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2004年度 食育実証研究助成事業 採用研究一覧

(7課題・敬称略)
No. 研究課題名 申請者所属 申請者氏名 共同研究者及び研究協力者所属 共同研究者及び研究協力者氏名 具体的研究内容及び期待しうる成果
1 乳幼児期における食育カリキュラムの開発ー地域の農産物生産者との連携を軸としてー 白梅学園短期大学保育科助教授 師岡章 東京家政学院大学家政部家政学科助教授 酒井治子 本研究の目的は、幼稚園・保育所等、乳幼児期の保育を担う現場に向け、食育実践の目標・内容・方法を含んだ年齢別指導計画を地域の農産物生産者との連携を軸に開発し、保育現場で利用可能な提案をすることである。具体的な研究内容としては、第一に、平成16年3月、厚生労働省より通知された「保育所における食育に関する指針」を分析し、食育に視点をおいた年齢別指導計画の試案を作成することである。第二は、地域性をふまえた先進的な食育実践を展開している幼稚園・保育所を訪問し、食育に関する指導計画の実際をヒアリング調査により把握することである。また、食育実践を実際に観察・記録し、計画と実践の関連性も把握する。第三に、上記の結果を対照させ、食育に視点をおいたより精緻な年齢別指導計画を作成する。最後に、年齢別指導計画を保育現場にフィードバックし、その妥当性を検証する。以上の研究内容及び結果により、期待される成果は次の通りである。まず食育をめぐって、いまだ様々な解釈がある保育現場に向け、地域の農作物生産者との連携、さらに飼育・栽培活動など「食」を「農」と関連、結合させる視点からカリキュラムを作成、提示することにより、食育に対する共通理解を促すこととなる。同時に、食育カリキュラムを具体的な年齢別指導計画として示すことにより、実践の具体的な方策が明らかとなり、食育実践の交流及び改善が推進される。第二に、具体的な年齢別指導計画を保育活動の構造を見据えて作成することにより、食育を園生活全ての活動と密接に関連させた活動へと促す。特に、食育を飼育・栽培活動、料理などとの関連において構想することにより、小学校以降の食農教育、またそこで期待されている豊かな心の育成ともつなげていくことができる。最後に、0〜6歳までの発達の特性・順序性を考慮する中、乳幼児が家庭・地域にも支えられながら発育・発達することも見通せ、地域の農産物生産地また生産者など地域との連携も見据えた食育実践を促す。
津田塾大学国際関係学科助教授 外山紀子
白梅学園短期大学保育科専任講師 林薫
2 栄養・健康表示の社会的ニーズの解明と食育実践への活用に関する研究 大妻女子大学家政学部食物学科教授 池上幸江 武蔵丘短期大学教授 倉田澄子 1)栄養・健康表示に対する認識とニーズに対する調査   現状の栄養・健康表示の利用度や認識、要望についての基礎的な調査、海外の事例も参考にしながら作成した具体的な各種表示例に対する各階層における反応の調査などを通して、表示に求められている内容や方法の把握を行う。対象者は専門家集団として栄養士や食品企業の社員、比較的意識の高い一般消費者として女性集団や食品関連モニター、年齢階層として高齢者と学生などを考えている。これらの対象者は首都圏に限定せず、できるかぎり全国的に選定する。調査用紙作成は問題意識を十分に反映したものであるかを吟味し、調査対象者には調査用紙は郵送によって送付、回収を行う。集計は、対象者グループ別に行い、それぞれの階層における表示の認識や要求を明らかにする。 2)海外における栄養・健康表示の実態調査   わが国の栄養・健康表示を食育のツールとして有効なものを提案するために、海外における動向と先進的、かつ有効的な表示を調査する。その中から参考となる事例は1)の調査の項目に加えて、専門家や一般消費者の評価を得ることによって、わが国の新たな制度改革の参考とするものである。 3)食育実践に向けた栄養・健康表示の提案  1)、2)の結果に基づいて食育に活用できる栄養・健康表示の内容、活用方法についてまとめる。これらを今後のわが国の栄養・健康表示の改善に向けて提案としてまとめ、各方面に提起する。
(独)国立健康・栄養研究所研究部長 山田和彦
フレスコジャパン代表 清水俊雄
城西大学教授 和田政裕
(独)国立健康・栄養研究所研究室長 由田克士
3 こどもはほんとうに野菜が嫌いか? -野菜の生産から消費の体験およびこどもの食歴と嗜好変化についての研究- 神戸山手短期大学生活学科助教授 原知子 NPOひょうご農業クラブ 増田大成  NPOひょうご農業クラブ・こども野菜クラブ等の活動自体が、野菜をはじめ食料を作る側と食べる側をどう結合させていくかの事例・実践である。その活動について、こども野菜クラブをラボとして研究、すなわちこどもたちの様子の記録・親子へのアンケート調査などにより、参加者の意識を明確にし、参加によるこどもたちの変化を観察・記録することができ、plan-do-seeの一助になると考える。 活動全般の具体的な期待成果として 1) こどもたちが、新鮮な野菜、無農薬で育てた野菜、自然に産み落とされた卵の色などに触れて、さらに自分で調理して食べる、収穫体験をする、という作業を通して食材がどのように作られているかに思いをはせ、「いい食材、特にいい野菜」とは何かを考えてもらえる。また、調理されたお惣菜に手を出す前に、簡単に自分たちにとっておいしく調理できるという感覚を体で覚える。 野菜を通して農業・自然に対する共感を育成してほしい。 2) 一方、親にとっても、材料の良さ、食べ方の工夫について考えてもらうよい機会が提供できる。食べ物を通して、食の安全、アレルギーなどの問題への関心・理解を深め、解決策についても考察してもらえる。 3) 親子が一緒に料理をすることで、家庭でも積極的にこどもがキッチンで作業をする習慣につながり、コミュニケーションのきっかけとなる。野菜の重要性を認識し、偏食減少にも寄与できると考える。
こども野菜クラブ顧問 土井信子
六甲アイランド健康食研究会 宮道一夫
こども野菜クラブメンバー
4 大学を拠点とし、地域性を重視した食育推進のコラボレーションシステムの構築 女子栄養大学大学院研究科長 足立己幸 女子栄養大学教授 二見大介 <具体的研究内容> ?.食育コラボレーションマップ(以下、食育Cマップ)の第1案の作成 ?.食育実践事例による食育Cマップの有効性の検討 ?.食育Cマップの枠組みと実施のプロセスによる活用マニュアルの作成 ?.以上のデータを関係者で共有し、活用出来るようにデータをデジタル化する <期待しうる成果> ・食育活動において、学習者のニーズ、課題や目的が明確になれば、適した方法について食育Cマップを用いて検討し、それに適した大学等の人材資源を活用する方策を具体的に得ることができる。 ・食育Cマップやそのデジタル化した情報にアクセスし、食育について学習者の特徴に対応した内容や方法の案を具体的に知り、ヒントを得、計画をすすめることがしやすくなる。 ・将来に向けては地域に食育コラボレーションセンターを設置し、その中枢として活用する。
女子栄養大学教授 三浦理代
女子栄養大学助教授 武見ゆかり
女子栄養大学助教授 金子嘉徳
女子栄養大学助手 吉岡有紀子
市内小学校教諭 香川明夫
農林振興センター  
農業大学校
食生活改善推進協議会
健康づくり市民会議、他
5 環境に配慮した食生活を実践する力を育成する食育プログラムの開発 山形大学教育学部教授 高木直 レインボープラン推進協議会 菅野芳秀  (1)長井市の子どもの環境問題と食に対する意識や行動、生活環境、生活体験等を調査し、環境問題に対する意識の高い児童とそうでない児童において何が異なるのかを明らかにする。 (2)山形市など、県内の長井市以外の地域において(1)と同様の調査を実施し、資源循環型システムが子どもの環境問題と食に関する意識や行動に及ぼす効果だけでなく、資源循環型システムの継続における課題を明らかにする。 (3)(1)、(2)の調査結果をふまえ、大学教育学部教員、小学校教員、レインボープラン推進委員を中心に食育に関する研究会を定期的に実施し、子どもの環境に配慮した食生活を実践する力を育成するための効果的な食育プログラムの開発を行う。  具体的には、資源循環型システムを展開していない地域でも、長井市の取り組みについて関係者から実際に話を聞いたり、視察をする、また、家庭科の調理実習時に家庭用処理機で生ゴミを堆肥化し、その堆肥を使って学校で野菜を栽培するなどの実践的な活動を通して資源循環型システムについて実践的に学習する。このような実践的活動を効果的に導入した学習プログラムを計画・実践し、児童の意識や行動がどのように変化するのかを明らかにする。本研究により、資源循環型社会を発展・継続させるためには、学校と家庭、地域がどのように連携すべきか具体的な示唆を得ることができると考える。さらに、子どもたちの食の安全性に対する意識や地元の農産物に対する関心を高め、地産地消の推進に効果的な食育の方法について重要な示唆が得られるものと思われる。
山形大学教育学部附属小学校 真壁弘美
山形大学教育学部附属小学校 布施純子
山形市立鈴川小学校 佐藤篤子
村山市立楯岡小学校 遠藤早百合
山形大学教育学部附属中学校 伊藤礼輔
山形大学境域学部 大森桂
6 視覚障害者向け食育教材の開発-模型と点字活用方法の検討- 椙山女学園大学生活科学部食物栄養学科講師 加賀谷みえ子 名古屋ライトハウス理事 岩山光男  食教育の現場からは家庭科教諭、点字・点訳教育の現場からは視覚障害者と、模型製作会社のスタッフらが共同し、各種分野から研究を試みる。 具体的な研究内容  1.食教育に関連する各種模型の試作および開発。  2.料理献立の作業把握のための模型作成とその理解度の調査。  3.平面模型、半立体模型、立体模型による形状別理解度の比較検討。  4.指導案の作成。 期待しうる成果  本研究により、視覚障害者向き教材は健常者向き教材としても利用でき、しかも視覚障害者と健常者との統合教育の現場にも活用が可能となることが期待できる。  1.視覚障害者のニーズに即した食教育の実現が可能となる。  2.調理を行う際に聴覚と点字教材のみからの理解に加えて、触覚を使った教材教育を取り入れることにより、イメージが具体化し、現実のものに近づく。  3.同一テーマを各種模型で再現し、比較検討することによって、最適な教育媒体が発見できる。  4.教育効果の判定と評価ができる。
東海学園高等学校教諭 下野房子
株式会社イワサキ名古屋支店 大橋康一
7 中学生期における骨粗鬆症予防を目指した食育の効果の評価に関する研究 聖徳大学人文学部生活文化学科教授 松本和興 新座第四中学校主任栄養士 大内みどり (1)具体的研究内容: 1)調査対象:「骨粗鬆症予防を目指した食育」を実践する埼玉県に所在する公立中学校生徒約600名を、対照校として千葉県に所在する大学付属中学・高等学校の生徒約600名中、中学1年生〜2年生生徒約200名を用いる。 2)食生活と健康に関するアンケートにより、食物摂取頻度16項目、食生活習慣8項目、他、計62項目について調べる。 3)3日間の簡易型食物摂取量調査により、栄養素摂取量12項目と食品群別摂取量18項目を算出し、重回帰分析により食物摂取頻度から栄養素摂取量を予測する。 4)ライフコーダーによる運動量、総消費エネルギー量、歩数、活動時間を測定し、重回帰分析により運動に関する生活習慣3項目から総消費エネルギー量等を予測する。 5)アロカ社製骨評価測定装置AOS-100を用い、超音波音速SOS、透過指標TI、音響的骨評価値OSIを測定する。 6)統計ソフトSPSS for WINDOWS を用いて、食育介入4ヶ月前後における骨評価値SOS、TI、OSIの差異のt検定を行い、食育実践校と非実践校の間で比較する。また、骨評価の増加に影響を与える要因を求めるために重回帰分析を適用する。またロジスティック回帰分析を適用して骨評価低下の要因を分析し、その要因の推定オッズ比を求め、骨評価を増加させる要因と低下させる要因を抽出し食育現場に還元することを試みる。 (2)期待しうる成果: 「骨粗鬆症予防のための食育」の実践は、中学生期において「食」の正しい選び方や組み合わせ方を教え、「食」について関心を持ち、自ら考えさせ習慣を身につけさせることが期待される。
聖徳大学付属中学校・高等学校・主任看護師 宮崎富喜子
東京栄養食糧専門学校管理栄養士科教授 青地克頼