地域に根ざした食生活推進コンクール2001 【前のページに戻る】

農林水産省総合食料局長賞

教育分野

「おじいちゃん・おばあちゃん学校給食を食べてみませんか」

西会津給食センター(福島県耶麻郡西会津町)

【活動の内容】

 西会津町は、郷土食の宝庫です。食材の例をあげると、「つと豆腐」「しし茸」「切り干大根」「にしん」「車麩」「ぜんまい・山菜」「笹だけ」等々数えきれません。「つと豆腐」の作り方は、豆腐をすだれで巻き10分くらい鍋で煮て作ります。会津を代表する「こづゆ」に入れますが、会津広しといえども西会津町の野沢地区だけに伝わる食材です。野沢地区から他の村に嫁いだ娘さんは、どういう訳かこの「つと豆腐」入りの「こづゆ」を、嫁ぎ先の家で作ります。お母さんから教えてもらった「つと豆腐」が忘れられないのだと思います。


 当センターのメインメニューにあげられるのが「しし茸ごはん」です。「しし茸」は、別名「こう茸」とも言います。福島県内でこの「しし茸」ご飯を学校給食に提供しているのは、当センターだけです。このきのこは、山から取ってきて太陽に当てると「すばらしい味と香り」になります。給食センターの前に2〜3日干して作っていると、生徒から「あっ、今年もしし茸ご飯食べられるの」と声がかかります。「雨が降れば、中に入れ」「太陽が出ると、外に干し」「曇りの時は、ハラハラしながら空を見上げ」、とても手間がかかりますが、この笑顔が見たくて今年で5年目になります。


 また、車麩を使った「ひみつの麩ふふ」という料理があります。車麩を水でもどしてよく絞りスキムミルク・溶き卵で和え、油で揚げ甘醤油のタレでまぶし、粉のりをトッピングします。


 この料理は、児童生徒が好んで食べられるようにアレンジした料理です。車麩は濃い口醤油で煮ると真っ黒くなり、昔からお年寄りの食べ物だと思っておりました。濃い口醤油を薄口醤油に変え、煮るのではなく揚げ「卵の黄色」と「スキムミルクの白」「粉のりの緑」で見た目も美しく食欲をそそるように工夫し、出来上がりに甘醤油をさっと上から掛ける様にしました。町の食生活改善推進員の方々にもこの美味しさが伝わり、この方々により各部落で作り方を伝授したり、沖縄の大宜味村にもこの料理が紹介されました。


 今年から「おじいちゃんおばあちゃん学校給食を食べませんか」というキャッチフレーズの企画を計画したところ、8グループ36名の方が学校給食を食べに来て下さいました。


 この方々がそれぞれの部落に帰り、口伝えに1人でも多くの町民の方に学校給食の意図するところを理解して頂ければと思っております。「孫達の給食を食べられるとは思ってもいなかった。」「愛情たっぷりだよなぁ」「だから美味しいんだ」とか嬉しい言葉を掛けていただきました。またある方は、おしゅうとめさんと自分のお母さんと3人で来てくださり、その姿はとっても微笑ましく思いました。お年寄りの方々には、「生活の知恵」や「郷土食」を聞き、それを学校給食に反映させたいと思っています。


 今年からミネラル野菜を使用しております。ミネラル野菜は、柔らかく・甘みがあり・食感がコリコリしてとても美味しい野菜です。


 こんなエピソードがありました。児童生徒にこのミネラル野菜を、じかに手に触れて感触を味わってもらいたいと考え、前日、小・中学校にミネラル野菜を展示しました。その時の事です。キューリを3本展示したはずなのに、1本足りません。「○○くん食べちゃったヨ」「ミネラル野菜おいしかったって…」。もう一本のキューリの頭には、しっかりと「誰かの歯型」がついていました。ミネラル野菜にすごく興味を持ってくれたのだと、微笑ましく思いました。


 各小・中学校の保護者の方にも、このミネラル野菜を試食して頂きました。その時アンケートを実施したところ、大部分の方から「これからもミネラル野菜を学校給食で使用して欲しい」という回答が得られました。来年からは、町企画調整課・農林課の協力を得て、春から秋まで、できるだけ町全体でミネラル野菜・ミネラルうどん・ミネラル果物等の食材を調達できるように、計画栽培を予定しています。その都度、町のケーブルテレビで放映し、町民の方々への啓蒙を図っております。


これからの課題

 「これからの時代は、児童生徒だけでなく地域の方々を巻き込んだ学校給食を考えなくてはいけないヨ」と、ある方が知恵をさずけて下さいました。この言葉をかみしめて、地域に密着した学校給食を考えたいと思います。また町で生産されるミネラル野菜・ミネラルうどん・ミネラル果物等を広く学校給食に取り入れ、地域の方々に1人でも多く学校給食を食べて頂き、お年寄りの方々にはいろいろな知恵を教えて頂き、触れ合いを通し児童生徒の健康のため、共に歩んでいきたいと考えています。


 平成12年度より、一年間1人当たりの栄養摂取量を、町役場の行政網で町民の方々に知らせており、この連絡網を継続すると共に、ケーブルテレビ等も活用して学校給食の啓蒙を図りたいと思います。平成14年度は、統合中学校が開校され町民の方々も自由に出入りができ、益々躍動的な年になり調理員と協力し共に乗り越えようと考えています


 児童生徒には、大人になって日本中はもちろん世界中何処にいても、スーパーなどで大根干し・ぜんまい等の食材を見かけた時、この緑豊かな西会津町と学校給食のことを思い出してほしいと願っています。



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