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野菜好きの子が育つ ゼロ歳からの味覚づくり
―ママの手づくり弁当もグンと充実

朱七保育所の給食と子どもたちについて語る調理師の清水美千代さん

一生の宝、野菜や出汁の味覚をゼロ歳から

 朱七保育所の給食は、旬の野菜と魚や海藻をベースに、精進料理の伝統を引く湯葉や生麩も大事に使います。そして出汁を効かせて、「出あいもん」の知恵も取り込むなど、京料理が育てたにっぽんの食事のエッセンスが子どもたちの給食に結集しています。

 宮川泰夫アナの「京料理の微妙な味が分かる人を育てることを、ゼロ歳児の子どもたちから実践している保育所です」の紹介とももに、調理師の清水美千代さんが登場されました。テツandトモのテツさんは2歳の男の子の父親、トモさんは将来お父さんになる身です。他人ごとではない話題に身をのりだしました。

手づかみでたくましく  食べる意欲をたいせつに

 二人を驚かせたのは、手づかみで元気に食べる乳児の写真。「手で食べているよ」「行儀悪い!」「ここ、ジャパン?」と大騒ぎ。調理師の清水さんが答えます。

 「食べたい、食べようという子どもの意欲が、いちばん大事なので、このころ、それを邪魔しないことです。それに、長い人生の中で、このころは手が脳のはたらきをしているといわれます。スプーンは2歳児から、お箸は4歳児の3月頃から使えるようになればいいんです」。ゲストの料理研究家、小田真規子さんも「ほかのことに惑わされないで、食べることに集中できることはすばらしいです」。

宮川アナ「こぼす、よごすと、親は叱ったりしつけたりばっかり!そうですね、テッちゃん」。
テツさん「親の立場からは、なるべく早くスプーンや箸で行儀よく食べてもらいたいですが…こういうほうが人間の姿かも知れないですね」
と、だんだん納得。

食べるたくましさにテツandトモさんもビックリ
(右の写真は朱七保育所 提供)

素材の味を覚える離乳食、料理の味に出会う移行食

 続いて、朱七保育所の離乳食と移行食、幼児食の給食例が写真で紹介されました。移行食は、離乳食と幼児食の間の大切な時期(1歳児クラス)のために朱七保育所が設けているもので、好き嫌いをなくする調理の工夫と楽しい食事、歯ごたえをふやすことなどを重視しています。

 まず、離乳初期のメニューは、7倍かゆと、いも・野菜4種と白身魚を水煮してつぶしたり刻んだりしたものですが、その特徴は、味つけなしで、食材ごとに分けてよそっていることです。

宮川アナ「7ヶ月の子が、じゃがいも、人参、キャベツと、ひとつずつ味わっていくんですね!」と注目。
清水さん「ゼロ歳児から、いろいろな素材そのものおいしさをより豊かに体験してもらいます。そして、移行食になると、素材を活かした料理の味が分るようにしていきますが、油は使いません。幼児食になると、ひとつの料理にいろいろな素材を使って、しっかりしたメニューが楽しめるようにしていきます」。

離乳食 初期(7〜8ヶ月)のメニュー

7倍がゆ、野菜4種(水煮・つぶし)、白身魚(水煮・刻み)、野菜スープ

朱七保育所の離乳食初期(上から時計回りに
じゃがいも・白身魚・キャベツ・人参・小松菜 )
。料理内容はレシピ参照(写真提供:朱七保育所)


  • じゃがいも
  • 人参
  • キャベツ
  • 小松菜
  • 白身魚(鯛・かれいなど)

  1. 7倍がゆ。つぶしたものと、粒状のものとを混ぜる。40〜50g食べられる。
  2. じゃがいも・人参・キャベツを水煮して、スープをとる。具は引き上げて軽くつぶす。
  3. 小松菜は茹でて、細かく刻む。葉柄の部分も使う。
  4. 白身魚は水煮にして、ほぐす。
  5. 食材は、写真のように別々に盛る。

移行食のメニュー

むかごご飯、スープ(昆布・鰹出汁、薄味のしょう油。この出し汁を以下の料理にも使う)、豚肉のおから煮、ひろうずと白菜煮、糸こんにゃくの炒り煮

朱七保育所の離乳食の移行食。
料理内容はレシピ参照(写真提供:朱七保育所)


●豚肉のおから煮●

 1人分
  • おから 40g
  • 豚肉薄切り 15g
  • にんじん 20g
  • れんこん 15g
  • 醤油・ごま油
  • 出し汁(昆布・かつお)

  1. おからをゆで、サラサラになるまでよく炒める。
  2. 豚肉は1.5cmぐらいに切る。
  3. れんこん、にんじんは厚さ5mm、1cm角に切る。
  4. 出し汁で、豚肉、レンコン、人参を煮て、醤油で味付ける。
  5. (4)に(1)のおからをもどして煮て、味をととのえる。

●ひろうずと白菜煮●

 1人分
  • ひろうず(がんもどき) 20g
  • 白菜 50g
  • 出し汁(昆布・かつお)
  • 醤油

  1. ひろうずは油ぬきをするように洗う。
  2. 白菜は軸と葉先に分け、2cm角に切る。
  3. 出し汁と醤油で、ひろうずを煮る。
  4. ひろうずを取り出し、白菜の軸から入れ、少し軟らかくなったら葉を入れて煮る。
  5. ひろうずを2〜3個に切り、白菜と合わす。

●糸こんにゃくの炒り煮●

 1人分
  • にんじん 30g
  • えのき 10g
  • 糸こんにゃく 20g
  • 出し汁(昆布・かつお)
  • 醤油

  1. 糸こんにゃくは、ゆがいて2cmぐらいに切る。
  2. にんじんは、1.5cmぐらいのいちょう切りにしてゆがく。
  3. えのきは2cmに切る。
  4. なべで(1)を炒り、(2)を入れて、出し汁少々と醤油を入れる。
  5. (4)に(3)のえのきを入れ煮る。

テツandトモ 離乳食の野菜の味当てテストに挑戦

 こうしてみるとじつにたいせつなのが、離乳期の味覚づくり。朱七保育所では、野菜や魚のもつおいしさが分かり好きになり、一生崩れることのない味覚をつけることを目標に、離乳食を「初期」「中期」「完了期」の3段階に分けて、調理・味つけを変えています。

 そこで、テツandトモさんと、会場から若いパパの辻さんにステージに上がってもらって、3段階食べ比べテストです。京野菜の金時にんじんを、やわらかさは同じにして、味つけだけ変えたA・B・Cがあります。これを、初期・中期・完了期に並べ変えてもらいます。テツさんは「2歳児の親ですから、まず大丈夫」と自信ありげ。辻さんは「2歳の子がおり、すでに離乳しています。これはむずかしいですね」と慎重です。

正解者は、客席からの若いお父さん

 食べてみると、テツさんは「エーッ むずかしいなあ」。辻さんは「Bがチョッとちがいますね」。トモさんは水を飲み飲み食べ比べて「どれもおいしい」。宮川アナに「早く食べて」と急かされながら、辻さんが、B初期−C中期−A完了期、テツさんA−C−B、トモさんB−A−Cとそれぞれ違う答えになりました。辻さんは「完了期は味の濃いA」といい、テツさんは「だんだん味つけされていくので完了期がB」と、考え方は同じでも、味の感じ方は違うようです。
 そこで、清水さんから「正解はお父さんです」と、3段階の味つけが説明されました。

離乳食の味つけ食べ比べテスト。正解者は会場から参加いただいた若いパパの辻さん

水だけで炊く⇒出汁で炊く⇒出汁と調味料で炊く

○初期(7〜8ヶ月)   正解B  水だけで炊いて素材の味を覚えてもらう。

○中期(9〜12ヶ月)  正解C  昆布と鰹の出汁で炊いて、出汁のきいた旨味を覚えてもらう。

○完了期(12ヶ月〜) 正解A  出汁に加え、醤油で軽く味つけする。
テツandトモさんは「人参って(味つけなしで)こんなに甘いんですね」と、大いに驚きました。小田さんは「小さい頃から素材の味を覚えることで、好き嫌いがなくなります。それから、噛むことを覚えて、薄味料理をゆっくり噛むおいしさを覚えるようになっていきます」と、朱七保育所の離乳食の3段階の意味を説明されました。

お母さんたちも保育所で料理体験

 このような給食のなかで、子どもたちは好き嫌いなく、食べること大好きになって、お母さんたちが吾が子から教えられることもありそうです。いっぽう保育所では、ゼロ歳児をもつお母さんに、一人ずつ調理室に来て離乳食づくりを体験し、子どもといっしょに試食をしてもらい、そのあとはクラスごとの料理実習に参加してもらいます。清水さんは、「子どもの食にとって保育所はひとときです。家庭と保育所の“共育て”がたいせつです」。

 ステージに、高柳さん、高澤さん、大家さんとそれぞれの子どもさんにおいでいただきました。朱七保育所では月2、3回、お弁当持参の日がありますが、今日は皆さんお弁当を作ってきてくれました。お弁当には、お母さんたちの保育所での実習の成果や、吾が子の姿に影響されての成長ぶりが表われています。

お弁当を持って出演いただいた高柳さん、高澤さん、大家さんの親子

お弁当がこんなに充実!野菜いっぱい、噛める料理

 高柳さんのお弁当は、海苔おにぎり、かぼちゃ煮、れんこんと人参のきんぴら、白身魚の塩焼き、ほうれんそうとお揚げのごま和えなどです。小田さんは「小さい子のお弁当とは思えないような、しっかりした和食のメニュー」。お母さんは「子どもが洋食より和食が好きですので。外食より家で食べたがります」。

 高澤さんは、海苔とゆかりのおにぎり、ぶりの照り焼き、だしまき、しめじとれんこんと湯葉の煮もの、豚肉・野菜のお揚げ巻き、ごぼうの甘酢煮など。「お揚げで野菜を巻くなど手が込んでいます。それに、ぶりの皮を見せていますね」という小田さんの着眼に、お母さんは「朱七保育所の子は、魚の皮が欲しいというんですよ」。

 大家さんは、とろろ昆布と梅のおにぎり、しめじと人参の豚肉巻き、いんげんのごま和え、かぼちゃと人参とこんにゃくの煮物、豚ひき肉のレンコンはさみ揚げなど。小田さんは「根菜いっぱい、野菜いっぱいのお弁当ですね」「みなさん、バランスがよく、噛みしめること多い食事です」と感心されました。

高柳さん

高澤さん

大家さん

皆さん、野菜いっぱい。仕切りもアルミでなく、れんこんやさつまいもの素揚げなど

アルミ皿使わず、野菜で仕切り

 大家さんは保育所との交流で変わったことのひとつに、アルミ皿やホイルを使わずに、さつまいもやれんこんの素揚げなどで境をするようになったことを挙げます。お母さんたち皆さんがそうしており、これも「朱七っ子弁当」のシンボル。清水さんは「お弁当箱の中のもの全部食べられるのはうれしいこと」といいます。となりの汁がしみておいしくなるような工夫でもあるとのこと。

誇りは、残さず食べて、元気でやさしい子どもたち

 3人のお弁当は、会場の皆さんにも回覧され、多くの方が携帯電話のカメラなどで写真におさめていました。宮川アナの「朱七保育所の誇りは?」との質問に、清水さんが「子どもたちがみんな、給食を残さずによく食べてくれること。そして、元気でやさしいことです」と答えられました。