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野菜好きの子ども、旬を楽しむ味覚が育つ
―十市保育園と「食改さん」と海の父ちゃん

十市保育園をめぐる「食育の環」

 ステージのボードに、「南国市 食育の環」という大きなイラストが掲げられました。上に山、下に海が描かれ、そのあいだに、いくつもの食育のキーワードが隠し文字になっています。出演者の登場とステージの進行ともに、隠し文字がはがされて「食育の環」が明らかになっていくというしかけです。

園児がつくった!「おくらのうた」

 はじめに、宮川泰夫アナが隠しをめくって現われたのが「十市保育園」の文字。にぎやかに子どもたちが登場しました。十市保育園は、南国市の南西部、海の近くにある保育園です。

 保育士さんの手には、南国市の園芸産品オクラの花。園児たちは、元気に「おくらのうた」を歌ってくれました。子どもたちが先生といっしょに歌詞を考えた歌です。

おっ おっ おくら おっ おくら  くらくらするほど ちからわく
オイラのうまれはアフリカさ  あつーいくにからやってきた
オイラのえいよう すごいのさ  あさーにたべたら こうかてき
ほしのかたちのいきなオレ  なつばてなんかふきとばす
カルシュームもはいっている  そのうえビタミンいっぱいだ
・・・

 この歌をきいて、ゲストの管理栄養士、本多京子さんは「ビタミンや、ねばねばパワーも歌われていて、もう私の説明はいりません」と感心されました。子どもたちはオクラが大好きな様子。それほどに、十市保育園では、野菜好きな子どもたちが育っているのです。

 山下文子園長が、モニターの写真で子どもたちの活動を紹介してくれました。菜園でじゃがいもやたまねぎなどの野菜を育てて、自分たちでカレーもつくります。「3歳児が皮を向き、4歳児が洗い、5歳児が切ってくれます」との説明に、宮川アナは「包丁使っている」、本多さんは「チャンと猫さんの手で」とびっくり。

元気に「おくらのうた」を歌う十市保育園の子どもたち

収穫した野菜を自分たちで皮むきし、洗い、切る


「食改さん」とふれあいクッキング

 園長は「自分たちでつくった野菜はおしいから、園で野菜嫌いが減ります。また『食改さん』といっしょに料理することで、『ありがとう』『いただきます』が自然に言えるようになります」といいます。

 そう、次のキーワードが子どもたちの食育の応援者「食改さん」です。園児たちは、食生活改善推進協議会のヘルスメイトさんに道で会うと「食改さん!」と声かけるほど、親しんでいます。食改さんには、保育園に野菜を納めるJA十市女性部の人もいて、野菜を育てることから食べることまで応援をしているのです。ステージに「食改さん」の高橋美保会長と土井秀子さん、中野美恵子さんが登場されました。

出演された「食改さん」の高橋美保南国市食生活改善推進協議会会長、土井秀子さん、中野美恵子さんと山下文子園長

食改さんとクッキング

子どもは保育園で野菜好きになる

 食改さんの手には、親子ふれあいクッキングで子どもたちが体験した、春の香り豊かな「よもぎだんご」と、果樹栽培が盛んな十市の恵みを使った「すももゼリー」。また会場のモニターでは、子どもたちが野菜を細かく切ってつくる「のっぺ汁(のっぺい汁)」も紹介されました。

 本多さんは「ヨモギの苦味にふれることは、いろいろな自然の味が分かっていくこと」「のっぺい汁は、多種類の野菜を刻んで、とろみもついて食べやすいので、子どもが野菜のおいしさ味を覚えるのに最適。離乳食にもあうし、お年寄りの食事にもあいます。大根やにんじんの切れ端もいかせるので、命をたいせつにする料理です」と、体験メニューのもつ意味を説明してくれました。

 「お母さんから、お家では食べなかったのに、なぜ?メニューを教えて、といわれることもあります」と山下園長。野菜など、食べものの本当のおいしさを伝え、覚えるのが「日本の出汁」です。保育園のある十市には、ここの地元だけで楽しんでいる出汁があります。次のキーワードは「十市漁協」です。

食改さんとつくったよもぎだんご、すももぜりー、のっぺ汁(のっぺ汁の写真提供:十市保育園)

海の父ちゃんからの贈りもの

 十市漁協の細川眞さんと青年部の土居浩彦・細川義之・山本博人さんが出演されました。十市漁協の産物はおもにカタクチイワシの幼魚シラス。生のドロメを楽しみ、釜揚げちりめんにして楽しみます。青年部の3人が、ドロメを獲るバッチ網を伸ばして見せてくれました。十市漁協では、ちりめん業者に卸すほか、小型の釜を使って伝統的な茹で方でチリメンをつくり、地元の人びとに譲って喜ばれています。

 「食育のつどい」開催は、春漁の季節をすぎ、魚がめっきり減る時期でしたが、当日はうれしいことに、朝4時の出漁でかなりの漁がありました。その、獲れたてを屋外テントで釜揚げにし、来場者は試食を楽しみました。本多さんは「くさみがなく、旨味があって、本当においしい」と感激。

バッチ網漁の様子と、バッチ網を紹介する漁協青年部

地元だけで楽しむぜいたく出汁「いりの汁」

 さらに、細川会長の手には「ペットボトル」。入っているのは釜揚げで茹でた汁「いりの汁(いり汁)」。「ドロメの旨味が溶けており、うどんつゆにも、みそ汁にも、煮物にもみんな使ってきたのです」。
  いま、十市漁協に釜揚げちりめんを買いにくるファンには、「いりの汁」を目当てに来る人もいるほどです。

 宮川アナの「いりの汁を知っている人は?」との呼びかけに、客席のあちこちから手が挙がりました。中年の男性は「家は海岸から1kmほどのところですが、子どものころ、自転車で売りに来たのを、母が買ってしょう油で味つけして、使っていたのを覚えています」といいます。

 山間地では、ちょうど春の筍のとれるころ、やはり浜から業者が運んできて来たといいます。「途中売りながら来て、汁が減るのに水を足すこともあったようで、山にくる頃には薄まっていたけど、筍を煮るにはいり汁が最高だった」という話もあります。

釜揚げちりめん、「いりの汁」を紹介する細川眞十市漁協会長


筍の旬とシラスの旬がピッタリ重なったおいしさ

 すでに思い出の味となった「いりの汁」。十市保育園児は裏山で掘った筍をそれで煮て、最高の味を楽しんでいるのです。細川会長は「なぜか思いあたりません」といいますが、実は漁協組合員宅の園児のおばあさんが、いりの汁をもってきて教えてくれたのです。

 この地域で守られた味が、しっかりと地域の子どもたちに伝わり、旬を楽しむ味覚、野菜好きの味覚を育てます。「食改さん」が煮てくれた筍を味わって、本多さんは「旨味の足し算で、品のあるおいしさ、記憶に残る味です」。宮川アナは「海の旬、山の旬のコラボレーションですね。絶やさないで欲しい」。

 細川会長は、しょう油などで味をととのえて冷凍保存するという現代的な工夫を紹介し、会場からは、82歳になる女性が「いりの汁は、1升にクエン酸大さじ3杯入れて良く振って、涼しいところに置くと、日持ちしました」とのアドバイスがありました。子どもの頃、釜揚げちりめんの加工をしていたお家だそうです。

 南国ならではの海と山の結びついた味のすばらしさ、それを受け継ぎ楽しむ「食育の環」への共感が、会場に広がりました。

海の旬、山の旬のつながった地域の味を試食

のっぺい汁

 4人分
  • 春菊 45g 
  • 鶏もも肉 80g
  • さといも 小4個
  • にんじん 1/4本
  • 大根 90g
  • こんにゃく 1/4枚
  • 木綿豆腐 1/5丁
  • 片栗粉 小サジ1と1/3


  • だし汁 3カップ弱
  • 塩  小さじ2/5
  • 醤油  小さじ2

  1. 春菊は3cmの長さに切り、その他の材料はさいの目に切る。
  2. 大根は下ゆでしておく。
  3. 鍋にだし汁を入れ、春菊以外の材料を固い物から順に入れて火を通し、塩・醤油で調味する。水溶き片栗粉を加えてとろみをつけ、最後に春菊を入れる。