまな場面にかかわっています。

薄味でバランスよく食べて、元気で長生き
子供たちには作る楽しさ、食べる大切さを
高齢者には、いつまでもおいしく食べよう


などを目標にして、すべての人々を対象に、さまざまな活動を進めています。


(2)〜郷土食の伝承を通じて広がる食育の輪〜きっかけ
 平成8年度に、県食生活改善推進協議会で『地域の郷土食をよりよく次代に伝えたい』と、県下各地の郷土料理を選び、料理カード集を作成しました。そこには、中野市協議会の作品も選出され、市協議会において、『郷土の食文化の伝承』の気運が、より高まってきました。


 平成9年度には、県下全地域の食生活改善推進協議会で、県民の皆さんの御協力を得て、食生活アンケート調査や私達の課題である減塩について調査を行いました。


 そこで、はっきりしてきた地域の課題は、『若い頃からの健康生活習慣の定着』というものでした。それが県下全会員共通の目標となり、力をいれて活動を進めることになりました。


(3)活動の目的
 若い人々に、つくる楽しさを感じ、自分の食生活と健康について考えてもらうために、この地域に伝わる郷土食を媒体とする料理講習会を開催しています。


(4)具体的な方法
 ア:若い人々(幼児〜高校生、母親など)に講習会を開催するために、公民館、学校、PTAなどと連携を図り、料理講習会を積極的に開催しました。

 イ:この地域に伝わる郷土食、特におやつのようなもので『講習会に参加したすべての子どもたちが作ることに参加し、手軽に食べられるものであること』を念頭におきながら、題材を選んで講習会活動を行いました。題材は、主に、おやき、やしょうまなどでした。

 ウ:郷土食紹介

 『おやき』…小麦粉を練った皮で、四季折々の野菜を包んで蒸した物で、“野菜まんじゅう”とも言われています。昔、お米が貴重な時代の食文化で、主食と野菜を組み合わせた食事として、現在もいろいろな趣向を凝らして作られています。おやきを通じて故郷を語り、郷土の食文化を語ると言われ、長野県を代表する郷土食です。


 『やしょうま』…お釈迦様の命日(3月15日)に、仏様に供える米の粉で作った細長い団子の変形したものです。


 昔は、ごまや大豆を入れた素朴な物でしたが、自然の着色(ビート大根、ホウレン草等)を使い、バラの花やキャラクターなど、さまざまな模様を作り、金太郎飴の方法で、直径5cm位に延ばし、糸で1cm位の厚さに切り、分けて食する。また、模様を楽しむ郷土食です。


(5)実施状況と感想等
 好評であり、年々、広がっています。


 ア:幼児と母親への働きかけ
 具体的な活動としては、まず、就学前の子どもと母親、すなわち公園デビュー者を対象に公民館の躾教室があるが、そこに参加し、郷土食(やしょうま)やおやつをいっしょに作っています。若いお母さんの中には、まだまだ自分中心で、親になりきれてない人、子どものまま親になったような人が見受けられ、核家族の悪い面がうかがわれます。昔は、何世代もの家族がおり、いろいろな食べ物に接する機会が多かったので、四季折々の季節のものが目に入り、口に入った。しかし、今は、親が努力しない限り、子どもの口には入らない。日頃の活動で、子どもたちの食の幅の狭さを感じます。若い両親に食の大切さを感じて、ぜひ、小さな頃からたくさんの種類の食物を少しずつでも食べさせてほしいと呼び掛けています。

 イ:小学生への働きかけ
 小学生を対象とした親子の料理教室では、教育委員会、PTAと連携を図り、『作る楽しさ、主菜・副菜・副々菜を組み合わせた正しい食生活のあり方』を伝えています。私達は、この教室の中で、郷土食の伝承を受け持っていますが、この講習会がきっかけで、親子が日曜日に、『やしょうま』をつくり、親子が一致団結する機会になったと聞いています。


 また、ある小学校の5年生の授業に『郷土食の伝承(おやき)』として、参加させていただいたことがある。この学習会をきっかけに、家庭で子どもが中心となり、おやきづくりに挑戦し、日頃、距離があるおばあちゃんも加わることができ、家族のコミニュケーションがよくなったと好評です。先生方とは違った立場で教えてもらうことが、効果を上げていると学校側からも好評です。健康づくりの基礎となる時期に食生活の大切さを更に、しっかり伝えようと思っています。

 ウ:中学生・高校生…社会人講師として
 中学生・高校生との交流も多くなり、地域の社会人講師として授業の中に参加しています。ある高校では、『郷土食を学ぶ』と講習会が定着して、2年生全クラスで2回ずつ、郷土食(おやき・やしょうま)の実習を行っています。生徒と料理講習会をして感じることは、生徒の親が子どもの頃は高度経済成長期で、インスタント食品の開発がすすみ、手作りおやつを体験する人も少なく、郷土の食文化の伝承も途絶えがちであった様に思うことです。
 生徒達に働きかけたことが、家庭に伝わり親子のコミニュケーションの役割を狙っていると聞いています。


(6)成果
 郷土の食文化の伝承を活動に取り入れはじめた小学校の『親子の料理教室』をきっかけになって、卒業した子どもたちが中学校へ、高校へと成長し、そこでまた、つながりができて広がった活動もあります。


 このように、私達が、息長く、こつこつと進めて来た活動が、また、力をいれて、はじめようとした時に、道が開け、今年度も、10月から2つの高校で、12回の講習会を実施することになり、年を重ねるにつれ、定着してきたところです。


 そのうちの1高校の先生から便りが届きました。そこには、「ヘルスメイトの皆様に、郷土食(おやき)を学んだ生徒も、はや、大学生。こんな手紙が届いたのでお送りします。『“学園祭”で仲間を誘って、“おやきづくり”に挑戦し、試食“長野の味”として振る舞ったところ、拍手喝采を浴びた。それが、自分の自信につながった。感謝している。教えてくれた“おばさん達”によろしく…』」とありました。


 私達の小さな活動が大きく芽生えたことを実感し、草の根の活動を続ける推進員として大変な感動をおぼえています。この郷土食づくりの体験が媒体となって、次代を担う子どもたちに”つくることとの楽しさ”“人間らしい味覚の定着”を伝えたいと思います。成人するまでに、しっかりとよりよい食習慣を身に付けてもらいたいことはいうまでもなく、食を通して人と人が触れ合い、そして心の豊かさを育んでほしいと思っています。この子どもたちを中心とした活動を通して、食の持つさまざま役割の大切さをしっかりと伝えたいと思います。


(7)今後に向けて
 食生活改善推進員として、市民の健康づくり・食生活改善にと、様々な人々と話し合いながら推進活動を展開してきました。今後も、会員の総意と工夫で、子どもから高齢者まで、よりよく生きることができる地域づくりをめざして、21世紀の健康づくりの担い手として、時代の流れや、地域を見据えながら、今後も、草の根活動を進めていきたいと考えています。


 特に、ヘルスサポーター育成事業が、全国の協議会で開始されたことも踏まえ、食と健康についての話も進め、生徒1人1人に、食生活・健康の実施目標を具体的にあげてもらうことを考えています。



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