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小学生の「あがらしゃれ」―地域自慢の「納豆汁」をつくり、
それを楽しむ「えっぺ椀」をつくる

出演された安楽城小学校5、6年生6人と担任の阿部智紀先生

季節の「汁物」と、冬の楽しみ納豆汁

 真室川は「汁物文化」の土地です。食生活改善推進協議会会長の佐藤マキ子さんが、次のように説明してくれました。四季の恵みをふんだんに使った汁物は、春の筍汁に始まり、みず汁、じゃがいも汁、里芋汁、きのこ汁、そして冬に体が温まる納豆汁と続きます。納豆汁には、保存しておいたわらび(青漬)・からどり(干しずいき)、いろいろなきのこ(塩漬)、油揚げ、豆腐などが入り、正月料理に欠かせません。

 モニターに納豆汁づくりの様子が映し出されました。納豆をすり鉢でよく摺ってとろとろにし、それを鍋の汁で溶き、ざるでこしながら鍋に混ぜていきます。納豆を砕いて入れる呉汁風でなく、まろやかなコクのあるスープ、ポタージュ風になります。写真では、すりこ木の替わりに大根を使って摺り溶かしている様子が映されました。松澤栄子さんたち食改(食べ事会)平岡地区のお母さんは、大根を使うことが多いといいます。摺った納豆を無駄なく汁へ入れる、大根の旨味が入る…などのワケがあるとのことです。

保存しておいたわらび、からどりなどを使ってつくる「納豆汁」

納豆をよく摺る。大根で摺り溶かす地域もある

「地域文化のすばらしさ」の体験学習に「納豆汁」づくり ― 安楽城小学校

 宮川アナから「納豆汁自体は、真室川ではめずらしくはないでしょうが、今日この会場に匂いが漂っているのは、安楽城小学校の5、6年生(15人)がつくってくれて、皆さんにふるまっているのです」と紹介があり、児童6人と担任の阿部智紀先生が登場されました。ふるさとの童唄や昔話の伝承がさかんな安楽城小学校には、童唄の発表会などで唄うときに着る絣のはんてんがあり、そのユニホーム姿です。

 「今日、100食つくって『あがらしゃれ』をしてくれましたが、さらにスゴイのは、春から大豆やからどり芋を育て、わらびを採って保存し、収穫して加工・料理まで自分たちでやっていることです」と宮川アナが感心し、「どうして、そこまで?」との問いに、阿部先生が答えます。

 「5、6年生は今年の総合的な学習『安楽城の文化のすばらしさに気づこう』のテーマを児童たちが考えるなかで、安楽城の食文化をみていこうということになりました。そして、お家でどんな食文化があるか聞いてみて、納豆汁に決まったのです」。

春の大豆植え、わらび採りから準備して

 モニターの写真を見ながら、子どもたちが「くわで起こしているところです」「大豆の苗を植えているところです」「からどりの植え付けです」「わらびの塩漬けをしているところです」「雪の中での大豆の収穫は冷たかった」などと説明してくれました。畑の栽培は児童のおばあちゃんたち、わらびの保存は給食の先生、豆腐づくり・納豆づくりは佐藤食改会長さん姉妹というように、「地域の先生」がいっぱい応援してくれています。

 納豆づくりでは、大豆の煮汁をかけるのがコツなことが分かりました。また、保温には、納豆を甕に入れて、発泡スチロール箱のぬるま湯につけ、お湯を取り替えるといった方法を工夫し、糸を引くおいしい納豆ができました。「からどり」など、作物・食材についても、調べ学習をしました。

春から大豆やからどりの栽培、わらび採りと塩蔵など準備して、
納豆・豆腐もつくった(写真提供・安楽城小学校) 

納豆の味を楽しめるのは「一生の宝」です

 試食した本多さんは「春・夏・秋の食べものがいっぱい集まり、味が出るものと、味を吸い込むものが入って、ていねいにつくられた上品な味です」と感心されました。

 また「大豆は“畑の肉”といわれ、良いたんぱく質がいっぱいですが、さらに発酵して納豆になると、骨の目減りを防ぐビタミンKができます。牛乳を飲む欧米人より日本人のほうが骨折が少ないし、納豆を食べる東日本の人が骨折が少ないのには、納豆食の効果もあります。皆さん背中がシャキッとした人が多いですね。また、節分に歳の数だけ豆を食べるというのは、大豆には脳の老化を防ぐレシチンが含まれているので、意味があることです。子どものときから納豆の味を覚えることは、一生の宝です」と、大豆・納豆・納豆汁のパワーのすごさを説明してくれました。

会場ブースで、納豆汁の「あがらしゃれ」

 会場ブースで安楽城小の納豆汁を食べた人からは、「コクがあっておいしかった」「からどりに味がしみていておいしかった」「買って食べる豆腐より弾力があった」など、うれしい評価の声が聞かれました。宮川アナが「よかったねぇ!からどりをつくって!豆腐を自分たちでつくって!」と我が事のように喜び、労をねぎらいました。
 パネルの梅の木には、「汁物料理」と「納豆汁」の花が咲きました。

安楽城小のブースで納豆汁を振る舞い、好評

納豆汁のつくり方 (安楽城小学校5、6年生)

 15人分
  • 納豆 330g
  • 塩漬のわらび 700g
  • 豆腐 330g
  • 厚揚げ 3枚
  • 油揚げ 5枚
  • なめこ缶詰 1缶(塩漬のきのこでもよい)
  • からどりの茎(干しずいき) 適量
  • 味噌 適量
  • 薬味(ねぎ・せり・一味唐辛子) 好みで

  1. 具に入れる材料の下準備
    ・わらびは1cmの長さに切る。
    ・豆腐、厚揚げ、油揚げを7mmくらいの幅に切る(煮るとかさが増えるので、小さめに切る)。
    ・なめこ缶詰をあける。

  2. 上記の具材を、水2.5リットルに入れて煮る。
  3. 納豆をすりつぶす(すり鉢に納豆を入れ、すりこぎでペースト状になるまでつぶす)。
  4. (1)の汁に味噌を入れて、味を調える。
  5. 摺りつぶした納豆を入れる(ざるを使ってこしながら入れる場合もある)。
  6. 最後にからどりの茎(適量)を入れ、ちょっと煮えたらOK。
  7. 薬味に、ねぎ・せり・一味唐辛子などをのせて食べるとおいしい。

「汁物」を楽しむ、漆塗りの「えっぺ椀」誕生

 真室川のすごさは、汁物を食べるお椀までつくってしまったこと。「いっぱい食べて」という意味で「えっぺ椀」です。手にされた本多さんは「手によくなじんで、ぬくもりがあります」。ステージに、町の「うるしセンター」でお椀づくりを体験した平枝小学校4〜6年生(13人)の児童3人と、センターで漆器づくりをしている田代淳さんにお出でいただきました。

 はじめに、田代さんによる真室川町の取組みの紹介です。町では昭和55年ごろからうるしの植栽を開始し、平成2年にその活用のために、うるしセンターを建設し、漆液の採取から漆器までの一貫生産に取り組み、汁椀・そば椀・お盆・菓子皿などを製品化しています。「えっぺ椀」は、具がたくさん入る汁物にはこれまでのお椀では小さいからと、それに合うお椀を考えたもの。東北芸術工科大の漆を学ぶ学生たちと、「食べ事会」釜渕地区のお母さんたちが、ワークショップで意見を出しあって生まれました。

 径が広めで、筍など長い具も入りやすく、たくさん入って、よそいやすいお椀ですが、背は高くせずにほかの食器とのバランスがとれます。また、下のほうに刻みをつけて、お年よりや子どもにももちやすくしてあり、底裏が洗いやすい形になっています。

「Myえっぺ椀」をもって出演された平枝小学校児童3人とうるしセンターの田代淳さん

大きめの具が、たくさん入り、底の刻みが持ちやすい「えっぺ椀」

思い思いのデザインで「Myえっぺ椀」ができた…平枝小学校

 平枝小4〜6年生は、「町の仕事」についての総合的な学習のなかで、漆かき、木地固めを体験し、お椀に色づけして自分のお椀をつくりました。宮川アナが、3人に描いた絵を尋ねました。「鳥海山から上る太陽と、月を描きました」「アニメのキャラクターです。名前も入れました」「キャラクターと、将棋をやるので駒を描きました」など、「Myえっぺ椀」のデザインを語ってくれました。

 これで何を食べますか?の質問に、「けんちん汁などの汁物」「汁物、豚汁や筍汁」など、地域の「汁物文化」が身についているようです。本多さんが「漆器は百年もつので、大人になったときに思い出す宝ものです」。そこで、宝もの「Myえっぺ椀」で、安楽城小学校の友だちがつくった宝もの「納豆汁」の試食です。

うるしセンターでお椀づくり体験(写真提供:真室川町)

思い思いにデザインし、色づけした「えっぺ椀」

安楽城小と平枝小の宝ものが、ふくらみ、つながる

 安楽城小の子たちが、後方から見守ります。「味がよくしみてうまいです」という評価に一安心。会場のお客さんからもうれしそうな声が聞かれました。「納豆は好きだけど、納豆汁はチョッと…」と平枝小のひとりが、振り向いて頭を下げました。宮川アナの「どう?」に、「苦手だけど結構おいしそう」。少し時間がかかって、「食べているじゃない!」、そして「全部たいらげてくれたよ!」の声に、安楽城小は満面の笑顔。会場から拍手が起こりました。総合的な学習で追求した「地域の文化すばらしさ」が、ここでまたふくらみ、つながりました。

 パネルの梅の木に「えっぺ椀」の花が咲きました。うるしセンターで製造する「えっぺ椀」、本多さんは予約したそうです。定価8,000円のところ、町民価格は特別4,800円とのこと。

平枝小の友だちの「おいしい!」
「全部たいらげてくれた!」に、安楽城小も会場も喜ぶ