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地域ぐるみネットワーク「食ネット鳥栖」の活動
− まちの保健室、ロハスなアスパラ料理

出演された三神農業改良普及センター藤崎彌生主幹、
鳥栖保健福祉事務所小池悦子主任栄養士、光林飯店林城司社長

地産地消と食育のネットワーク

 ステージ上に、「食ネット鳥栖」の合言葉「スクラム組めばみんな健康(ハッピー)」のタイトルと、ネットワーク参加団体のパネルが掲げられました。司会の宮川泰夫アナから、2006年度食育コンクール(提唱:農林水産省、主催:地域に根ざした食育推進協議会・(社)農山漁村文化協会)で、食ネット鳥栖は最優秀賞・農林水産大臣賞を受賞したこと、地域のたくさんの人びとの連携によって地産地消と食育のすばらしい取組みが続けられていることが紹介されました。

 三神農業改良普及センターの藤崎彌生主幹、鳥栖保健福祉事務所の小池悦子主任栄養士、光林飯店の林城司社長が出演されました。はじめに、藤崎さんから、パネルを見ながら「食ネット鳥栖」の参加者の説明がありました。赤い枠で示された農業改良普及センター・農林事務所・保健福祉事務所といった県の機関および市町、緑で示されたJAなど直売所・スーパー・飲食店・食品関連企業・農業生産者・流通団体・農産加工グループなど民間団体、青で示された学校・保育園・消費者団体・病院・福祉施設・保健医療団体・地域ボランティアというように、30余りの組織と個人が参加しています。地域は、鳥栖市を中心に、神埼市・吉野ヶ里町・みやき町・基山町に広がっています。「役職とか立場にとらわれず、自由にアイディアを出し合い議論し合うネットワークです」と藤崎さん。

食ネット鳥栖の参加団体を説明する藤崎さん

食ネット鳥栖の活動の三つの柱

食と農からの健康づくりの拠点 「まちの保健室」

 ネットワークの活動の柱が、ステージのパネルに示されたように「食と農の総合的視点に立った健康づくりの推進」、「地産地消の推進」、「食農教育の展開」です。一番目の、食と農の総合的視点に立った健康づくりについて、小池悦子さんは「食事バランスガイドなど健康的な食生活の普及には、地元食材を使った料理を重視していますが、食ネット鳥栖によって地域の農業と食の情報がいつも得られることで、健康づくりがスムーズに進みます」と、ネットワークのよさを話されました。そして、そのような健康づくりの拠点となっているのが「とす “食と農” まちの保健室」です。

 大型スーパーで2カ月に1回くらい開催し、骨密度や血管年齢、血圧などの測定を行い、その結果をもとに健康・栄養相談、生活習慣の改善のアドバイスを行います。しかし、ここまでなら、よくある「出前保健室」ですが、さらに、地元農産物を使った健康料理や郷土料理の紹介、環境と体にやさしいエコ農産物・特別栽培農産物・有機農産物の紹介、地域のエコファーマーによるトークショウなどを行って、食・農と健康にかかわる情報提供、交流の場となっていることが特徴です。

「とす “食と農” まちの保健室」での体の測定と健康相談(提供:食ネット鳥栖)

エコファーマーによるトークショウ
(提供:食ネット鳥栖)

ロハスなメニューを提供する「健康づくり協力店」

 「地産地消の展開」のおもな活動は、学校給食食材の地域内自給率を50%に高める取組みと、健康づくり協力店を中心とした「ロハスな鳥栖三養基メニュー」の普及です。前者については、あとの鳥栖小学校の事例で詳しく紹介します

 ロハス(LOHAS)とは、"Lifestyles of Health and Sustainability"の略。「健康で持続可能な環境に配慮した生活スタイル」のことで、世界に運動が広がっていまます。「ロハスな鳥栖三養基メニュー」は、
(1)県産の食材を1品目以上、または環境にやさしい農産物(有機農産物・特別栽培農産物・エコ農産物)を1品目以上使用
(2)「食事バランスガイド」に配慮したメニューを提供
(3)これらの情報を客に伝える努力をしていること
の3つの条件を満たすもので、鳥栖地域の飲食店が「健康づくり協力店」として取り組んでいます。

 ゲストの医学博士で管理栄養士の本多京子さんから、「“ロハス”は、“スローフード”“地産地消”と根本は同じ考え方です。地元のものを自分たちの食卓にのせることは、例えば流通過程でのビタミンの消耗が少ないなど自分の健康にいいことだし、それで地域の農業生産が元気になり、田畑が守られることは海の環境が守られることでもあるというように、みんなつながっています」と、この取組みの意味を説明されました。

この日に完成したカラーパンフ
「ロハスな鳥栖三養基メニュー」

いのち丸ごといただくロハスなアスパラ料理

 「ロハスな鳥栖三養基メニュー」に取り組んでいる一人が、中華料理の光林飯店の林社長です。林さんは、食ネット鳥栖の立ち上げのときから、健康づくり協力店の代表として参加して、民間の立場から忌憚のない意見を述べる貴重な存在でした。この日に紹介してくれた料理は、アスパラのマスタード和えとデザート(杏仁豆腐風)の2点。鳥栖三養基地域は、暖地でのアスパラ栽培発祥の地。ハウス栽培で、収穫が2月から11月までとひじょうに長期間続き、地元の食卓にとってとても魅力ある野菜です。

 もともと農家で、自ら米をつくって店で使う林さんにとって、ロハスとは、アスパラの大きいものも小さいものも、まっすぐも曲がりも、穂先も硬い部分も、いのち丸ごと無駄なく使って、家庭では味わえなかった料理を楽しんでもらうこと。マスタード和えは、一本のアスパラの下の方の硬いところは皮をむいてシャキシャキ感、中間は皮つきの食感、穂の部分はやわらかな味わいを楽しみます。デザートは、硬い部分も多く使い、茹でて薄い輪切りにして裏ごしし、牛乳と寒天・ゼラチンで固めるもの。裏ごしアスパラの割合が3分の1ほどもある濃厚で香り高いムース風で、じつにぜいたくなデザートです。生産者から「デザートを」と求められて始めましたが、林さんは「すごく手間もかかり、自分のためだけなら作りません」。

林さんのアスパラのいのち丸ごと活かす料理 
左:マスタード和え、右:デザート(杏仁豆腐風)

ロハスな料理 アスパラのデザート(杏仁豆腐風)

  • アスパラガス 1kg
  • 牛乳 2リットル
  • 砂糖 250g
  • 寒天 50g
  • ゼラチン 50g
  • 塩 少々

  1. アスパラの芯の部分を皮むきし、塩茹でして冷まし、1mmより薄く輪切りにする。
  2. 砂糖、寒天、ゼラチンをボウルに入れて、牛乳1リットルに混ぜ、湯煎して溶かす。
  3. 牛乳の残り1リットルに輪切りアスパラを入れて、4、5回に分けてミキサーにかけ、ざるで裏ごしする。
  4. (2)と(3)を混ぜて、湯煎する。
  5. 冷水で少し冷まして、型箱に注ぎ、冷蔵庫に入れて固める。適当な大きさに切り、好みでシロップをかけていただく。


地産地消 ここだけのぜいたくな味わい

 試食した本多さんは、「とてもやさしい味です。アスパラの緑の部分にはビタミンが多く、アスパラギン酸には疲労回復効果があり、穂先に含まれるルチンには血管をしなやかにする効果があります」と、いのち丸ごと活かすロハスな健康料理、地産地消のぜいたくを賞味しました。

 藤崎さんから、この日に完成した「健康づくり協力店」による「ロハスな鳥栖三養基メニュー」のカラーガイドが紹介されました。ガイドは会場の展示ブースで来場者に配られました。
 宮川アナと本多さんから、保健福祉事務所、農林事務所、農業改良普及センターに食生活改善推進員、さらにはスーパー、飲食店など民間が連携した取組みの素晴らしさが語られました。

アスパラのデザートを試食し、
「とてももやさしい味」と本多さん