サワアザミの料理
サワアザミと身欠きにしんの煮物 |
サワアザミの漬け物 |
心葉の天ぷら |
家の周りに薬草がいっぱい
朝採れた薬草をもって登場された、坂東稔さん・美恵子さんご夫妻。春日地区で薬草・山菜を楽しみ、伝える活動をしている |
薬草のいろいろ |
ステージには、春日地区で生まれて63年、長く連れ添ってこられた坂東稔さん・美恵子さん夫妻が、大きなざるに10種類もの薬草をのせて登場されました。稔さんは「今朝、家のまわりで、ちょっと採っただけ」といいます。美恵子さんが「これはトウキ、体をあたためます。天ぷらにして食べたり、薬草風呂に使ったり」と、一つひとつ説明してくれます。
うらやましい! 山菜・薬草ライフ
会場のビデオモニターに、ご夫婦で薬草・山菜採りに出かける場面が写し出されました。朝晩通っている棚田の道を通って山の中に入り、ハナイカダ、ニワトコ、ツリガネニンジン……などなど、薬草・薬木を次々見つけていきます。「花が咲いたときに採るのがいちばんいい。だけど、来年のために全部を切るのではなく、この枝を残しておくんだ」と、薬草・山菜と長く付き合う知恵を教えてくれます。
伊吹山は織田信長が薬草園を置いたところとされ、薬草280種を数える宝庫。春日地区では、伊吹薬草湯や伊吹百草酒、伊吹薬草弁当などが製品化されていますが、これらは地域の人びとの山を活かす暮らしの中から生まれたものです。焼畑や、水に近い炭焼き場の周りには山菜・薬草がいっぱい生えます。
これらを大事にして炭焼きや畑仕事に行ったときの食事に食べ、家に持ち帰って食事や風呂に年中利用し、一部を販売して副収入としていました。
一服するときのお茶は、薬草茶。美恵子さんが、フキの葉を巻くようにしてコップをつくります。「うめぇ」と顔をほころばす稔さん。ご夫婦の山菜・薬草ライフに、会場から「ワーッ」と喚声が上がり、宮川アナは「毎日遠足のようですね」。
野菜のように育てて使うサワアザミ
沢沿いに自生するサワアザミ
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炭焼き小屋。周りにサワアザミを植えた |
家に帰ってくると、畑や庭の周りにも薬草・山菜がたくさんあります。その中で、一年中食卓に上るのがサワアザミ。この季節になると春日地区のみんなが楽しんで食べ、塩漬け・水煮にもして保存します。
サワアザミは沢沿いに自生し、人の背丈ほどにもなる大型のアザミです。春日の人びとは昔から、炭焼きで木を切ったあとを野焼きし、ソバ・ダイコン・カブなどと前後して植え育ててきました。また家の周りや茶畑の中、最近では休耕田にも植えています。
ゲストの為後さんは「こんな大きなアザミははじめて」と驚き、宮川アナは「山菜だけど、野菜のように植えて使うんですね」と感心していました。
山菜は、砂糖なしで料理する―サワアザミと身欠きにしんの煮物―
この日、美恵子さんは煮物・漬け物・天ぷらをつくってくれました。煮物は身欠きにしんとの炊き合わせ。身欠きにしんは、海から離れた山村でタンパクを摂る昔からの知恵で、塩と少しの醤油だけのシンプルな味つけです。砂糖は絶対に使わないのが山菜料理の原則だそうです。
宮川アナは「シャキシャキとして、にしんのだしがしみておいしい」と、砂糖なしの煮物の風味を楽しみました。「子どもが小さいときから食べさせると、いつになっても喜んで食べてくれます」という美恵子さんに、「これが食育ですね」と為後さんが大いに納得されました。
サワアザミの大きい葉は、周りを取り除いて軸(葉脈)だけにしてフキのように食べます。それを、外葉の硬いものは煮物に、内側のやわらかいものは漬け物に、心の幼い葉はそのまま天ぷらに、というように使い分けます。
10人分
- サワアザミ(葉のまわりを取り除いて軸だけにしたもの) 600g
- 身欠きにしん 5尾
- 塩 小さじ1
- みりん 大さじ1
- 醤油 大さじ2
- 水 カップ1と1/2
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サワアザミを洗ってざるに上げ、湯が沸騰したところに入れて塩少々加え、20分間ゆがく。
水につけて冷まし、ざるに上げて水を切る。
軸の凸側の筋を取り、長さ3cmほどに切る。
鍋に水、アザミを入れて火にかけ、あたたかくなってきたら、長さ3cmほどに切った身欠きにしんを入れる。煮立ってきたら、みりん、塩、醤油を入れて煮立てる。
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心葉の天ぷら
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天ぷらを味わう。右は鉢に植えて持って来てくれたサワアザミ |
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心のやわらかい葉を、さっと洗い、ざるにのせて水を切る。
1に打ち粉をつける。小麦粉に塩少々入れるとよい(油がはねず、タレなしで食べられる)。
低めの180℃の油温で、じっくり揚げて、パリッとさせる。
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サワアザミの漬け物
アザミ200gに対して
- サワアザミ(葉のまわりを取り除いて軸だけにしたもの) 200g
- 米ぬか 一つかみ
- 塩水 中さじ1
- 水 適量
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サワアザミを洗ってざるに上げ、沸騰したところに入れて塩少々加え、5分間ゆがく。
水につけて冷まし、ざるに上げて水を切る。
軸の凸側の筋を取り、ななめに食べやすい長さに切る。
米ぬかを塩水で練る(握りができるくらいの硬さ)。塩加減はやや辛めにする。サワアザミと交互に漬け込む。
一晩たったら、食べる分だけ取り出して洗って食べる。
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昔からの料理で「伊吹薬草弁当」
サワアザミの煮物は、身欠きにしんのほか、じゃがいもがあうという人、油揚げとちりめんじゃこがいいという人など、それぞれの家で好みがあります。町に出て暮らすようになった子どもや孫たちは、休日にやってきてはわが家の味を楽しみます。都会の兄弟に、塩蔵・塩抜き・水煮したサワアザミを送ってやると、「まだないか」とリクエストがくるほどです。薬草・山菜の育つふるさとの自然を感じ、その食を喜ぶ心が受けつがれています。
美恵子さんたちが、昔から伝わる薬草・山菜の食べ方を集め掘り起こし、弁当用にセレクトしてつくったのが「伊吹薬草弁当」。月1回の朝市に出しアッという間に売り切れる人気商品です。
その献立は、黒米入りごはん、煮物(アザミ・タケノコ・春日豆・里芋・切り干し大根)、季節の山菜・薬草の天ぷら・かき揚げ、こんにゃくのごま和え、百草寒天、かぶの漬け物、マスの甘露煮、果物と、山の幸が詰まっています。
山の体験、味、お風呂…丸ごと孫の世代へ
風呂に入れる薬草 |
美恵子さんは、学校などから頼まれて、地域の子どもたちと山に入って薬草・山菜について教えることがあります。「子どもたちはかわいく、楽しい」ひとときです。
ステージの最後は、稔さんが薬草風呂でくつろぐ場面のVTR。乾燥したドクダミ、ゲンノショウコ、トウキ、クロモジ、ウツボグサ、ヨモギの入った袋を湯船に入れます。袋を肩にあててこするようにすると「痛みもとれます」と、稔さん。ご夫婦にはこの夏、初孫が誕生します。山の体験と、料理の味と、お風呂…「生活全体で楽しんで、伝えていただきたい」と為後さんが締めくくられました。
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