地域に根ざした食生活推進コンクール2001 【前のページに戻る】

農林水産省総合食料局長賞

食品産業分野

「安全安心 口福三昧」

マロニエ加工グループ(兵庫県城崎郡日高町)

【活動の内容】

 日高町は水田農業を中心に、豊かな農業が営まれていました。しかし昭和60年頃からは、水田農業転換により、米以外の多様な農産物が作付されるようになりました。そのような状況において、農家女性は農業生産と家庭運営、地域の食文化の伝承や普及など様々な活動を行なっていました。でも、地域社会や家庭での評価、認識は高くありませんでした。


 農家女性が地域社会や家庭で、もっと充実感をもてる活動をしたいという思いと町行政のふるさとにふさわしい産品創出により農家所得を向上させたいとの意向が合致し、町立の農林産物加工研修所が昭和63年3月に完成しました。この施設を拠点にして、ふるさと産品開発事業が展開され、様々な加工グループが育成されました。そのグループの中に「マロニエ加工グループ」の主体となった「にんじん加工グループ」も含まれます。


 加工研修所では出荷規格外の農産物を農産加工品の原料として利用・活用しようということで、開催された農産加工教室には地域の女性、約60人が参加しました。その中の有志20人で「にんじん加工グループ」を結成し、キャロットジャム等の生産に取り組みました。


 キャロットジャムの開発の初期には、地域の農業改良普及センターや県の研究機関の支援を受け、製品を作り、農協まつりや地域のイベントで販売を始めました。キャロットジャムの生産・販売を続ける一方で、消費者の反応を見ながら自らの工夫を加えてキャロットジャムの品質改善に取り組みました。さらに、地域で生産されるイチゴ、ブドウ、ナシ、ゆずなどを原料にジャム加工に取り組みました。他のグループも自らの発想や行政の支援を受け、特産加工品を開発していきました。


 平成2年、これらの加工品を町の特産品としてのイメージアップを図るため、栃の木(マロニエ)をシンボルとした「マロニエの里づくり」に取り組み、マロニエの里ブランド認証制度が設けられました。これらの加工品は町の特産として、地域で開催されるイベントを中心に本格的な販売が開始されました。但馬の祭典が行なわれた平成6年には、総販売額が4000万円を超えました。しかし、その後の阪神淡路大震災と長びく不況の影響で、特産品の売上は最高時の半分以下に激減し、低迷の一途をたどりました。


 このような状況の中、日高町と加工グループ員、JAたじま、地域農業改良普及センター等で検討会をもち、特産加工品の見直しをしました。この検討では商品の包装パッケージと商品の品質管理に問題があるとの結論がでました。これを受け、町では包装資材デザインの見直しと加工品の品質向上のための予算化を行ないました。


 これと並行して特産品販売活動をしている10加工グループで、マロニエの里ブランド検討部会を組織しました。特産品の改善方向の整理とコンセプトの確立のため、地域おこし・料理研究の専門家をアドバイザーに迎えました。アドバイザーとマロニエの里ブランド検討部会で宿泊研修会を開催し、農産加工グループのあり方、方向性、農産加工に対する取り組みについて、議論を重ねました。


 この宿泊研修会で農産加工グループとして、@町の特産品としてイメージ統一を図る、A特産品、お土産には土地の名前が必要、B日高町の特産品としてのストーリーの存在、C価格競争に巻き込まれないこだわり商品としての位置づけ、の4点が地域特産加工品には必要不可欠だと確認されました。また、この研修会から日をおかずに農林産物加工研修所で、アドバイザーの指導で商品開発のためのテーブルテストを行ないました。


 これらの指導とテストデータをもとに既存の加工品の見直し、包装デザインの検討を行ないました。これにより地域農産物の特性を発揮し、安全・安心が保証できて、人に優しく、健康に貢献できる加工品の試作品が出来上りました。試作品は加工グループ員が試食するばかりでなく、それぞれの家族にも味わってもらいました。あるグループ員の家庭では、孫が試作品を口にし、「おばあちゃん、これ売らんでもいいよ、うちで食べよう!」と言われ、ビックリするとともに、人に優しい本物の加工品を作ったことを再認識したと言っています。


 加工品にはジャム類がありますが、ジャム原料は日高町で生産されたイチゴ、ブドウ、ナシ、ニンジン等を使っています。ジャムの副材料には砂糖とペクチンを用いますが、ペクチンは愛媛県岩城村との地域間連携で、岩城村で生産加工している国産レモンを原料としたペクチン液を使っています。また、他の加工品に使用する調味料についても、同様なこだわりで厳選された材料のみを使用しています。油や味醂、醤油等は伝統的手法で製造された製品を用いるなど、マロニエ加工グループのコンセプトと合致する副材料を厳選しています。


 マロニエ加工グループのこだわり農産加工品を生かすために、同じ視点にたった地域や企業との連携を図り、安定した食材の確保、群としての商品の安定供給をめざした生産・販売の展開が必要だからです。


 包装デザインは、名前が地域に浸透している神鍋高原をメインデザインとし、色調は安全・安心の思いを「山の緑」、清浄無垢を「白」で表現しました。商品パンフレットは、ジャム、つくだ煮、漬け物、駄菓子など加工品群にまとめ、それぞれに商品説明をつけ、ストーリー性をもたせたリーフレット「日高町口福三昧」にまとめました。


 このリーフレットは出来上るとすぐに、商品価格表、購入申込書を同封した封筒に入れ、日高町の全戸に配布しました。地元の皆さんに、すばらしい農産加工品が誕生したことを知ってもらい、味わって欲しかったからです。いかに良い食べ物であっても、地元の方々が見たこともない、味わったこともないというのでは、地域を代表する特産品には成り得ないからです。グループ員の日常の食卓ばかりでなく、地域に暮らす皆さんの食卓にのぼり、団らんの食事に添えられるものでなければならないと考えたからです。地域の食を正しいものに変えられる力がある特産加工品であれば、観光客として日高町を訪れ、直接購入してくださる皆さん、あるいは通信販売等を利用して購入してくださる皆さんも満足を得られると思います。


 試作品、包装デザインが完成し、事業が具体的に進み出していく中で、いくつかの問題点もでています。従来は農協が一括して販売していたため、製造販売登録は農協として登録していましたが、加工グループの責任で行なうよう依頼され、マロニエの里ブランド検討部会で検討し、加工グループで登録することにしました。このようなことは一つの事例ですが、行政や農業団体の支援を前提とした活動ではなく、自らの足で立つ農産加工グループとして、従来の加工グループの良き伝統は引継ぎながらも、新しいステップに踏み出すため平成12年3月に「マロニエ加工グループ」を結成しました。


 平成12年6月から12月での半年間での総販売実績は、前年度1年間分を大きく上回る6,300千円以上となり、その後も消費者ニーズをふまえながら、生産と販売を展開しています。


 「マロニエ加工グループ」は、農産加工を媒体として地域社会の運営に積極的に参画し、地域活性化の原動力となることを目標にしています。また、これらの活動は従来からある行政からの支援に基づいてでのものではなく、自立したグループとして運営しています。さらに、この活動を法人化することが次の目標です。地域活性の核となる企業として、次世代に継承したいと考えています。


 また、地域活動に積極的に参画しながら、情報発信と情報収集につとめています。そこから得た幅広い消費者ニーズに答えるため、食の基本に忠実に、しかも「安全・安心」のこだわりをもって自然の恵みを生かした加工品作りをし、地域の活性化や日本の食生活の良いところの伝承に貢献できたらと良いと考えています。私たちのこのようなこだわりを出来るだけ幅広い人に知ってもらうため、雑誌、新聞への掲載、テレビの特集番組への出演をはじめ、各種イベントへ積極的に参加しています。この事で、ひとりでも多くの方へこの意気込みが伝わることを願っています。


 一女性「起業」から「企業」へ成長し、地域経済に根を張るために、商品開発段階から原価管理を完全システム化しています。「マロニエ加工グループ」独自で開発したシステムにより、各商品の生産管理・販売管理・品質管理と顧客管理を、パーソナルコンピュータ―で一連管理しています。それにより、「マロニエ加工グループ」として1年半しか経過していませんが、合理的かつ独立採算商品として成り立つ特産品となっています。


平成12年度
・開発商品の安定供給と品質管理
・積極的対面販売による消費者ニーズの直接把握
・商品生産に関わる「レシピ」の再点検
・予約注文制度の試行
・顧客台帳の完成

平成13年度
・生産管理システムの完成と本格稼動
・法人組織設立のための法的根拠の学習
・素材安定供給のための契約農家登録
・生産計画に基づく新規雇用者の検討

平成14年度
・マロニエ加工グループ独自の専用加工所建設準備
・常設販売施設の確保
・従来商品の再点検(損益分岐点を70%とする)
・法人組織の設立準備

 行政の役割分担は、あくまでも後方からの支援であり、自立するグループの裏方としての役割を果たしています。具体的課題として「新規商品開発に関わる学習機会提供及び情報収集」、「施設建設等に関わる各種補助事業の立ち上げ」、「各種イベント参加への直接窓口」などを提起しています。


マロニエ加工グループ結成経緯

 平成11年度から地元の野菜と特産品を、地域住民に少しでも多く供給する目的で始められました。現在、役場前の広場で毎週金曜日開催されています。平成12年度からは、マロニエ加工グループ員も直接販売に参加することで、地域住民との交流を図りながら、町の特産品のピーアール活動と販売をしています。


 まちむら交流

 平成4年から、農家と都市住民(コープこうべ第7地区本部)との産直交流が特別栽培米「つちかおり米」を通して始まりました。平成5年から加工グループ員、稲作研究会のメンバー等で「マロニエの会」が結成され、「農村の抱える問題を共有し共に考える」を交流のテーマに活動しています。
 知る=転作作物そばづくりにチャレンジ
 見る=神戸交流
 広める=イベント、交流会への参加、特産品、農産物の直売
の活動を広める中で消費者と顔の見える関係づくりを進めています。
 また、参加対象者を広げるため、一般公募の実施やグリーンツーリズムバスの利用などを随時積極的に行っています。
 交流事業としては、年間約6回程度の事業を毎年計画しています。


その他 平成12年度の主なイベント参加状況
神戸中央郵便局震災復興一周年記念 7月5〜6日 (神戸市)
神鍋火山まつり 8月6日(毎年参加)(日高町)
兵庫神鍋高原マラソン 8月27日(毎年参加)(日高町)
元気ひだかふれあい物産まつり 9月10日(日高町)
神戸市水道筋商店街まつり 9月24日(神戸市)
大相撲但馬ドーム場所 10月12日(日高町)
但馬食文化まつり 10月14〜15日(毎年参加)(和田山町)
兵庫県民農林漁業祭 10月27〜28日(毎年参加)(明石市)
グリーンフェスタたじま 10月27〜28日(毎年参加)(豊岡市)
マロニエまつり 11月3日(毎年開催)(日高町)
コープ員まつり 11月3日(毎年参加)(明石市)
国府まつり 11月5日(日高町)


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