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第1回 食育推進全国大会

ニッポン食育フェアin大阪 ―伝えたい! 未来への贈りもの

親子で体験! 食育キッチンスタジオ〜講師:坂本廣子(料理研究家/食育推進協議会委員)〜

 「親子で体験! 食育キッチンスタジオ」は、午前と午後の2回、3歳から9歳までそれぞれ20組の親子が参加しました。参加者を事前に一般紙で募集したところ、午前、午後ともに定員の2倍以上の応募があり、参加者は抽選で決められました。この関心の高さに坂本先生はじめスタッフは、確かな手ごたえを感じながら当日を迎えたそうです。

 会場には大きなテーブルが4つ。そこに自分のお気に入りのエプロンをして、お母さんの手を離れて次々とテーブルに座り始める子ども達は、みんなちょっと不安そう。子ども達が席につくと、親は、テーブル後ろの見学席につきながらも、ちょっと心配そうな顔でわが子の様子を見守っていました。6歳の女の子のお母さんは「夕べ、今日が楽しみでうちの子、なかなか眠れなかったんですよ」とうれしそうに話してくれました。

 参加理由を聞いてみると…
 「今、料理にすごく興味があってやりたがるんです。でも私、怖くて包丁を持たせられないんです」(4歳男子の母)
 「2歳の時に初めてぐちゃぐちゃだったけど餃子を自分で作ったんです。それからすごく興味が出て、ハンバークなんか形は悪いけど自分で作るとよく食べるの。でも外食に行った時はハンバーグ、残してしまうんですよ」(3歳女子の母)
 「フルタイムで働いているから子どもに料理を教えてあげる時間がなかなかないんです。それに教える自信もないし…。だから週末は色々な子ども料理教室を探しては出かけてます」(5歳男子の母)
 「子どもにどう教えていいかわからないんです。だからプロの方はどう教えるかを一度知りたかったんです」(6歳女子の母)
などなど。ここに今回の「親子で体験」の意図がはっきり見えていました。

 子ども達は、サポート役のお姉さん達(多くは、坂本先生が教鞭をふるう大学の学生達)と一緒にまず手を洗います。今日作るのは、「三穀ごはん(白米、きび、炒り大豆)、じゃが芋のそぼろ煮、きゅうりのごま酢あえ、とうふのみそ汁」、計4品の日本のごはん。
 「みなさ〜ん! こんにちは。今日は自分のごはんを自分達で作りましょう」と、坂本先生の元気な声のあいさつで、いよいよキッチンスタジオオープン。坂本先生は作り方をひと通り実演しながら、説明していきます。最初は三穀ごはん。まず白米、きび、いり大豆などの違いをルーペで見ます。「とげとげやブツブツ…見えるかな?」との先生の声に、みんなそれぞれにルーペでのぞきます。

 次は、こぼさないようにザルを使いながら、「お米をこうしてキュッと手のひらで押すのよ」と、坂本先生が研いでみせます。研いだお米に、きびと炒り大豆、塩と水を入れ、中が見える耐熱ガラス鍋に入れて加熱開始。「透明な鍋を使っているのは、ご飯がどう炊けていくかを子ども達にしっかり見て欲しいから。今の子どもは電気炊飯ジャーしか知らないはずだから」と話す坂本先生。
 至るところに子ども達の五感に訴える、細やかな仕掛けをしていました。


 次はおみそ汁の準備。こんぶといりこを取り出し「これからおいしい味が出るの。みんな触ってみて、においもかいでみてね」と言います。子ども達はいりこのしっぽを持ってクンクンとにおいを嗅いでは、次々と水の中に浸けていきました。
 おみそ汁の具は豆腐とわかめ。先生はお豆腐を手のひらにのせて「包丁は下に降ろすだけ。引いたら手が切れちゃうからね」と丁寧に実演します。その姿を「子どもにここまでやらせて大丈夫なの?」と心配そうに見つめる見学席のお母さん達。
 次はじゃがいもの皮むき。ピューラーを使い「じゃがいもはまな板の上に寝かせてね。そうすると、じゃがいもが動かなくてみんなの小さな手でもむきやすいからね」と言いながら、皮をむいたじゃがいもを今度は包丁で、2〜4つぐらいに切っていきました。「包丁は使わない時は、まな板の上に刃を上に向けておくの」と、親達の心配の種を除くツボをきっちり説明していきます。
 最後はきゅうりのごま酢あえ。ピューラーで縦にきゅうりの皮をむきながら「しましまにね。裸んぼうにしちゃダメよ」と言っているうちに、ご飯の鍋の中がブクブク…。「みんな見て、見て! ブクブクしてきたよ。火を弱めてね。でも蓋を取ったらだめ。ここから10分。タイマーをかけてね」。もう子ども達の手は待ちきれません。

 いよいよ、各テーブルで本格的に子ども達の調理がスタート。確かに子ども達の小さな手では、じゃがいもをまな板の上で押さえピューラーでむくのも大変なこと。心配のあまり見学席からわが子に近寄り、つい手を出しそうになるお母さんを、先生は静かに止めます。親達の心配をよそに、スタッフのお姉さん達と子ども達は手のひらの上でちゃんとお豆腐を切り、あちこちからおいしいにおいがたちこめてきます。こうして子ども達で作る「日本のごはん」が完成!

 できあがったごはんは、子どもが持ちやすいように考案し開発された食器に盛り付けられました。箸にも、すべらないような工夫がされています。紙のランチョンマットをひき、箸置き、おみそ汁は右、ご飯は左、その向こうの真ん中に大きなおかず(じゃがいものそぼろ煮)、その脇に小さなおかず(きゅうりのごま酢和え)と並べ方もきちんと教えました。

 盛り付けが終わったテーブルから坂本先生が回り、「食べる前には『いただきます』、食べ終わった後は『ごちそうさま』と挨拶をちゃんとしましょうね。ではいただきます!」。続いて子ども達の元気な「いただきま〜す」の声が会場に響きました。
 見学の保護者には紙皿とお箸が配られ、「どうぞ皆さんもお子さんとご一緒に…」の先生の声かけで、お母さん、お父さん、妹、弟、おばあちゃん達も三穀ごはんやじゃがいもをほおばります。おかわりをする子どもが続出。「○○ちゃんの作ったごはんおいしいね。がんばったね」「ガラスの鍋でもこんなにおいしくご飯が炊けるのね」と、子どもの作ったごはんで家族の食卓が囲まれました。
 「うちではご飯をあまり食べないのに、今日はお代わりしてる」「うちでは野菜を食べないのに、きゅうりのごま酢和えをお代わりしてる…」とお母さん達からは次々と驚きと喜びの声が聞かれました。
 そして「子どもってすごい! 子どもってできますね。今まで怖がって包丁を持たせていなかったけれど、今日の夜からどんどんやらせてみます」と。
 4つのテーブルとも子ども達の作った日本のごはんのお鍋はみーんな空っぽになりました。

 最後に坂本先生が「食育は競争するものではありません。それぞれのお子さんと親子でみんなができる喜びを感じていくものです」と締めくくり、親子で坂本先生とサポートしてくれたお姉さん達にバイバイと手を振って、キッチンスタジオは無事終演しました。

うかたまカフェ〜五穀のおやつ〜

 これまで行われたの「ニッポン食育フェア」では毎回大人気の「みそ汁カフェ」(参照:第3回ニッポン食育フェア「みそ汁カフェ」)。みそ汁が、ニッポンの食事の代表ならば、食事と食事の間をつなぐ大切な役割の代表は「おやつ」。今回は、昨年創刊の雑誌「うかたま」から「うかたまカフェ〜五穀のおやつ〜」が初登場した。
 「うかたまカフェ」には、自分の地域の産品で作った「伝承・新作おやつ」を味わってもらおうと、全国生活研究グループ連絡協議会から、青森県、岩手県、兵庫県、和歌山県の4つのそれぞれのおかあさん達のグループと、まさに次世代の「食」を担う代表として滋賀県立八日市南高等学校食品流通科の生徒と先生達の2つの世代が出す「おやつ」のお店が勢ぞろいしました。

<青森県>

●梅しそジュース(桐萩生活改善グループ)
 三戸町産の梅としそから出た赤紫色の色がなんともきれいなジュース。広い会場をひとまわりし歩き疲れたカラダにさっぱりとした冷たい一本が大好評でした。

●玄米おせんべい(ハッピーゆい)
 青森県産のお米「つがるロマン」の発芽玄米と塩(天日塩)だけで作ったおせんべい。お米のつぶが残っていて、カフェではポンポンと気軽にかじる姿が。おやつはもちろん、お湯を注げば、おかゆや離乳食としても食べられるとのこと。まさに農家の「たべごと」の知恵がいっぱい詰まった一品でした。


<岩手県>

●三穀おにぎり(花巻地方生活研究グループ)
米、ひえ、もちあわを炊いてにぎったおにぎり。歯ざわりが良く、1個50円のうれしい価格でした。

●きみまんじゅう(気仙地方生活研究グループ)
きびを粉にした「きみ粉」で作ったおまんじゅう。やさしい色に気持ちが和みました。

●雑穀おやき(有限会社 板垣農場)
 豆腐のおからの活用目的で考えられたおやつ。おから、いなきび、米粉を混ぜ、えごま入りのみそをつけて焼いて出来上がり。注文を受けると、すぐにホットプレートで次々と焼かれ、「お待ちどうさま! アツアツを食べてくださいね」と大好評でした。

●豆銀糖(道の上生活研究グループ)
 もち粉、きな粉、砂糖を練ってから少しねじってまとめた食感も味も柔らかな盛岡、花巻地方の代表的なおやつ。


<和歌山県>

●みかん餅(有田市生活研究グループ連絡協議会)
 日本一のみかんの産地有田市でみかんの更なるPRのために考えられた、もち米にみかんを入れて作られたお餅。みかんの香りがただよいさっぱりした食感で、今回のカフェで最初に売切れになったおやつでした。

●三色ゼリー(日高川町生活研究グループ連絡協議会美山支部“秋葉会”)
 地元で採れた梅、しそ、柚子を使ったゼリーの3個セット。防腐剤などを使っていない安心・安全なゼリー。


<兵庫県>

●かけもち/梅ジュースのもと(すずしろグループ)
 かけもちは、もち米に砂糖、塩を入れ、伸ばしてから揚げる、揚げせんべい。冬の農閑期に兵庫県美方郡の農家でよくつくるおやつ。「揚げる前にちょっとつまむのがまたおいしいんだよね」と。もち米の味が活きたパリッとした食感がたまらないおやつでした。

●そば粉、そばの実を使ったおやつ(印南野そば倶楽部)
 神戸市に隣接する稲美町の産品であるそば粉を使ったおやついろいろ(そばういろう、そばの実ぷるるん、そばういろう、そばの実クッキーなど)


<滋賀県立八日市南高等学校食品流通科>

 八日市に生育する万葉集で知られる紫草(ムラサキ)を使って食品流通科(食品の流通・販売・加工の原理と特色、情報処理についての知識・技術を習得する)の高校生が考えて製品化されたおせんべい(とおち)など。
 何度も試作を重ね、地元のお菓子屋さんとの共同開発により「南高ブランド」に育てあげ、現在地元の「道の駅」などでも販売中。イマドキの女子高校生がハッピに着替え「いらっしゃいませ」と変身する姿が輝いていました。


 自分達の地域の産品で一生懸命「おやつを作った人」と、「おやつを食べる人」の笑顔が一緒になった「うかたまカフェ」のデビューは、一日中大盛況となりました。

食育ワンダーランド〜世界の麦〜

 東京のニッポン食育フェアでは、子どもは初めての体験、大人は懐かしさで足を止め、思わず手を出してしまう毎回大人気の「食育ワンダーランド」。
 今回のテーマは「世界の麦」。展示コーナーは、栃木県農業試験場などからお借りした世界の麦や、国内の大麦を使って開発・販売されている製品が紹介され、多くの来場者が「麦って大麦と小麦だけじゃなかったのね」と麦に対する認識を新たにしていました。
 また、身近な稲ワラを使い、「食べることや暮らすことを豊かに美しくする器づくり」に取組む山形県真室川(まむろがわ)の「真室巻き(まむろまき)」の器類も紹介されました。


 体験コーナーは、「麦わら」を使って作るピョンピョン跳ねるカエルや指輪の麦わら細工、麦ワラをすいて作るワラ半紙、黒大豆を石うすで挽いて作る「きなこ作り」からは、心暖まる香ばしい香りが漂い、どのコーナーも順番待ちが絶えませんでした。


 ワンダーランドの壁面には、長野県飯綱町グループ「織りみずき」からお借りしたタペストリーが展示されました。飯綱町の特産品は「りんご」。実演した「裂き織り」の布や糸は、りんごの枝を染料として使いました。染色には、りんごや萩や藍など身近な素材を利用しています。
 10数人のお母さん達が「日本の四季の風景を残そう」の思いで作った「春、夏、秋、冬」の4枚のタペストリーは、「春」は飯縄町の特産品のりんごを使って染めた「花」や、「夏」には今では使わなくなった「蚊帳(かや)」が縫いつけられていて、「昔はこんな風景があちこちであったね」「懐かしい」と立ち止まり、しばらその場を動かない姿が何度も見られました。

おとなの食育ワークショップ

 当日の様子は、「ローカル・ジャンクション21」のHP内で見ることができます。
大人のための食育ワークショップ レポート

時間 タイトル 実施団体/講師
11:00〜11:45 講演・試食

●珠洲からのおくりもの 
-能登大納言と大豆-

NPO法人珠洲交流ビューロー
12:30〜13:15 講演・試食

●田んぼと海が丹後で出会った!

実施団体:NPO法人地球デザインスクール&ぱうわう
14:00〜14:45 講演・試食

●豆味噌純情物語

浅井信太郎/こめ・みそ・しょうゆアカデミー準備会
15:15〜16:00 講演・体験

●家庭でできる!絞る・味わう自然の油

鈴木修武/鈴木修武技術士事務所  所長、プロフィール・著書
おとなの食育ワークショップ企画・運営ローカル・ジャンクション21