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2003年度 食育実証研究助成事業 採用研究一覧

(敬称略)
No. 研究課題名 申請者所属 申請者氏名 共同研究者及び研究協力者所属 共同研究者及び研究協力者氏名 具体的研究内容及び期待しうる成果
1 仮想コンビニを使った食育  和歌山大学 助教授 赤松純子 C・キッズ・ネットワーク 篠井直子・小川桂子・甲田敏江・大森節子他  コンビニでの買い物をシュミレーションすることにより、自らの食生活について考える。実際に自分自身選んだ昼食をテーマに学習することは、興味深く実生活へのフィードバックが容易である。作業を通して自らの食生活への関心が高まり、今後メニューを考えるときやコンビニ食などの中間食、レストラン等での外食に対しても、栄養バランスを考えたメニューの選択や組み合わせが期待できる。主に生徒を対象として効果的な手法を開発するが、今年度は児童や高齢者を対象とした講座も行うので、孤食個食の食育としても、より汎用性のあるものが期待できる。
2 地産地消による食育の実践-栃木県高根沢町の事例研究 宇都宮大学 農学部 教授 宇田靖 栃木県農業大学校研修部教授 斎藤一冶  以下の事項に関する事例調査とその分析を中心に研究を進める。
(1)町の循環型農業生産への考え方とその財政的支援の実情
(2)町営の土作りセンター、学校給食センター、元気あっぷむらの運営と学校教育への活用状況
(3)町内農産物の生産と安全、安心へのとりくみの実情
(4)学校給食における地場産食材の利用実態とそれに対する子供たちの意識
(5)土作りセンターの役割とこの施設に対する住民の意識
(6)元気あっぷむらでの地場産食材の利用実態とこの施設の役割に対する住民の意識
 
 これらの調査結果の分析を通じて、高根沢町における循環型地場産農産物の利用による地域の農業と地場産食材に対する子供たちや住民の意識状況が把握できるものと考える。そこでは高根沢町特有の条件の下で成り立っている食育問題とともに、かなり普遍的で全国的にも学ぶべき食育のあり方も浮き彫りになるものと期待され、今後の食育に寄与できる成果が得られるものと考えている。

栃木県農協中央会農業対策部 田野茂
アサヒクッキングスクール校長 吉野昭子
宇都宮大学教育学部教授 真下弘征
栃木県那須農業振興事務所 飯山啓子
元栃木県農務部 高島操
栃木県河内農業振興事務所経営普及部 半田久江
栃木県河内農業振興事務所企画振興室 斎藤美枝子
元栃木県農務部 高橋久美子
3 食の生産から消費まで理解できる食育カリキュラムに関する研究 宮城教育大学 教育学部 教授 小金澤孝昭 宮城教育大学教育学部教授  小金澤孝昭

従来から大学の授業や市民運動の一環として行ってきた環境保全型農業を進める運動や地産地消を進める市民向けのフアーマーズ・マーケット開催や小学校教員との食教育ネットワークを活用して,本研究では米を中心とした生産~流通~消費のカリキュラムを実証的に作成していくことを目的にしている。
 食教育のもっとも効果的な手法は体験である。しかし,それは体系づけられた体験であり,その体験から何が明らかになるのかといった明確な目的があってはじめて効果を発揮する。そこで生産場面では,地域の環境と生産の関わりや米作りが全過程でどのように行われているのかということをわかりやすく伝える(この点では文献(5)の先進的な成果がある)と同時に具体的に体験させていく。また消費の場面では、できあがった農産物を実際に売るということを通じて,生産者と消費者との関係やどんな情報(安全・安心)が流通にとって必要なのかを体験していく。消費では実際に調理すること保存することの知恵を体験し,食生活や自分の健康との関わりを実感していく。
 このような流れの体験カリキュラムを小学生用と大学生・市民用につくり実際に体験プログラムの中でその効果を評価することにしている。その過程は,ビデオや写真に記録して体験プログラムの実際がみられるCD教材として教材化する。これらの取り組みは,小学生用については都市と農村部の3つの小学校の教諭との共同研究によって進め,大学生・市民用については,宮城教育大学の「地域社会教育論」や「学校給食」の講義を活用しながら作成する。また地域環境について水質と土壌の専門家を共同研究者とした。さらに全国の実践や外国の事例も可能な限り調査してカリキュラムづくりの参考にする。
 期待しうる成果としては,従来個別に積み上げられてきた生産の食育,流通の食育,消費・調理の食育をつないでみることによって食育の目的がより鮮明になると考えている。

宮城教育大学教育学部助教授  岡正明
石巻専修大学理工学部助教授  角田出
宮城教育大学非常勤講師  結城登美雄
小牛田町立小牛田小学校教諭  小野寺勝徳
仙台市立鶴ヶ谷小学校教諭  北川長利
大郷町立粕川小学校教諭  奥平大和
仙台市立高森中学校教頭  須藤由子
気仙沼市面瀬小学校教諭  及川幸彦
4 地域における3世代共同農業体験学習の教育効果に関する研究 滋賀大学 教育学部  教授 木島温夫 大津市立唐崎小学校 栗田隆司 1.地域と教育機関との連携のありかたを検討する。
(1) 地域には地域で何らかの積極的役割をしたいと思っている高齢者が多いがその力を引き出すシステムを検討する。
(2) 地域公民館と教育機関との連携のあり方を検討する。
2.高齢者の役割、保護者の役割、教育機関の役割分担のあり方の検討をする。
(1) 大学の学生はプログラムを作成し、高齢者の指導の補助者として子どもに接する。
(2) 高齢者が子どもに具体的技術指導をする。
(3) 保護者は子どもと共に体験をする。
3.高齢者、保護者、子どもには随時プログラムに対する評価、子どもに対する感想、高齢者に対する感想、保護者に対する感想を記述調査と聞き取り調査する。
4.子どもには毎回ノ-トに仕事内容・観察内容・感想を記入してもらい、随時それらを検討する。
5.具体的体験内容の検討により、実践プログラムを作成し、3世代による体験活動の地域連携システムを作る。
6.このシステムによる活動で、それぞれの層が農と食と人間との関係を深く認識することになるであろう。また親は子どもの新しい一面を発見し、高齢者は地域での生きがいを感じることになるであろう。
滋賀大学教育学部附属環境教育湖沼実習センタ-客員研究員
石山ネイチャ-倶楽部
宇部甫
滋賀大学教育学部附属環境教育湖沼実習センタ-客員研究員
石山ネイチャ-倶楽部
札葉日出男
滋賀大学教育学部4回生 安田有里
滋賀大学教育学部4回生 岡田智恵
5 外食事業者の食育ニーズの解明と食育モデルの提案
-子ども用外食メニューを題材として-
山梨県立女子短期大学 生活科学科 助教授 酒井治子 日本大学生物資源科学部食品経済学科助教授 清水みゆき  本研究の目的は、食育の実践度の低い外食を食育の場に据え、子ども用外食メニューを題材とした外食事業者の食育に対するニーズを掘り起こし、外食店を拠点とした効果的な食育プログラムモデル(教材を含む)を提案することである。
 具体的な研究内容として、外食事業者の食育ニーズをヒアリング調査により明らかにする。その結果から、外食の場での食育プログラムモデル(教材を含めて)を試案し、幼児用外食メニューを題材とした食育に対する、外食事業者側の実現可能性を探る。この成果を基に、次年度、外食での食育プログラムの実証を行い、幼児の保護者(消費者)及び事業者による評価方法の開発を目指している。
 外食を拠点とした食育プログラムが実現できることにより、以下の成果を期待している。
 農業生産者から加工業者、外食業者などの食料供給サイドと消費サイド(親と子ども)の接点である外食での食育は、食べる子どもの目前で、実際の食事を題材にした体験学習を通した展開が実現できる。食育の内容として、自分の健康は基より、地域社会の中で、地球上の人類に将来に渡って安全な食料が安定的に供給されるために、どんな食材、メニュー・量が好ましいのかについて考える力を子どもが持つことができる。外食の栄養素構成だけでなく、環境問題、食の安全性の観点から、食材の生産・流通の履歴にまで関心を広げることができるプログラムである。本研究の題材にとりあげた子ども用外食メニューは、保護者にとって関心が高く、子どもへの食育が家庭へ、そして、地域へと、広がりをもっている。また、外食のような営利中心で、食育実践度の低い場に、本研究の手法を応用することができると考える。
国際学院埼玉短期大学助教授 高橋千恵子
社団法人食品需給研究センター主任研究員 酒井純
共立女子短期大学生活科学科 清水亜紀
6 望ましい食習慣の実現を目指して-実践への意欲を育てる食教育の提案- お茶の水女子大学 大学院人間文化研究科 教授 畑江敬子 お茶の水女子大学付属高等学校教諭 田中京子 申請者らは昨年、小学校、中学校、高等学校の家庭科を担当する教員に対するアンケートによる子供の意識調査を行った。さらに大学生も加えて児童、生徒および学生それぞれ30-40名程度を対象に簡単な同一メニューの調理実習を行い、その様子をビデオで詳細に撮影した。アンケートおよび調理実習の結果については一部しか検討しておらず、その詳細な解析はまだ行われていない。実習については、まず、手指や腕、身体の動きから発達段階と関連させて技術を解析する。彼らの技術をもって容易に出来る調理操作を検討し、また、彼らの嗜好、必要な栄養素などを考慮した、メニューの提案を行う。
 さらに、そのメニューが果たして児童、生徒、および学生に適しているか、再び調理実習を行い、ビデオ撮影を行って解析、確認を行う。
 調理が容易で、食に対する興味・関心を高め食生活向上への意欲を育てる一連の実習プログラムを作成する。作成したプログラムが子供の興味・関心を高めることを確認したところで、メニューとその解説等をあわせた小冊子を作る。それを子供たちに配布することで食に対する興味・関心を喚起し将来にわたる望ましい食習慣を身につけさせる基礎とする。
お茶の水女子大学付属中学校教諭 栗原恵美子
お茶の水女子大学付属小学校教諭 流田直
お茶の水女子大学研究生 手島陽子
東京ガス(株)主任研究員 小西雅子
服部栄養専門学校講師 藤井身江子
7 ライフステージ別食育の実践方法-特に小学生に対する食育における他の教育活動との連携について- 和洋女子大学 助教授 藤澤由美子 和洋女子大学 石井荘子 東京近郊のY市の幼児・小学生・中学生の健診事業に協力して食生活指導を行っているが、今年度の生活習慣病予防健診の対象となる小学生4年生は10校約300名である。対象者に、健診に併せて生活状況調査及び食習慣調査を実施し、健診の結果と併せて食生活の現状を探り、問題点を分析する。その問題点に応じた掲示食育媒体を作成し各学校に配布掲示を依頼するとともに、個人別に食生活アドバイス票を返却する。個人票は発達段階に応じて、対象となる小学校4年生に理解可能な内容、表現形式を考慮する。可能であれば、面接方式で指導を実施して解説する。また、学校教育との連携で、総合的学習、家庭科、体験学習などの授業に参加して食育を実施する。各食育実施後は効果判定の調査、意識の変化等のアンケート、可能であれば保護者との面接調査を実施し、評価を行う。媒体作成、個人指導や授業での介入については、管理栄養士養成教育の一環として専攻学生にも参加させて実践する。
学校教育においては、教諭による教育だけでなく、家庭、地域との連携や他領域の人との交流も推奨されていることから、様々な形での食教育は評価できるものである。特に総合学習等の児童が自発的に考え体験的に学んでいく現場での比較的若い世代の学生との交流は大切であると考える。単に教諭の代わりの授業ではなく、集団で対応し、専門的に栄養教育を学ぶ学生にしかできない授業を企画する。
これらの食育の実践が、幼児・児童・中学生と一連の流れの中で、将来成人の生活習慣病予防への効果を上げることを期待したい。横断的に実施される幼児、中学生の健診及び食生活調査の結果やこれまでの経過と合わせて総合的に食育の効果も判定したい。
和洋女子大学 杉浦令子