聖護院だいこんが光る 出汁と出あいもん −未来の農業サポーター小学生に伝えよう
音川次清さん・峰子さん夫妻と、宮川泰夫アナ、ゲストの小田真規子さん |
200年続く京野菜づくり
ステージに登場されたのは、修学院地区で代々200年も野菜をつくり続けてきた農家で、街の消費者へ「振り売り」で野菜の楽しみを届けている音川次清さん・峰子さん夫妻です。大きなザルには、5種類の大根がのっています。
宮川泰夫アナウンサーから、「京の農林秋まつりの会場では、たくさんの野菜が売られていますが、適した土地限定で生産され、おいしく育つ季節だけ出てくる旬限定の味が京野菜の魅力。そのなかでもこれから寒くなって旬を迎えるのが、大根です」との紹介があり、峰子さんが、冬においしい大根品種の食べ方を、ひとつひとつ教えてくれました。
振り売りで野菜を消費者に届ける峰子さん
(写真提供:京都市産業観光局農林振興室) |
冬においしい大根いろいろ 楽しみ方
○辛味だいこん かぶのような形をした小さい丸大根で、ピリッと辛味が強く、水気が少なく出汁のつゆが薄まらないため、蕎麦の薬味にぴったりです。
○青味だいこん 長さ12〜15cm、太さ1〜1.5cmの小さい大根で、根の上部が緑色をしています。昔からの冬の新鮮青物野菜として喜ばれ、モロミをつけて生で食べるのがおいしく、味噌で一夜漬けにしても楽しみます。
○茎だいこん 先が丸い長大根です。ぬか漬にします。
○聖護院だいこん 大きな丸大根です。煮物やおでんなどにして、甘味が強くとろけるような食感を楽しむ、冬の味覚の代表です。
○青首大根 いま全国でもっとも一般的に、1年中食卓に登場する大根です。
冬においしい大根。左から聖護院だいこん、
青首大根、茎だいこん、辛味だいこん、青味だいこん |
峰子さんの「聖護院だいこん」の炊いたんをみんなで味わう
さて、冬の味覚、聖護院だいこん。「大根が甘くておいしいときなので、そのものの味を活かす炊き方がいちばんです」と峰子さんは、聖護院だいこんの「炊いたん(煮物・炊きものの意)」をつくってくださいました。
そこで、峰子さんがたっぷり1日かけて、昆布と鰹の出汁を効かせて炊いた大根の試食です。この日のウェイターは、応援ゲストのテツandトモさん。宮川アナの「ジャージーボーイ!」のお呼びに、お盆に「炊いたん」をのせて登場。「僕たちも食べていいですかぁ?」。
テツさんが「こんなにおいしいの食べたのはじめて!」といえば、トモさんが「(大きな切り方なのに)どうして、均等に味がしみているのだろう?」。客席の皆さんにも食べていただきました。若い男性は「コレ本当においしいですが、自分では作らないです」といえば、宮川アナが「今日から、つくってください。峰子さんに炊き方を教えてもらいましょう」。

峰子さんが出汁を効かせて炊いた聖護院だいこん |

テツandトモさんが試食サービス |
客席の皆さんに味わっていただく |
コツは下茹で・アク抜きと、たっぷり出汁で煮て冷ます
峰子さん直伝の、聖護院だいこんそのものの味を活かす炊き方のポイントは、次のとおりです。
- 大根を切って(下記のレシピ参照)、面取りをし、たっぷりの水で透き通るくらいまで炊く。
- 一切れずつ水できれいに洗い、アクを流す。
- たっぷりの昆布と鰹の出汁(大根が隠れるくらい)に、酒、しょう油、砂糖を入れて炊く。こんぶはそのまま敷いておく。
- 1日くらいかけて、途中1、2回火を止めて冷まし、冷めたらまた煮ることを繰り返す。
煮ては冷まして味をしみ込ませるのがコツ |
旨味は冷めるときにしみます!
ゲストの料理研究家、小田真規子さんは、「煮ているときは素材から水分が出て、冷めるときに外の味つけが中にしみ込むんです」と、峰子さんの出汁をきかせておいしく炊く技の意味を説明されました。「あわてて煮ればいいというものではないんですね。炊く、洗う、煮る、冷やす・・・と手間をおしまないことが、おいしさをつくるんですね」と宮川アナ。「出汁は日本料理の基本、大事ですね」と小田さん。
聖護院だいこんとひろうずの炊いたん
京料理には、旬の野菜と相性のいい食材とを組み合わせて、それぞれの持ち味を活かしてグンとおいしく食べる「出あいもん」の知恵があります。聖護院だいこんと相性の良いのが、ひろうず(ひろす、飛竜頭=がんもどき)。峰子さんの炊き方は、次のレシピのように、ひろうずをたっぷりの出汁で炊いて、いったんひろうずを上げ、そのつゆで大根を炊き、味をしみこませて、最後に盛り合わせるというもの。
テツandトモさんも宮川アナも試食し、「濃厚な味がして、おいしいです」と大絶賛!
 聖護院だいこんとひろうずの炊いたん |
聖護院だいこんとひろうずの炊いたん
- 聖護院だいこん 1個(2-2.5kg)
- ひろうず(がんもどき )直径6cmくらいのものを5個
- 昆布と鰹出汁 5カップ
- 醤油、砂糖、酒 ふつうの煮物より少し濃い目の味つけで
- 塩、みりん、化学調味料 家々の好みで少々
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- 大根を横半分に切り、それぞれを放射状に8等分または12等分して、面取りし、たっぷりの水に入れて火にかけ、透き通るくらいまで炊く。一切れずつ水できれいに洗い、アクを流す。
- 昆布と鰹の出汁に、しょう油・砂糖・酒を入れ、ひろうずを丸のまま炊く。1時間半くらい煮たら引き上げる。
- そのつゆに大根を入れて炊く。大根につゆがかぶるくらいとなるよう出汁を加えるなど調節する。1日くらいかけて、途中1、2回火をとめて冷まし、また煮ることを繰り返す。
- 食べるとき、大根とひろうずを別々にあたためる。ひろうずを先に器に盛って、その上に大根を盛る。芥子をつけるか、柚子皮をのせていただく。
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野菜をもっと楽しむ「出あいもん」の組合せ
「出あいもんは、他にもいろいろありますね」と、「いもぼう」が紹介されました。京野菜のえびいもや里芋を棒鱈と炊く料理で、畑の幸と海の幸の出あいもんです。
音川次清さんが「棒鱈を戻すのに、樽に水を張って4日も5日もかかります」と料理する手間ひまについて説明。会場のお客さんからは「自分は食べるだけで、母がつくってくれた」と、その味を有り難く思い出しているようでした。
次清さんと峰子さんが、「みぶ菜とお揚げの煮びたし」「水菜とくじらの炊いたん」「鯛かぶら」「鯛のあらと堀川ごぼう」など、魅力的な出あいもんを紹介してくれました。小田真規子さんは、ステージの始まる前に、「京の農林秋まつり」のブースを回って、いろいろな野菜を買い込んだようです。「聖護院だいこん、聖護院かぶ、金時にんじん、九条ねぎ…いっぱい持って帰ります。出あいもんは、ぶり大根をしてみようか、って思います」と、お土産の楽しみを披露されました。
出あいもんの代表、「いもぼう」。里芋と棒鱈(撮影:千葉寛 『京都の食事』農文協刊より) |
子どもたちに農業・食体験を!「未来の農業サポーター事業」
京都市では、子どもたちが地域農業に触れて、農や食のたいせつさを理解してもらうために、「未来の農業サポーター事業」を進めています。音川さんはその指導農業者の1人です。修学院小学校の校区では、音川さんたち農家が京野菜などを生産しており、田んぼもあります。子どもたちこそ農業に馴染んで欲しいとの願いから、修学院小学校3年生に、京野菜(聖護院だいこん、九条ねぎ、堀川ごぼう)を育てて食べるまでの体験学習を指導しています。
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修学院小学校3年生、音川さんの指導で聖護院だいこんの栽培。間引きの様子
(写真提供:修学院小学校。2枚とも)
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修学院小3年生 聖護院だいこんの栽培から料理まで
ステージに3年生4人が来てくれて、「聖護院だいこんを育てています」「大根の間引きや九条ねぎ植えをしました」「聖護院だいこんの収穫は1月です」と、紹介してくれました。10月の間引きのときの写真では、聖護院だいこんは細長く小さいものでした。宮川アナが「これが、こんなに大きな丸い大根になるなんて、ビックリ」と言えば、音川さんが「これから寒くなって、昼と夜の温度の差が大きくなると、急に太っておいしくなるんです。堀川ごぼうも同じですよ」と季節の恵み、寒さが育てる京野菜のすばらしさを語ります。
そして、1月には聖護院だいこんを収穫して、峰子さんたちJA京都市修学院支部女性部の皆さんといっしょに料理して食べるのです。峰子さんは「さっきのような、大根の味を活かす炊き方で、聖護院だいこんと青首大根を同じように炊いて、食べ比べてみたい」と、楽しみにしています。
 出演してくれた3年生4人 |
音川さんへのうれしい感謝状
その日が楽しみな3年生ですが、一人が「観察日記」を読んでくれました。
「 私たちは、いつも音川さんにお世話になっています。
大根の間引きやねぎ植えなどいろいろなことを、やさしくていねいに教えてもらいました。
いつもおいしい野菜を作ってくれるのは、農家の人で手間ひまかけて作っているのが分かりました。
いつかみんなの役に立つことができるなら、音川さんのようになってみたいです。
今日は本当にありがとうございました。 」
「感謝状」に音川さんが感激 |
グンとおいしくなる1月の収穫・料理を楽しみに
「これは、観察日記というより、音川さんへの感謝状ですね」と宮川アナ。児童から手渡された次清さんは「大切にとっておきます」と感激し「子どもたちは正直なので、ごまかしが効きません。私たちも勉強しないと」と。峰子さんの今日の楽しみは、出汁を効かせて炊いた聖護院だいこんの味にどう反応してくれるか、です。ジャージーボーイ、テツandトモさんから「さぁ 食べてみて」とすすめられて、口々に「とてもおいしい!」。宮川アナから「1月には、みんなが育てた聖護院だいこんが大きくなって収穫、そして料理です。がんばって」と、エールが送られました。
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