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地域の応援いっぱい受けて 「食の自立」がここに見える!
―後免野田小学校と高知農業高校、学校給食米生産者

後免野田小学校・高知農業高校をめぐる「食育の環」

 「食育の環」後編は、南国市が全国に先駆けて、市内山間地のお米の学校給食利用を進めるなかでの、「学校給食を生きた教材」にする取組みと、それを支える人びとのつながりです。

花壇をみんなやめて、野菜づくり

 後免野田小学校は、農と食のつながった「食農教育」を推進しています。校庭の花壇を全部なくして、野菜園に変えたのもその一環です。学校の近所にある畑とあわせて、子どもたちは自分で野菜を育て、毎日のように成長する姿に向き合っています。

後免野田小学校の食農教育(後免野田小学校パンフ「食農教育」より)

 ステージには、2〜4年生の4人が登場し、「2年生が育てたレタスとホウレンソウです」「これは、3年生が育てたナスとプチトマト」「4年生が育てたピーマンとキュウリです」「収穫はまだですが、いま育てているのはオクラ、枝豆、ゴーヤです」と紹介してくれました。これらの野菜は、クラスごとの1食献立づくりの学習や、学校給食に使われ、子どもたちの野菜や給食とのつながりが深まっていくのです。

育てた野菜を紹介する2・3・4年生と大石美佐子校長


タネ屋さん、直売市、農家、農高…みんな先生

 2年の児童は「ナスやピーマンが嫌いだったけど、みんなで育てて料理すると食べられるようになった」といいます。そんな、子どもたちの成長をあたたかく支えているのが、地域の皆さんです。

 子どもたちは、タネ(野菜の種類)選びをタネ屋さんやJA直売所かざぐるま市から学び、野菜の育て方や土づくりのたいせつさを近くの農家から学び、高知農高生と作業しながらいろいろなことを教えてもらいます。ステージには、高知農業高校の農業総合科3年生の大石恭史君・倉橋一百君・松本雄斗君と重堂法人先生が出演されました。

 高知農高は、小学校の稲栽培から餅つき、茶摘み体験、中学校の味噌づくり(市内小学校の学校給食に活用)、小学校の野菜づくりへの堆肥の提供、家畜とのふれあい・乳製品づくり、市民向け食と農の講座、地域の郷土食を学ぶ講座など、地域の食農教育のセンターとして多面的な活動を展開しています。

 後免野田小学校への堆肥の提供は、子どもたちの収穫したニンジンの育ちが悪かったときに、農家応援者から土づくりのたいせつさを教えてもらいましたが、そのとき、子どもたちから「農業高校には堆肥があるんだって」の声があがり、もらいに行ったのが始まりでした。農高畜産総合科で飼う牛、その糞尿を活かした堆肥、小学校の菜園、給食野菜という「いのちのつながり=環」ができたのです。

高知農高生とのおつきあい。堆肥、餅つき
(後免野田小学校パンフ「食農教育」より)

農業総合科3年生の大石君・倉橋君・松本君と重堂法人先生

農高生と小学生連携の「文旦ゼリー」開発

 さらにこの日ステージで紹介されたのは、高知農高生と小学生が連携して開発した「文旦ゼリー」。開発のねらいは、名産土佐文旦の規格外品の有効利用です。農高生が先生になって文旦はどんな果樹かを教え、小学生は受粉から収穫、皮むき、果肉の保存と、作業を積み上げてきました。作業を通じて受粉・受精など生命の営み(理科)も学び、農高生は教える立場に立つことで多くのことを学びました。

 ゼリーの凝固には、山の母ちゃんから学んだコンニャク、県内室戸方面の海の恵みでもあるテングサ、動物質のゼラチンの3つで試作して食べ比べ、テングサで製品化しました。この日、農高のブースでは1000個の文旦ゼリーを試食に出し、小学生も元気にお客さんにアピールしました。

 宮川アナは、文旦ゼリーのふたに印刷された開発者の思いを読み上げました。
「南国市児童生徒特産品  
寒天ゼリー 土佐文旦 
もったいないから始まった私達の町おこし」

 地域の子どもと若い世代が、「消費する立場」から、地域資源を発見して新しい魅力をつくり出して地域に贈る「生産の立場」に立つ学習が起こっていることを、会場の皆さんうれしく感じとりました。

農高生と小学生の連携で開発した「土佐文旦ゼリー」

棚田の稲作と学校給食が支えあう

 高知県は米の二期作地帯として知られ、南国市には全国で一番早く収穫できる平野の稲作と、地域の水環境を育む山間棚田の稲作があるのが特徴です。市内の学校給食で使うのは棚田の米。きれいな空気と、人が飲めるくらいきれいな水で育つお米です。

 そして給食米生産の棚田には、毎年2校ほど5年生が「親子米づくりセミナー」にやってきて生産者部会の人びとから、水と環境を守る水田の役割を聞き、米つくりを学び体験する学習の場であるのです。

 南国市の画期的な取組みが、棚田米の一升炊き炊飯器による炊飯。クラスごとに、湯気のたつ炊飯器からよそって食べるのです。後免野田小学校の栄養教諭の石川利恵先生は「家庭的な雰囲気で、炊き立てをおいしく、棚田を守っている生産者の方に感謝しながら食べます」といいます。

 学校給食米生産部会の川村一成部会長は「棚田地域の人たちも高齢化していますが、子どもたちが食べる米だからがんばってつくろうと、張り合いがあります」と応じ、地域と学校給食のつながりの大事さが浮き彫りになりました。

学校給食米を生産し、子どもたちの体験の場でもある棚田地域

お米とご飯を語る学校給食米生産部会長の川村一成さん、栄養教諭の石川利恵先生

中学生になるために「ぼくとわたしのハッピーランチ」

 そのような学校給食を中心とした食育の総仕上げとして、後免野田小学校の6年生が取組むのが「ぼくとわたしのハッピーランチ」。小学校卒業・中学進学に向けて、自分で献立を考えてお弁当を作れるようになるために、2学期に研究を重ねて、自分の弁当をつくり、家庭に持ち帰って家族に味わってもらうのです。

 この日は、まだ取組み前でしたが、3人の6年生が、1年生から積んだ学習・体験を生かして、「ハッピーランチ」を考え作ってきてくれました。上野さんは、豚みそ丼、ゆで卵、トマトなど。「スピーディにつくれて、バランスもとれる弁当です。イベントで自分で作った『曲げわっぱ』に入れました」。

 山下さんは、ふりかけ3食おにぎり、ナスのかつおはさみ揚げ、ネギ入り卵焼き、サヤエンドウのごま和え、ゆでトウモロコシ、オレンジなど。「見た目もきれいにカラフルにと考えました」。吉川さんは、ゆかりご飯、豚肉の野菜巻き、ピーマンのおかか和え、シラス入り卵焼き、ブロッコリー、ミニトマトなど。「食べられなかったピーマンが学校で食べられるようになったので入れ、全体にバランスがよくなるようにしました」。

6年生それぞれの思いが込められた手作りのお弁当


「食の自立」の姿…毎日自分で弁当をつくる卒業生

 ゲストの本多さんは「自分でお弁当をつくるということは、まさに食の自立。すばらしいことです」と感心されました。2学期の本番が楽しみですが、すでに前年度までに「ハッピーランチ」をつくった卒業生の親が会場におられました。あるお父さんは「息子が作ってきた弁当の味に感激して、涙が出てしまいました」。

 あるお母さんからは「いま中学2年生ですが、毎日自分でお弁当を作ってもっていきます」。大石校長先生は、「たいへん、うれしいです」と、会場のみなさんとともに喜びました。

 こうして明らかになった南国市の食と味、人びとがつながる「食育の環」。これを大事にし、さらに育てていこうという共感が広がりました。