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研究課題名

こどもはほんとうに野菜が嫌いか?

−野菜の生産から消費の体験およびこどもの食歴と嗜好変化についての研究−
研究代表者 原 知子 神戸山手短期大学生活学科助教授

  氏 名 所属機関
共同研究者 増田 大成 NPOひょうご農業クラブ
土井 信子 こども野菜クラブ顧問
宮道 一夫 六甲アイランド健康食研究会
研究協力者 岸田 和士 こども野菜クラブサポーター
伊海 公子 奈良女子大学生活環境学部 非常勤講師

 申請者らは、こども野菜クラブの活動を通して、こどもたちの食事内容のうち、特に野菜摂取の状況を把握し、偏食をいかに減少させられるか、新鮮な野菜のおいしさをいかに理解できるか、に対して「自分で調理する」ことの効果等を考える目的で研究を行った。こども野菜クラブは主に、メンバー家族が毎月1回季節の野菜を用いた料理を自分たちで作って仲間と一緒に食べる、野菜の栽培体験にも目をむける、という活動である。(主催者側は毎月2〜3回実施)

 活動の中でこどもたちの状況を観察した結果、次のような事例が確認された。

*本能的に幼い時には苦いもの、辛味のあるもの、酸味の強いもの、特有の匂いのあるもの、特異なテクスチャーなどが嫌われる傾向があるといわれるが、こどもたちにはひとりひとり全く異なる嗜好傾向があった。
*しかし、素材の野菜を自分で調理するという料理体験によって、野菜に対する親近感が増し、料理への愛着、調理時の楽しさから、ふだん摂取しない野菜、今まで食べなかったものをも食べることができた、また食べ残さないことを大事にする姿勢がみられた。
*食事マナー(挨拶、だらだら食べの改善など)がよくなった。
*食材のレパートリーが増えた。
*振り返りにより、保護者が、「なぜ残したのか、どうすれば食べるか」が意識化された。
*料理への意欲に男女差は認められなかった。
*こども野菜クラブに参加することにより、こどもたちが家庭でも調理の手伝いをよくするようになった、食事内容や料理への関心が増した。

 家庭という、やや「甘え」の許されやすい環境を一歩離れて、こども自身が自分たちと同じあるいは幼い仲間さらには高齢の方とも一緒に調理して食事をすることで、自己規制力が育まれることも野菜クラブの効果の一つと考えられる。素材の新鮮さによって、野菜自体のおいしさを発見してもらえるよさもある。さらに、家庭では出現しにくい伝統的なおせち料理など、保護者にとっての学習、およびコミュニケーションの場となっている。評価を気にすることなく家族や多様な年齢のメンバーとともに調理し、ともに食べるということで、家族メンバーがそろった上で家族以外の人との共食の楽しさを味わうこともできる。

 こうした「場の提供」を息長く続けることが「素材を調理して食べること」や「素材の味」を「身体で覚えている」こどもたちを育て、家庭での食教育への手助けにもなると考えられる。


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