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ロールまな

「古事記」にも記載が残る大和まな

株を開くと、軸に刻み葉があるのが特徴

小松菜(左)と大和まな

 「古事記」にその元になる「菘(すずな)」の記載がある「大和まな」は、わが国で最も古い野菜の1つです。それが全国に広まり、各地に独特の品種ができてきました。

 大和高田でも以前は水田の裏作にふつうにつくられていましたが、収穫後の日持ちが悪いので市場流通に乗りにくい、刻み葉のため病気に弱い、などの理由で、近年栽培が減少し、「幻の野菜」となっていました。そんななか、いま、大和まなの歴史の深さや、味のよさと色合いなどから消費者にもファンがふえてきています。12月から2月の寒さに当たると、ほかの菜類にはないやわらかさと独特の甘味が増し、食卓を豊かにしてくれます。

明るいグリーン、甘みがあって生食にピッタリ

まなの魅力を語る大和高田市担い手営農研究会会長・JAならけん大和高田市軟弱野菜部会会長の上田喜章さん

上田さんの畑での大和まなの収穫風景。水田の裏作で栽培されている

 大和高田市担い手営農研究会会長で軟弱野菜生産を営む上田喜章さんは、市内で1軒の大和まなの生産者です。上田さんが、まなにこだわるのは、そのおいしさゆえ。甘味があって、生で食べてもアクがなく、筋っぽさもありません。色はさわやかな明るいグリーンで、洋風のサラダにもピッタリ。濃いグリーンの小松菜、白っぽいキャベツやレタス、筋張ったミズナとは違った生野菜食の楽しみがあります。

まなジュース。ヨーグルト350cc、まな50g、水50ccに蜂蜜を加えてミキサーに

 ステージではまず生で試食。「青臭さがなく、甘味があって、おいしい。へーっ」とテツさん。平野レミさんは「繊維が口の中に固まらない。軸がパキパキときれいに折れるほど。おいしいですね」と新素材としての実力を感じていました。

 上田さんは「伝統野菜の復活というだけでなく、和風・洋風・中華風いろいろに使えるフレキシブルな新食材」と位置づけて、家族・地域で料理開発に取り組んでいます。イチオシのお勧めの食べ方は「まなジュース」。朝忙しい人にピッタリです。また、上田さんのお宅では、和風の「大和まなとイカの味噌和え」がお父さんやご本人の好物、ハムやコーンをあしらった洋風の「大和まなのサラダ」は奥さんや子どもさんが喜んで食べるそうです。

新作「ロールまな」に、“教え子”たちも合格点

土庫小学校3年生たち

 上田さんはゲストティーチャーとして、地元の土庫小学校に、農業体験を指導しています。3年生たちは上田さんの家を訪ねて、小松菜やなまについて育ち方や栽培について聞き、出荷用結束作業を体験。小松菜をお土産にもらい、家族に学んだことを話してみんなで食べることから、小松菜に愛着をもち、葉もの野菜が好きになっている子どもがたくさんいます。

 ステージでは上田さんが地元の主婦の方々と協力してつくった新作メニュー「ロールまな」をお披露目し、土庫小学校の子供たち12人も試食しました。

 「ロールまな」はロールキャベツを応用したアイデアですが、大和まなはキャベツに比べて筋がないので、やわらかく、お年寄りや小さい子どもでも食べやすいのが特徴です。葉は丸くて大きいので具が巻きやすく、葉の軸(葉柄)は、細かく刻んで挽肉に混ぜると、食べてサクサク感があり、肉の味とよくなじんで美味しくなります。試食した“教え子”たちからも、「甘くておいしかった」「野菜の匂いがして、おいしいです」と合格点をもらいました。平野レミさんも「肉と大和まなの軸が半々くらいなので、バランスがよくヘルシー。旬の元気なお野菜いっぱいの料理で、栄養も多くおいしいです」

20個分
  • 合挽き肉 200g
  • 大和まなの軸(葉柄部) 200g
  • 白ねぎ 2cm
  • 溶き卵 1/2個分
  • 大和まなの葉 40枚
  • 固形スープの素 2個
  • ローリエ 1枚(なくてもよい)
  • 塩、こしょう 少々
  • 水 2カップ
    1. 大和まなを耐熱容器に広げて並べ、ラップをかけて、電子レンジでしんなりするまで加熱する。
    2. 合挽き肉、細かく刻んだ大和まなの軸、細かく刻んだ白ねぎ、塩、こしょう、溶き卵をしっかり混ぜてタネをつくり、20等分する。
    3. 大和まなの葉で2.を包むように巻く。ふつうタネ1個に2枚使い、下から上へ1枚、上から下へ1枚巻く。葉が大きければ、1枚で巻いてもよい。
    4. 鍋の中に2.を並べ、ローリエをのせ、水2カップと固形スープの素を砕いて入れ、火にかける。煮立ったらふたをして、弱火で7分蒸し煮し、塩、こしょうで味を調える。

     

    野菜好きの子どもが育つことが喜び

     

    農家体験した3年生から届いたお礼の文集。「小松菜大好き」という声が多い

     上田さんは、通算12年にわたって、農家体験学習、学校農園の指導をしており、子どもたちからは「上田のオッちゃん」と親しまれています。小松菜の小さな種からの成長、それを助ける農作業の役割を解きほぐして教え、命を育てる農家の気持ちと技に触れ、子どもたちが食べることのつながりと大切さを感じられるように語りかけます。

     ステージで、子どもたちは上田先生の授業について口々に「楽しい!」「優しい!」と話していました。上田さんの一番の喜びは?との栗田アナの質問に、「子どもたちと野菜をつくったり収穫したりすることを通じて、野菜の嫌いな子が野菜好きになってくれること。野菜の旬を知ってもらうことです」と上田さん。

     「授業では“上田先生”、町では“上田のオッちゃん”といわれるようなつながりって、素晴らしいですね」とトモさん

    土づくり堆肥に、道具にプロの目が光る

    健全な土づくりに自家製発酵堆肥

    磨り減ってくるほどに手になじむ収穫鎌

     上田さんは、小松菜6割、大和まな4割の作付けで、どちらも年間6回の種まき・収穫をしています。夏は成長が速いので種まきして25日で収穫でき、寒い冬は最長120日かけてじっくり育って収穫を迎えます。

     このように多回数の作付けで栽培と品質を安定させるためには、土づくりが非常にたいせつです。そこで上田さんは、収穫2回するごとに、土のpHを整えるために石灰を補給し、土の微生物相や養分バランスを改善するために、発酵堆肥を施しています。発酵堆肥は漢方薬粕堆肥と米ぬかとボカシ堆肥を混合して、一定期間微生物の力で発酵させる、上田さん独特の手づくり堆肥です。

     上田さんのまな・小松菜収穫用の鎌は、新品のときには刃渡りが12cmありますが、使っては磨いているうちに、磨り減って短くなり、形も変わってきます。「半分の6、7cmになったときがいちばん速く確実に収穫できて使いやすい」と上田さんはいいます。土づくり堆肥にも、ひとつひとつの道具にも、プロの目が注がれているのです

    奈良県による「大和野菜」の認定

     大和まなのタネは長い間、栽培者による自家採種が続けられてきました。奈良県は大和まなを、千筋みずな、宇陀金ごぼう、ひもとうがらしなどとともに、10品目の「大和の伝統野菜」の1つに認定。これは、戦前から奈良県での生産が確認されており、地域の歴史・文化を受け継いだ独特の栽培方法等により、「味、香り、形態、来歴」などに特徴を持つ野菜に与えられるものです。そして大和まなの優良系統の選抜も始まりました。

     また食品としての機能性試験も行なっており、リウマチなどに効く抗炎症作用が確認されています。

     このように歴史的財産であり、地域個性を伝える伝統的な農産物の発掘、保存の動きは、全国で進んでいます