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研究課題名

地産地消による食育の実践:栃木県高根沢町の事例研究

報告者(代表者) 宇田 靖 宇都宮大学農学部

  氏 名 所属機関
共同研究者 斉藤一治 栃木県農業大学校研修部教授
吉野昭子 旭クッキングスクール校長
高橋久美子 宇都宮栄養専門学校講師
杉田静江 (財)栃木農業振興公社農政特別指導員
高島操 元栃木県農務部
浅野久 (有)あさの代表取締役
飯山啓子 栃木県那須農業振興事務所
半田久枝 栃木県那須農業振興事務所
斉藤美枝子 栃木県那須農業振興事務所
田野茂 栃木県農協中央会食の安全・安心対策室長
研究協力者 古口忠道 高根沢町産業振興課課長
若色三男 高根沢町産業振興課課長補佐
瀧澤悦郎 高根沢町産業振興課地域マネージャー
檜山和市 高根沢町農業会議議長
直井和利 たんたん倶楽部会長
田代和男 JA高根沢地区青年部長
古口芳江 前生活研究グループ協議会会長
相馬浅子 高根沢町在住栄養士
小堀貴己夫 町営学校給食センター所長
渡邊誠 JAしおのや営農部営農企画課
直井幸子 高根沢町豆まめクラブ会員
古郡スミ子 高根沢町豆まめクラブ会員

1.研究の目的
 本研究は、栃木県内でも有数の米作地域であり、町の施策としても積極的に地域循環型農業と地産地消を推進している高根沢町における食育の検証を試みたものである。すなわち、(1)高根沢町の循環型社会を目指す施策、(2)町内農産物の生産と安全・安心の取組みにおける「土作りセンター」、「元気あっぷむら」などの役割とそれらに対する住民の意識状況、(3)町内学校給食における地場産食材の利用実態と食育の実情などを調査し、町の地産地消による食育推進の現状と課題を明らかにすることを目的とした。

2.研究の方法
 本研究ではまず、高根沢町長との懇談により町の地産地消および食育に関する基本姿勢、具体的な施策を伺った。次いで同町産業振興課の協力により、町内農業生産者、JA青年部、生活改善グループなど住民代表からの町の施策や地産地消の実施状況に対する意見、食育への考え方などを聞き取り調査した。さらに、町内認定農業者180人および市街地住民無作為抽出100名に対する地産地消と循環型町づくりにおける町の「土づくりセンター」や、「元気あっぷむら」の役割に関する意識調査を実施した。また、町内6小学校の5年生323人およびその保護者に対する給食食材を中心とするアンケート調査を実施した。これらの調査を踏まえて数回の検討・報告会を重ね、本報告を取りまとめた。

3.研究の結果及び考察
 高根沢町は循環型農業と地産地消を目指し、その拠点施設として「土づくりセンター」、「びれっじセンター」、「元気あっぷむら」の3施設を整備している。特に「土づくりセンター」は高根沢町の循環型農業生産のみならず、農村部と市街部の住民が一体となった町づくり、子供たちの教育における人づくりの中核的な施設として機能している。ここで作られる堆肥は町内農業者の土づくりに利用され、学校給食用の減農薬米や同じく給食用の11品目に及ぶ野菜類の栽培に不可欠のものとなっている。
  また、子供たちは4年生の時にこの施設を見学して強烈な臭気と無臭になったさらさらの堆肥を実感する。そしてこれが自分たちの給食に出てくる食材の生産に役立っていることを教えられる。JA青年部を中心とした農業生産者が積極的に「アグリティーチャー」となって子供たちに土のにおいと感触を体験させながら農産物の生産体験を積ませる活動や、元気あっぷむらでの宿泊実習による豆腐づくりで、でき上がった豆腐やおからを家に持ち帰って家族に紹介しながら賞味するという体験は貴重である。これらの体験は高根沢町の地産地消、循環型社会の推進という方針とも相まって、子供たちにとって貴重な食育の場として機能している。
  実際、子供たちへのアンケートの結果を見ると、給食に出されるご飯のお米や野菜の一部は「たんたんくん」という堆肥を用いて町の田んぼや畑で作られたものであることをよく知っている。子供から教えられている保護者もいる。このことは今後食育の効果的な推進にとって重要な基礎となるものである。食育の効果的な推進にはもっともっと多くの地域に根ざした体験の場を設定し、子供たちにの食を大切にする姿勢を育むことが求められている。このためには、町の行政、学校、家庭、地域の共同が必要不可欠であろう。

※本研究に関する発表予定
  • 確定しましたら掲載いたします。
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