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「くるみ味」の串もち・そばかっけ

串もち。手前がくるみ味噌、奥がじゅうね味噌

そばかっけ

味噌だれでおいしさいっぱいの「しとねもの」

 小麦粉などを水やお湯でこねてだんごや焼もち・ひっつみ・そば・うどんなどした食べものを「しとねもの」といいます。岩手県北では、小麦粉なら日常食の「ひっつみ」「串もち」から晴れ食の「小麦はっとう」まで、そばなら同じく日常食の「そばねり」「そばかっけ」から晴れ食の「そばはっとう」まで、じつにたくさんの「しとねもの」が伝えられてきました。

 その多彩な「しとねもの」をもっと多彩な味で楽しむのが、地域独特な南部玉味噌をいろいろに味つけした「くるみ味噌」「じゅうね味噌」など、手づくりの味噌だれです。

「食の匠」が伝える地域の味

 岩手県では、地域の食文化の知恵と技に優れ伝えていく人を、郷土料理ごとの「食の匠」に認定し、多くの人が活動しています。ステージには、手打ちそばの「食の匠」の米田カヨさんと、串もちの「食の匠」の工藤佻さんが登場されました。手に持った3つのお皿には、味噌をベースにしたたれが入っています。

 さっそく、ゲストの為後喜光さんが味わいました。「あっ、これはチョッと甘い。木の実のような味、くるみですね」「次は、においで分かかる。にんにくです」「最後は、私の好みの味ですが…ごまのようなもの。すごくおいしいですね」と感心され、興味しんしんです。

 司会の宮川泰夫アナの「味噌をいろいろに料理して、味を楽しむのですね」という言葉に、工藤さんが「どこの家でも、自分のまわりにある材料ですべて手づくりです」と応えます。

手打ちそばの「食の匠」の米田カヨさん、串もちの「食の匠」工藤佻さん

南部玉味噌の味噌玉と味噌だれ。左からくるみ味噌、にんにく味噌、じゅうね味噌


くるみ・えごまのまろやかな甘味と香り

 ステージの大きなモニターにVTRで、米田さんが何か探して拾って歩く様子が映し出されました。畑のまわりや川のほとりに生えている大きなオニグルミの木の下で、「あった!これ、くるみですよー」。尖ったクルミを割るのに、飛び散ったり手を打ったりしないように、小さな縄の輪に入れて固定するという工夫も紹介されました。割ったクルミに味噌を加え、砂糖をチョッと入れて摺っていくと、白くにごってペースト状になり、現代のどんな調味料やたれにもないような、自然なまろやかさが出てきます。

 ついで工藤さんが畑で、じゅうねを干し、脱穀している様子です。為後さんが「ごまのような」といわれたのは「じゅうね」。シソ科で香りが高く油脂をたくさん含んだ「えごま」です。これも摺って、くるみ味噌と同じように「じゅうね味噌」にするのです。工藤さんは「秋になると、お友だちと、早く今年のじゅうね味噌を食べたいねー、と、楽しみにするんです。去年のも残っているけど、新しいじゅうねは香りも味もいいから」と、うれしげに語ります。

じゅうね(えごま)の穂。食育展示ブースの高村英世さん(北岩手古代雑穀)の展示より

くるみ味噌

  • くるみ 200g
  • 砂糖 150g
  • 水 1カップ
  • 味噌 200g
  • 醤油 少々

  1. すり鉢でくるみをよくすり、砂糖、味噌を入れてさらにすり水でのばす。
  2. 隠し味に醤油を少し入れてもよい。

じゅうね味噌

  • じゅうね(えごま) 1カップ
  • 味噌 130g
  • 水 1カップ
  • 砂糖 70g
  • 卵 1個
  • サラダ油 小さじ1
  • 醤油 小さじ1

  1. じゅうねを先にすり鉢に入れてすりこ木ですり、砂糖、味噌、卵、サラダ油、醤油、水の順に入れてすりあげる。
 ※ミキサーを使うばあいは、材料を全部入れて1〜2分まわして作る。

にんにく味噌

  • にんにく 3カケ
  • 味噌 100g
  • 砂糖 50g、みりん 大さじ2
  • だし 1カップ

  1. にんにくをよくすり、味噌、砂糖を入れてさらにすり、みりん、だし汁でのばす。

「串もち」 むかしは囲炉裏端で焼いて野良へ

 そんな、収穫の季節の味、ふるさとの味の楽しみを、米田さん・工藤さんたちは、地域の子どもに伝えています。VTRで、子どもたちの「串もち」づくりの様子が紹介されました。串もちは、小麦粉をしとねて平たくのばして串ざしし、焼いて味噌だれをつけて食べるもので、以前はそば粉でもつくりました。

 昔は暮れの薬師様のお歳取りに必ず供え、また共同で農作業する「ゆい」のときなどふだんの小昼(おやつ)に、囲炉裏で焼いてもっていったものです。焼くときは、くるみ味噌やじゅうね味噌の香ばしい香りが漂い、子どもから大人まで焼けるのをいまかと待ったそうです。

串もちを味わう為後さんと宮川アナ

いま、串もちなどを楽しむ移動式の焼き炉

いまは、子どもたちが炉を囲んで楽しむ

 いまはそれを、地域のいろいろなイベントや、子どもたちの農作業体験のときのおやつにして、伝えているのです。囲炉裏がなくなった現代、誰かが考え出して、灰を入れて炭火をおこし串を並べてさして焼く移動式の「焼き炉」がつくられています。みんなでこれを囲んで、焼いて楽しむのです。VTRでも子どもたちに「おいしい」と大好評。「冬休みになったら、またやろうね」との約束も交わされました。

串もち

 20〜25枚位
  • 小麦粉 1kg
  • 塩 大さじ1
  • 熱湯 1リットル

  1. 小麦粉をボールまたはこね鉢に入れ、塩を混ぜ、熱湯を入れて耳たぶ位の固さにこねる。
  2. (1)を70〜80gにちぎり、丸めてそれを両手で軽く押し、平らに(中心の部分は厚めに)つくり熱湯でゆでる。
  3. 中心の厚めにした部分に串をさし、好みの味噌を付けて、炭火で少し焦げ目のつく位まで焼くと、香ばしくおいしいもちの出来上がり。

伝統の南部玉味噌を多彩な味で

 くるみ味噌やじゅうね味噌、にんにく味噌は、串もちや団子、そばかっけ、豆腐田楽など何でもおいしく食べられますが、その根っこにあるのが南部玉味噌。大豆が豊富なかわりに、米が少なく味噌にまでは使えない県北地域では、昔は米麹を入れず、大豆と塩だけで発酵させてつくる豆味噌でした。米田さんが、大豆をつぶして丸くした「味噌玉」を持って切れくれました。味噌玉を吊るして自然の麹菌がつくのに半月からひと月、そのあと仕込んで3年ほどかけてできます。この南部玉味噌の味わいにまろやかさ・甘さ・風味を添えたのがくるみやじゅうね、にんにくなどだったのです。

米田さんがもってきてくれた味噌玉。吊るして麹菌をつける

南部玉味噌

 40人分
  • 大豆 1斗
  • 塩 4斗
  • 水 1斗位(玉味噌の乾燥度合いによる)

  1. 大豆を1日水に浸ししっかりともどす。
  2. 大鍋に入れてやわらかく煮る(小指と親指でつまんでつぶれる位)。
  3. (2)をみそすり鉢でする。すった大豆を温かいうちに800g位の玉に取りその玉をワラで編んで、半月〜1ヶ月吊るす。
  4. みそ玉をはずし、きれいに洗い臼などで細かく砕く。
  5. (4)に塩をまぜ水を入れ、ドロッとする位にし樽に仕込む。

家族にあわせて、大人の味・子どもの味

 ステージでは、そば粉をねってのばして三角に切り、豆腐・大根などと茹で上げて食べる「そばかっけ」が紹介、試食されました。かっけや豆腐につけてフウフウいいながら楽しむ大人の味が、にんにく味噌です。子どもなど、家族の好みによって甘いコクのあるくるみ味噌やじゅうね味噌というようにつくり分け食べ分けて、三世代集まる囲炉裏端で、地域の味覚を受け継いでいったのです。

 さてステージでは、そばかっけの試食です。為後さんは「そばの香りが高く、にんにく独特の香りと辛味があい、しゃぶしゃぶ風の食べ方がよいですね」。宮川さんの「これはやっぱり、お酒でしょう」という言葉に、会場の客席から共感の笑いが起こりました。

三角に切った「そばかっけ」と豆腐、大根などを熱々で

にんにく味噌で食べる

くるみ味噌(写真左)、じゅうね味噌で食べる(写真右)で食べる

そばかっけ

 5〜6人分
  • そば粉 500g
  • 熱めの湯 250cc
  • 豆腐 1丁
  • 大根 1本
  • 生しいたけ5〜6枚
  • にんにく味噌 適量

  1. こね鉢にそば粉を入れこねて丸め、しっとりしてきたら麺棒でうすくのばし三角に切っておく。
  2. 大根は輪切りまたは半月切りにして下ゆでし、豆腐は大き目に切り、しいたけは石づきをとってサッと洗っておく。
  3. 土鍋にだし昆布をいれて沸かす。煮立ったところに豆腐、大根、しいたけを入れて、煮立ったところにそばかっけを入れる。煮ながら、にんにく味噌をつけて食べる。熱いところを鍋を囲んでいただく、心まで温まる寒いときの1品。

地域の味覚を伝える「くるみ味」

 いま、米田さんたちは、そばも栽培からそば打ちまで、地域の子どもたちに体験指導しています。「こういう世界では、食べものの好き嫌いがなくなりますね」と為後さん。「子どもの記憶に残って、大人になっていつか思い出します」と宮川さん。

 米田さん・工藤さんの、「ここでは、本当においしいことを『くるみ味』がするといいます」の言葉に、会場の皆さんが「うん、うん」とうなずきました。この日、会場の屋内フロアと屋外テントでは、市内のたくさんのグループが、二戸で伝え育んでいきたい「くるみ味」の料理や食文化を、たくさん展示し、試食もありました。宮川さんから、その豊かさの紹介がありました。

地域の子どもたちにそばの栽培とそば打ち体験を教える