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名産宇治茶 お茶7種、和菓子 古老柿

玉露を中心としたお茶7種

手摘みの玉露(左)、ハサミ摘みの玉露

古老柿

玉露の名産地

21お茶のふるさと塾塾長、お茶製造・販売5代目の谷口郁男さん。7種のお茶を紹介してくださった

 宇治田原町は、夏涼しく昼夜温差の大きい気候で、土壌はミネラルが多く、お茶栽培に適した自然条件がそろっています。そのうえ生産者が良質な有機質肥料を用いるほか、さまざまな栽培と製茶の技術を開発・駆使する努力によって、玉露を中心とする高級でおいしいお茶の産地を築いてきました。
  こうしたなか「21お茶のふるさと塾」「茶業青年会」などの人びとが、宇治茶産地を振興し、お茶文化を広く住民と次世代に伝える活動を続けています。

 ステージには、江戸時代からのお茶製造・販売業の5代目で、21お茶のふるさと塾塾長の谷口郁男さんが出演されました。谷口さんは、手摘み玉露、ハサミ刈りの玉露、手摘みかぶせ茶、ハサミ刈りかぶせ茶、強火玉露(輸出用)、茎茶、てん茶(抹茶にひくお茶)の7種のお茶をもってこられ、一つひとつについて説明されました。

手摘みとハサミ摘みの玉露、味の違いは?

こちらが手摘み。正解です

 そして、手摘み玉露とハサミ摘み玉露の二つを白と黒の茶わんに淹れて、ゲストの為後喜光さんとアナウンサーの宮川泰夫さんが試飲。手摘みとハサミ刈りを当ててもらおうという趣向です。宮川さんが「黒い茶わんのほうのお茶が色が濃いですね」というと、谷口さんが「ヒントです。おいしい玉露は色が薄いです」。

 為後さんは「これは、おいしい甘味があって。もういっぽうは、ふだんの飲んでいるお茶の味がします」。二人とも「白い茶わんが手摘みの玉露」の答に、谷口さん「正解です!」。会場から拍手が沸きました。

 ステージの大きなモニターに、谷口さんがお茶農家を回って交流する様子が映しだされ、次いで、製茶工場での篩、唐箕、火入れ・乾燥などの作業工程が映像で紹介されました。乾燥の仕方一つとってみても、お茶葉の状態やその日の天気で火加減を調節します。このように、どの工程も、生産者が育てた高品質茶葉の味を損なわず引き立てるための細心の技術ですすめられることに、皆改めて感心させられました。

風雅な遊び「茶香服」は地域社会のきずな

茶香服のようす

5種のお茶の札(花・鳥・風・月・客)と投げ札箱

 宇治茶産地ならでは楽しみが「茶香服(茶歌舞伎、ちゃかぶき)」です。種類や産地の異なるお茶を飲み比べて当てる遊びで、室町時代に始まりました。茶香服は男たちの風流なレクリエーションで、競技のあとの懇親飲み会がまた楽しみでもあったのです。

 茶香服で5種のお茶を当てるばあい、花・鳥・風・月・客の札(投げ札)が各茶に割り当てられ、飲んでこれと思った札を箱に入れていきます。札は昔は象牙製(今はプラスチックが多い)と凝った造りで、また5種のうちの「客」のお茶は招かれた客が持参するなど、風情に満ちた遊びです。

 地域の若者が青年団、消防団の勤めを終えると、「講」に入り、茶香服に参加することができました。地区ごとに永楽社、若友会などの講があり、茶香服をするときは雅やかな個人名が与えられたそうです。講の間で熱気ある対抗戦が開かれるなど、茶香服は地域社会をつなぐ大切なきずなでした。

競い合って楽しむ「茶香服」

 会場のモニターに、茶香服の様子が映し出されました。5種類のお茶が供され、どれがどれかを当てるのです。若い人も混じって皆真剣に楽しんでいます。

 まず茶葉を回して目でみて、嗅いでみます。次に、淹れたお茶を含むように飲み、わずかな違いから判断して、これだ思うお茶の札(投げ札)を箱に入れていきます。一度入れた札は使えないので、あとで間違いに気づいた人から「もとに戻ってほしいなあ」といった声も聞かれます。

 宮川アナは「なんとも風流ですね。集中力を高めて五感を使って。遊びではあるけれど、お茶のついての知識・感性を高めて、終わったあとは情報交換の場でもありますね」と感心されました。

子どもたちに宇治茶の味と茶文化を

茶摘み体験(谷口郁男さん提供)

 お茶の栽培・製造や、お茶の文化を子どもたちに楽しく伝える活動も、精力的に続けられています。「茶香服」もその一つで、いまではお茶関連のイベント、体験学習などに欠かせないメニューとして喜ばれ、子どもにとって宇治のお茶の味を知るよい機会となっています。
  毎年、町のふるさと祭りでは町民茶香服が行なわれ、120人が競って小学5年生が優勝したこともあります。「小さい頃から、おいしいお茶の味を覚えれば、大人になって本当のおいしさが分かるハズです」と、谷口さんたちは期待します。

 学校の茶摘み体験も毎年行いますが、摘んだ葉はホットプレートを使ってお茶にできるので、つくり方のマニュアルとともに家に持って帰ってもらいます。「自分でつくったお茶を、おじいさん、おばあさんに送ってあげて喜ばれた子もいました」と谷口さん。為後さんは「摘むこと、揉むこと、飲むことすべてを通じて好きになっていく。これがすばらしい食育ですね」。

お茶と柿の見事なつながり

茶畑に必ず植わっている「つるのこ柿」

独特な「柿屋」で干し柿にする(パンフ「宇治田原特産 古老柿」より)

 宇治田原町の茶畑には必ず柿の木(つるのこ柿)が植えられています。これはお茶の日除け・霜除けのためですが、じつはそれだけではありません。
  農家は秋までお茶摘みや茶園管理に働き、昔はそのあと柿の実から柿渋をとって販売してました。さらに11月からは、寒さと日ざしを活かして干し柿「古老柿」をつくって販売していたのです。1年間通じて働き稼ぐという、生業の知恵です。

 古老柿づくりは、ふつうのつるし柿と異なり、この地域独特の屋根つきの干し棚で行われます。これは「柿屋」と呼ばれ、晩秋の風物詩となっています。雨を避け、上手く日光を受けて風を通す柿屋の構造や、柿を箕でころころ回してこすれさせ白い粉をきれいにふかす作業など、古老柿づくりには自然を活かす妙技が込められているのです。
  田原小学校では、地域の生産部会の協力で柿屋のミニチュア版を建て、柿の皮むきから干して食べるまでの体験学習をしています。

 春に摘んで製茶したお茶は涼しくなると味が熟しておいしくなり、新茶の口切りは昔、秋を過ぎてからだったといいます。そのころに、ちょうど古老柿ができるのです。
 「お茶菓子としとしてちょうど良い甘さの基準が古老柿です」と谷口さん。宮川アナは「おいしいお茶には、おいしいお茶菓子がある。労働のサイクルとも上手く合致する季節においしくなるのですね」と感心されました。

古老柿のつくり方

  1. 11月下旬から茶園の周りなどに植えられている「つるのこ柿」を収穫して、ヘタを除き、皮をむく。
  2. 「柿屋」と呼ばれる丸木づくりの乾燥棚に並べて、冬の日ざしと寒風にさらし、14〜20日間乾燥させる。
  3. そのあと、昼間は日光に当て、箕に入れて1日3回ほど転がすように踊らせる。これを7日間続け、軟らかくなったところで、わらやむしろなどに包んで一昼夜置く。
  4. さらに日光に当て、1日3回ほど箕で踊らせて、白い粉がふいたらできあがり。
(※)参考:パンフ「宇治田原特産 古老柿」