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国産・自家産小麦粉で焼くピザ、パン、黒砂糖入り蒸しパン

自家産強力小麦粉、ニシノカオリで焼くピザ

国産強力小麦粉で焼くあんパンと甘夏マーマレードパン

自家産黒砂糖入り蒸しパン

食の営みを丸ごと体験 「食と農の体験塾」



食と農の体験塾からの眺望 400℃の熱でパン・ピザを焼く石窯

 上天草の島々を見わたす宇土半島先端の高野山の一角に、ミカン農家の宮田研蔵さんが営む「食と農の体験塾」があります。手づくりの本格炭焼き窯があり、ログハウス風の体験場には、400℃の高温になるパン・ピザ焼き用の石窯、薪でご飯を炊く竃(かまど)、サトウキビ絞り機、木製の大きな調理・食事台があります。ここは、薪が燃える煙たさ、火の熱さ、収穫して料理ができていく喜び、みんなで食卓を囲む楽しさなど食の営みを丸ごと体感できる場です。

ついに登場した国産・暖地向き強力粉小麦を活かして

 宮田さんは早くから、環境保全型農業に取り組んできましたが、そのなかで健康的食生活も食料自給も子どもの心身の発達もすべて、人びとの農と食への理解と食育が第一と考えました。そんなとき、農水省九州農業試験場の努力で強力粉のとれる国産硬質小麦ニシノカオリが、続いてミナミノカオリが育成されました。食の安全・安心を志す人びとにとって国産小麦によるパンづくりは悲願で、北海道のハルヒユタカを使うなど、さまざまな取組みが行われてきましたが、ついに西南暖地の品種が登場したのです。

 宮田さんの塾は、「香りと味が最高」という国産・自家産小麦を楽しくおいしく調理して食べることを中心にした体験塾に発展し、一度きた子どもや親たちから口コミで広がり、今では年間6000人の体験者が訪れるまでになっています。

親子で何回も、大事なことを学ぶためにやってくる



年間の体験塾のメニュー 「食と農の体験塾」を開いている宮田研蔵さんと、塾に何度も体験に来ている西山さん親子

 体験内容は、上の図のようになっています。
  通年行なうのがパン・ピザづくり、郷土食の団子汁、竈炊きご飯、ベーコンづくり。ほかに4〜7月に夏ミカンのマーマレードづくり、7〜8月にそうめん、9〜6月にバームクーヘンづくり、10〜3月にミカンの生ジュース絞り、12月〜1月に黒砂糖づくりを行なっています。

 ステージには、地元三角町に住む西山尚美さんと3人の子どもたち、小学5年生翔也君、3年生沙彩さん、1年生里奈さんにきていただきました。子どもたちにとってここでの体験は楽しいもので、宮田さんが話してくれる食べものと食事の大切さなどを、よく身につけていくようです。お母さんにとっては将来を支えてくれる子どもたちに健康的な食生活をしてもらいたいとの希望があり、これまで4、5回も体験に通ってきています。

 子どもたちはそれぞれ「わたしはパンづくり」「ぼくはピザ」「バームクーヘン」とお気に入りがあります。そのいくつかを、モニターで体験の写真を見ながら宮田さんが紹介してくれました。


石窯で焼く香ばしい自家産小麦の味

ピザを焼く(2006年10月22日、御船町立木倉小学校5年生の学級レクリエーション)

 ピザの小麦粉は上記のように自家産ニシノカオリ、ソースは完熟トマトを何時間もかけてじっくり煮込んでつくったもの、トッピングのピーマン、たまねぎ、バジルも自家産、ベーコンは安全でおいしい豚肉を買って手づくり加工。買うものはチーズだけです。400℃の石窯で、みんなで50まで数える間に焼けてきます。パンは国産小麦粉(ミナミノカオリ)をこねて自然発酵させ、石窯で4、5分かけて焼きます。

 試食した宮川泰夫アナは「香ばしい。粉本来の味がします」、ゲストの本多京子さんは「かむほどに豊かな味がします」と、食体験を支える国産小麦の味をかみしめました。宮田さんは「裏作に小麦をつくり食べることが自率向上の最良の道ですので、普及していきたい」と抱負を語りました。

上達がうれしいバームクーヘン

バームクーヘンづくり(2006年10月22日、
御船町立木倉小学校5年生の学級レクリエーション)

 バームクーヘンづくりでは、子どもたちは煙を我慢して回し続けます。そのうち、生地をぬる技や、棒をまわすスピード、焦げ加減が身について、お互いの呼吸があい、上達していくのがうれしい食べものづくりです。そんな体験が人気です。

「大地の旨味と栄養が凝縮した」手絞りの黒砂糖


さとうきびを持つ宮田さんご夫妻

「大地の旨味とミネラルが凝縮した」黒砂糖

 続いて、さとうきびを絞って黒砂糖づくり。ここ宇土半島は、江戸時代からの黒砂糖の産地で、昭和の前半までさかんでした。宮田さんはそれを大事にして、さとうきびの栽培から行ない、絞る機械を復元し体験メニューにしているのです。
  宮川アナ「塩味がある」、本多さん「お口に入れてはじめは濃厚で、そのあとサラリとします」との言葉に、宮田さんが「大地の旨味とミネラルが凝縮しています」と応じます。

 地域では、体によく深い味わいのある黒砂糖をつくって食卓に活かそうという研究会も活動しているとのことです。この日試食に黒砂糖入りパンも用意され、自然の恵みの甘味を楽しみました。

黒砂糖入り蒸しパン


溶いた卵に黒砂糖と白砂糖を入れて混ぜる

できた生地を蒸す
黒砂糖入り蒸しパンづくり

 30個分
  • 小麦粉(薄力粉) 600g
  • もち米粉 400g
  • ベーキングパウダー 50g
  • 卵 10個
  • 牛乳 200cc
  • 酢 大さじ2
  • 黒砂糖 500g
  • 白砂糖 200g
  1. 黒砂糖を小さく切る。
  2. 卵を割り、かき混ぜる。
  3. 薄力粉ともち米粉とベーキングパウダーを混ぜて、金網でふるう。
  4. (2)に(1)と白砂糖を入れて混ぜる。
  5. (4)のなかに牛乳200ccと酢を入れる。
  6. (5)のなかに(3)を入れて混ぜて、蒸す。

<黒砂糖のつくり方>
  1. さとうきびを畑から切り出し、皮をむく。
  2. 絞り機で絞る。
  3. 大鍋に絞り汁を入れて炊く。炭酸カルシウムを少々入れて中和する(pH7)。
  4. 約3時間炊きつめたのち、鉄鍋に移して10分程度混ぜる。
  5. 型枠に流し込んで冷まし、固める。

「早寝・早起き・朝ご飯」がなぜ大事か


子どもと親たちに食の大切さを語りかける

 体験にやってくる子どもと親たちに、宮田さんは、「なぜ7年間もこういう塾をひらいているか。それは子どもたちのためです」と語りかけます。

 さらに「皆さんの脳はいま音を立てて大きくなっています。このときに、熱い、煙い、楽しい、おいしい、など人間にしかできない記憶を脳に入れておくことが、やがて生きる力と知恵に変わっていきます。脳は血液のなかの栄養をいっぱい使います。朝起きたときには、血液がからっぽになっているので、早寝・早起きして、朝ご飯をしっかり食べて栄養を入れてあげねばなりません。 朝ご飯をちゃんと食べると、学校で先生のいうことが、そのとき知識として覚えられなくても、脳の記憶に残ります」 と話し、食の大切さを伝えます。

味噌汁の朝ご飯で世界一の脳をつくろう

 「世界一住みよいこの国、日本をつくりあげたのは、おじいちゃん、おばあちゃんたちです。その世界一の脳をつくったのが、朝ご飯の味噌汁なんです。いりこやわかめの入った味噌汁、納豆や漬物のでご飯を食べる食事です。いま、子どもたちの体と心は危機。これはみんな食源病です。食生活で体を強くし、世界一の脳を育ててください」

 こうした話と体験で、西山尚美さんは、「子どもたちの好き嫌いがなくなりました」「“味噌汁で世界−の子どもになるんだ”と食べ、また、家族で食卓を囲むようになりました」と頼もしい変化を語ってくれました。