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雑穀を多彩に活かす

雑穀おにぎり。右上は雑穀のブレンド

たかきびの粒と粉とへっちょこだんご

ヒエッシュフライ
付けあわせは左から、アンズゼリー、キャベツの千切り、
蒸しかぼちゃとリンゴのサラダ、にんじんと小松菜のソテー


雑穀食文化を生んだ資源循環農業

 かつて県北、二戸の農業の中心は、ひえ―小麦―大豆の2年3毛輪作。この農耕方式は、水田稲作に不向きな寒冷畑作地帯で単位面積からより多くの穀物を得ると同時に、地力を保全する巧妙なしくみでした。ヒエを30aつくると、そのわらと小麦のふすま、大豆がら、山草で馬1頭飼うことができ、馬の厩肥が土地を肥やしたのです。山と畑と家畜と人がつながった循環型の農業が続けられていました。そこからの恵みを最高に享受する食生活が、「あなた主役 ふるさとの味」で紹介した料理と食事なのです。

いまや、雑穀は料理をおいしくする食材

 「雑穀ご飯はボソボソしてまずいけれども、健康にいいから食べています」という人は少なくありません。しかし、いまでは、「雑穀はおいしい」というのが、「雑穀王国いわて」の新しいとらえ方です。ここ二戸では、いろいろなグループが、和風・洋風の料理に、雑穀のもつヘルシーさとおいしさ―例えば、ひえのしっかりした食感、いなきび・もちあわの粘りやトロミ感など―を活かした料理づくりと、子どもたちへの雑穀文化の継承に取り組んでいます。

 そんな取組みをしているお2人に出演していただきました。安藤直美さんは、二戸駅前で農家主婦4人で開いているお店「雑穀茶屋つぶっこまんま」の代表です。高村民子さんは、ご主人の英世さん(北岩手古代雑穀)が二戸の自然風土と農耕文化を活かした雑穀生産を推進している地域特産物マイスターで、ご本人は「たかきび」を使った郷土料理「へっちょこだんご」の「食の匠」です。

展示フロアで雑穀王国を表現した高村英世さんの「北岩手古代雑穀」のモニュメント

あわの畑(岩手県北地方)

雑穀を混ぜると、ご飯がおいしくなる!

 まずは雑穀おにぎりの試食です。雑穀は精白法の進歩もありますが、高村さんが守り栽培している二戸在来種のひえ(白びえ)と、いなきび、あわを合わせて1割お米に混ぜ、アマランサスを少々加えて炊いたご飯は、甘味と噛みごたえがあって、じつにおいしいのです。

 「雑穀ご飯は、冷えたときでも本当においしいです」との安藤さんの言葉に、ゲストの為後喜光さんは「このモチモチ感がすばらしい」。高村さんの「古米に入れると、新米かなというくらいおいしくなります」との説明に「それも分かります」と同感されました。「地元のお米を魅力アップする食材」が雑穀なのです。

お米にこの雑穀ミックスを1割混ぜる。黄色がもちきび、白があわ、透明感のある小粒がひえ

へっちょこだんごの「食の匠」の高村民子さん、雑穀茶屋つぶっこまんま代表の安藤直美さん

思いの込められた呼び名「へっちょこだんご」、貴重な作物「たかきび」

 ついでステージでは、高村さんの「へっちょこだんご」の実演と試食です。へっちょこだんごは秋の農作業の終わりを祝う庭仕舞いにつくられてきました。たかきびの粉を小さな楕円形で平たいだんごにし、指でくぼみをつけ、小豆汁を煮立てた中に入れて熱します。「うきうきだんご」の名もあります。これは浮き上がたところを食べるからとも、1年の農作業が無事終わって心がうきうきはずむからともいわれます。

 また、「へっちょこ」とは「へっちょこはかせやした(ご苦労かけました)」と労い食べるからとも、形がへっちょこ(へそ)型なのでとも言われます。ここにも、豊かな食の言葉があります。

 たかきびのだんごは、もち米よりもツルンとした滑らかな食感で、へっちょこだんごはこれでなくてはいけません。栽培面積は、統計上では全国で9haのうち、岩手県が5ha。まさに貴重で個性的な作物資源が、ここでつくられ守られているのです。

 高村民子さんは地域の子どもたちに、そのたかきびの植え付け・収穫から、へっちょこだんごづくりまで教えています。背が3mほどにもなるたかきび、子どもたちは自分の名前を書いてさし、生長と収穫を楽しみに畑にやってくるといいます。

たかきびの畑(岩手県北地方)

たかきびの穂。岩手古代雑穀の展示より

子どもたちにたかきびの体験

へっちょこだんご

 6人分
    だんご
  • たかきび粉 2カップ
  • 熱湯 100cc
  • 塩 少々

    小豆汁
  • 小豆 1カップ
  • 水 4カップ
  • 砂糖 100g
  1. 小豆は一晩水につけて、たっぷりの水でやわらかく煮る。
  2. 煮えた小豆はこしあんにして、砂糖、塩少々を加えて小豆汁をつくる。
  3. たかきび粉に塩をひとつまみ入れ、熱い湯を加えて混ぜ、耳たぶくらいの硬さにこねる。
  4. こね上がったら2cmくらいの球状に丸め、まん中を人差し指で押して、おへそのようなくぼみをつける。
  5. 煮立っているあずき汁にだんごを入れ、だんごが浮き上がってきたらでき上がり。少し冷めてもおいしい。

アトピー家族にやさしいベジタリアン風料理

 雑穀のヘルシーさと、料理のおいしさアップ力を活かした新しい料理も生まれています。安藤さんが、お店で人気の創作料理「ヒエッシュフライ」を紹介してくれました。昔から地域ではひえとトロロは相性の良い組合せとして食べられてきました。また小麦からとった麩は良質の植物たんぱく質そのものです。このような地域の伝統食材と知恵と技を活かして、フライに揚げたのが、この料理。

 宮川アナは「白身魚のフライだといわれてもわからないほど。それでいて低カロリーで健康的」と感心されました。肉脂を減らして旨味と洋風の味が楽しめる…このような料理に、アトピーの子をもつ家族から、思いっきり外食を楽しめると喜ばれているそうです。雑穀を活かして、二戸市は「やさしさの食のまち」に発展していきそうです。

これも地域食材、小麦のたんぱく質グルテン・板麩。ひえ、トロロいもと組み合わせてフライに

ひえの穂、北岩手古代雑穀の展示より

ヒエッシュフライ

 4人分
  • ひえ 80g
  • 水150cc(乾燥の強いひえは180cc)
  • 長いも 60g
  • 板麩 1枚
  • 塩・こしょう少々
  • フライの衣用の小麦粉・卵・パン粉、揚げ油

    A タルタルソース用
  • 炊いたアマランサス 10g
  • とんぶり 5g
  • きゅうりみじん切り 少々
  • らっきょうみじん切り 少々
  • カッテージチーズ 10g
  • マヨネーズ 10g
  1. 研いだひえに水を加えて炊飯器で炊く。
  2. 炊けたひえとすりおろした長いもを混ぜ合わせる。
  3. 板麩をお湯で戻して冷まして1枚に広げる。小麦粉を薄く振り、Aをぬりのばして、塩・こしょう、小麦粉を振る。
  4. (3)を八つに切り、小麦粉・卵・パン粉の順につけて油で揚げる。
  5. Aを混ぜてタルタルソースをつくる。
  6. (4)を皿に盛り、タルタルソースを添える。

雑穀料理体験は、子どもの年齢にあわせて

 地域の宝である雑穀料理は、素材も料理法も多彩なために、子どもと若い親たちが楽しみながら身につけるのにもピッタリです。安藤直美さんは、年齢にふさわしい料理体験をいくつかあげてくれました。低学年には手で握る雑穀おにぎり、いろいろな形ができるのを比べながら。小さい子から大人まで向くのがへっちょこだんご、丸めて指先で凹みをつけるのを面白がりながら上達していきます。若いお母さんが「わが家でもつくりたい!」と喜んで取り組むのがヒエッシュフライ、などなどです。

 フェア会場の食育展示ブースでは、食の地域活動を展開しているお母さんグループなどが、自慢の雑穀料理の展示をして、レシピを配りました。「ふるさとの味」ステージに、食育展示ブースに「雑穀王国いわて」の豊かさが広がりました。