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名人おばあちゃんと「へしこ」から「なれずし」まで
−鯖街道のまちの宝

出演された内外海小学校6年生と貫井貴史先生。「なんでだろう」でテツandトモさんを迎える

 司会の宮川泰夫アナから、連続ドラマ「ちりとてちん」の舞台、小浜は御食国(みけつくに)として朝廷を中心に魚などを送って京の食事を支えたこと、今はまちをあげて食育に熱心な取組みをしていることの紹介がありました。ステージには、12地区からなる小浜市の地図が掲げられ、まず、海辺の内外海のところに鯖のパネルが張られ、内外海小学校の取組みの紹介です。

鯖の学習を重ねて、「へしこ」「なれずし」づくり

 6年生12人と担任の貫井貴史先生に出演していただきました。この日の応援ゲストは、タレントのテツandトモさん。まず、テツさんから内外海小学校について、次のような紹介がありました。

 ―全校生徒は65名。目の前には若狭湾が広がり、3分の1以上の家が漁業か民宿など海にかかわる仕事をしている。600年前に、象がやってきた場所で、校庭に象の像がある―など。

 その内外海小学校6年生は、総合的な学習の時間を中心に、魚の栄養、御食国のこと、鯖と鯖街道のことなどについて調べ学習をし、地域に伝わる食の文化「へしこ」づくり、「なれずし」づくりの体験をしてきました。地図の鯖パネルに、「へしこ なれずし」の文字が現れました。

ステージの進行とともに地図に鯖パネルが貼られた。
まず、上の内外海地区のところに「へしこ なれずし」

微生物による発酵で味よく保存する知恵

 鯖街道の起点、小浜の海の幸を代表する魚が鯖。その加工・料理と食べる楽しみは、じつに多彩ですが、内外海・田烏など漁村地域の得意料理が、米ぬかと塩で漬ける「へしこ」や、へしこでつくる「鯖のなれずし」です。昔は、ここの女性名人たちが内陸部の家々を回って、へしこを仕込んであげたといいます。

 魚と米ぬかという海と田んぼの幸があわさり、微生物発酵によって美味しさと保存性の高まるへしこは、5、6月に仕込んで、夏の暑さを経て味が醸し出されます。そのため、材料選び、塩加減や米ぬかの量、重し、押しもん小屋の環境…など長い経験による技があって生まれる食べものです。へしこを秋や冬に、米こうじとご飯で漬けて発酵を促すなれずしとともに、まさに小浜市の海辺地域の食文化です。

鯖のへしこと、川代さんのなれずし

調べ学習の成果をパワーポイントで紹介

 児童たちが、「サバという魚について」「鯖街道について」調べ学習した成果を、モニターにパワーポントを上映しながら、説明してくれました。

 「古くから日本人になじみの深い食用魚で、平安時代には天皇へのみつぎ物としてけん上され,また鯖売りの行商が行われていたという記録もあります」

 「小浜に伝わる古い文書『市場仲買い文書』の一節に、『生鯖塩して荷い 京へ行き任る』とあります。これは、若狭から運ばれた鯖が、京の都へつく頃には丁度よい塩加減になったという意味です」


調べ学習の成果の報告


なれずし作りのパワーポイント(提供:内外海小学校)

名人おばあちゃんの技にふれながら、半年かけて

 へしこづくり、なれずしづくりを指導してくれたのは、クラスの児童のおばあさん川代八重子さんと、中島信子さん。業者にも納めている名人です。ステージには、川代さんが来てくれました。「50年もつくっているのに、うまくできたという年は一度もない」と自分に厳しい方ですが、「子どもたちの作業が早いのにびっくりした」と、大いに楽しめた体験学習だったようです。

 モニターに、魚の背割り、塩漬け、米ぬか合わせ、へしこ漬け込み、水洗い・塩抜き、皮むき、こうじ・ご飯合わせ、詰め込みなど、一連の様子が映し出されました。川代さんが、塩加減や、仕込むとき空気に触れさせないように重ねることなど、それぞれの作業の意味やコツを説明されました、子どもたちは、「3枚おろしは初めは難しかったけれど、慣れるとおもしろかった」など体験を振り返ってくれました。子どもたちは、大きな鯖を背割して内臓を取り出し、3枚におろす作業も嫌がらず、手馴れたもの。ふだんから魚に触れていることと、あとで紹介するように小浜市のすすめるキッズ・キッチン、ジュニア・キッチンの体験を通じて育つたくましさです。


(1)鯖の背割り

(2)塩漬け

(3)ぬか漬け

(4)麹つけ

「へしこ」から「なれずし」づくりの体験(写真提供・4枚とも:内外海小学校)

なれずし60本、ふるさと祭で30分で完売

 内外海小学校6年生謹製「なれずし」は60本。11月18日の地域のふるさと祭りで販売して、30分で完売しました。この日、ステージには、川代さんが作ったなれずしをバケツごともってきてくれました。いい香りが漂う中を見ると、蓋の縁を稲わらの綯ったものが取り巻いています。「空気を当てないようにするためです。水気を吸ってくれるし、風味も良くなります。“嫁のわら”といいます。お嫁さんは陰で働いてくれるからですね」と川代さん。トモさんは「何でも言うこと聞くからだ!」と大喜び。宮川アナが「しっかり役目果たしているからね。テッちゃんのところは大丈夫?」に、テツさん「ハアーッ」。


なれずし60本が30分で完売した(提供:内外海小学校)

受け継がれるふるさとの味と技

 陰の働きがいっぱい込められた「なれずし」の試食。トモさんは「これ、お酒にあいますね」。ゲストの医学博士で管理栄養士の本多京子さんは、「甘味があってコクがあり、酸味もある、ふくよかな味です」。宮川アナの「噛んでいると、すごく深い味が口に広がります。へしこでも美味しいのに、なんでなれずしに?」という質問に、「昔から、お正月料理につくります」と川代さん。

 子どもたちへの「お家でなれずしをつくる人は手をあげて」との質問には半分以上が手を挙げ、「これからは、お手伝いできますか?」には、元気よく「ハーイ」。「なれずしを好きな人は?」には、全員が「好きです」。「へしこは好き?」に対しては、口々に「焼いて食べる」「ご飯にのせて食べるとおいしい」と、すっかり親しい食べものです。

 本多さんは「たくさん獲れた鯖をへしこにして保存し、へしこを食べ、さらになれずしの違う味で二重に楽しむ知恵ですね。それをおばあちゃん先生といっしょに学んで受け継いでいくのはすばらしいことです」と感心され、皆さんを励まされました。

なれずし作りを語る川代八重子さん

鯖のへしこ・なれずし

 8人分
  • 鯖 1匹
  • 塩 1/2カップ
  • 米ぬか 1カップ

    A
  • こうじ 1/2カップ
  • ご飯 1/2カップ
  • 酒 小さじ1

  1. 鯖は、背を開き中骨に包丁を入れて、塩をして重石をし、1週間おく。
  2. ぬかに塩を混ぜて、鯖に振りかけながら桶に平均的に並べて、押し重ねていき、上に重石をして6ヶ月おく。へしこができる。
  3. へしこのぬかを洗い落とし、1日3〜4回水をかえて塩抜きをして、1晩おく。水気を拭きとって薄皮をむく(食べやすくなる)。
  4. Aを混ぜ、よく水気をとった鯖の腹の中につめ、鯖の上にものせて、すき間のないように重ねて、重石をする。
  5. 水気が少しあがってきたら、重石を軽くする。20日くらいで食べ頃になる。
    ※すこやか会 平成18年度ふるさと料理を楽しむ会「本日のお料理」より