三平汁

「黒そい」の三平汁
「今日は三平しよう」 魚も野菜もおいしく熱々
ステージに最初に登場した料理が三平汁です。獲れたての魚を刺身で楽んだあとに残った部分に塩をして旨味を引き出し、じゃがいも・にんじん・大根・ねぎなどの野菜や豆腐と煮立てて食べる、熱々の汁ものです。魚の身も、骨も、内臓も、卵も入れて、残すところなく、魚を丸ごと利用します。野菜は雪の中に保存しておいたもの。寒さに当たって甘みを増した野菜のおいしさが、魚の塩味と組み合わさって、さらにパワーアップ。体もぽかぽかに温まります。「今日は三平しようか?」と会話になるほど、地域に根づいた料理です。
生魚を味噌や醤油仕立てにする三平汁(鮭など)のほか、魚をぬかと塩で保存しておいて塩抜きして使う保存魚の三平汁(ほっけ・にしん・鮭など)もあります。また素材も、黒そいや、かじかの三平、鮭三平、ほっけ三平、いか三平、たら三平、さんま三平など、多彩。季節によって、家々の好みによって、多彩な三平汁がつくられます。
湯気もいただきます!
左から、本多京子先生、テツさん、上磯郡漁業協同組合女性部の渡辺さん、惣蔵さん、トモさん
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三平汁をつくってきてくださったのは、上磯郡漁業協同組合女性部「浜のかあさん」こと渡辺栄美さん、惣蔵良子さんです。
外は雪。熱い鍋から上る湯気に、「湯気もいただきまーす。・・・・うわぁ本当においしーい!」とテツさん。本多京子先生は「冬の魚は油がすごくのっています、この油が体にいいんです。それに塩で余分な水分が出て味が凝縮され、魚臭みも消えてすごくいい味」。テツandトモさんは「魚から出た塩味と、雪中保存のホクホクじゃがいもがぴったり合いますね」。それぞれ、冬の味を満喫しました。
黒そい、かじか、ほっけ、めばる、鮭などの魚
じゃがいも
大根
にんじん
長ねぎなどの野菜
好みで豆腐やしたらき
塩または味噌 |
- 魚は刺身などにして美味しいところを楽しんだ残りを使う。頭、骨、はらすなどに塩をして、1日余りおく。
- 鍋で昆布だしをとる。
- 大根は削ぎ切りにしてゆでておく。じゃがいもは大きめに切り、にんじんは薄く削ぎ切りにする。
- 鍋の昆布を上げて、じゃがいもを煮る。少しやわらかくなったら、大根、にんじん、1の魚を適当な大きさに切って入れる。
- 味をみて塩気が少なければたす。生鮭を使う三平の場合は味噌で味をつけることも多い。
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地域の高校生に、魚に馴染んでもらう
知内高校の4人 |
「浜の母さん」渡辺栄美さんの手ほどきで3枚おろしを実演する遠藤君
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3枚下ろしの実演に会場も盛り上がった |
町立知内高校では毎年2回、「浜のかあさん」に高校に来てもらっての料理教室が開催されています。2年生の秋に鮭・牡蠣・ほたて、3年生の春にうに・真子がれいを使って、魚のさばき方や、地域に伝わる料理、もてなし料理を学びます。
漁家の子どもでも魚をおろせない者が多い今日、地域の後継者である高校生に魚になじんでもらおうという思いで始まりました。3年にもなると、さばき方も堂に入ってきます。
05年11月16日の料理教室では、知内鍋(石狩鍋風の鮭鍋)、鮭フライ、牡蠣の変わり揚げ、スープカレー(地元とベル食品とで共同開発した牡蠣ルー使用)と、じつに豪華な献立ができあがりました。
地元の高校生からは「浜のかあさんの手際のよさはスゴイと思った」「魚に自分でさわるのは抵抗感あったけど、やってもいいと思うようになった」。「スープカレーに牡蠣が合うなんて新発見でした」などの感想が。漁協のお母さんたちからも「包丁を使ったことのない高校生もみんな一生懸命やって、飲み込みが早いです」。
ステージでは、学生を代表して高校3年生の遠藤君が「浜のかあさん」に習った三枚下ろしの技を披露。目玉を押さえてウロコをそぐ技に、トモさんは「自分じゃ食べるばっかりで、こうやるなんて知らなかった! 格好いいねえ」と感心。いよいよ包丁を入れるときには、テツさんが「ユックリでいいからね」と励まし。「大丈夫。上手ですよ」と渡辺さん。観客席のお父さんたちも、手元をじっと見つめながら「そこじゃないなあ。そうそう!」と思わず声をかけていました。
見事に身を切り離すと、舞台から観客席から、いっせいに拍手が湧きました。「あいなめはヌルヌルしてやりにくかった」と遠藤君。知内では、たしかに食の後継者が育っていました。
魚(あいなめ)の3枚下ろし―「浜のかあさん」が高校生に伝授
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(1)包丁でうろこをそぎ落とす。魚の目を指で押さえると固定されて作業しやすい。 |

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(2)えらの下で切り、肛門まで包丁を入れて、内臓を取り出す。 |
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(3)頭を落とす。 |


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(4)3枚におろす:
開いて血あいを取り、背骨の上に右から左へと包丁を入れて、身を切り離す。 |
「浜のかあさん」 全国へ出かけて交流
上磯郡漁協の小谷石漁港 |
東京に事務局のある「ウーマンズフォーラム魚」は、漁業者と消費者のつながりを深め、漁業と魚食文化の将来を考え育んでいくことを目ざして、全国の漁協婦人部と協力して「浜のかあさんと語ろう会」を開催しています。知内町漁協の女性部員は37名全員が「浜のかあさん」。真子がれい、うに、ほたて、牡蠣など名産魚貝をもって、東京などの小学校などに出かけ、いっしょに魚貝を料理して味わってもらいながら、漁業や漁村のことを伝える活動を続けています。
渡辺栄美さんは、「東京の子は魚を知らないけど、知内の高校生と同じように、一生懸命やってくれます。子どものお母さんたちが楽しんで、料理を覚えようとしてくれるのもうれしいですね」と、地域内外のいろいろな世代との交流の手応えを語ってくれました。いま、子どもばかりでなく、主婦にこそ「魚の食育」が必要な時代に、頼もしい取り組みです。
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