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2005年度 食育実証研究助成事業 採用研究一覧

(7課題・敬称略)
No. 研究課題名 申請者所属 申請者氏名 共同研究者及び研究協力者所属 共同研究者及び研究協力者氏名 具体的研究内容及び期待しうる成果
1 CO2排出削減をめざした食生活の提案とその食育実践に関するプロジェクト研究 共立女子短期大学生活科学科教授 津田淑江 奈良教育大学 大家千恵子 持続可能性の発展を考える時、環境負荷の削減のみならず、食品によりもたらされる健康性、利便性、満足性など食生活の質を向上させる要素も配慮する必要がある。しかし消費者に対して家庭で調理することによって排出されるCO2量に対する情報がなく、具体的なCO2削減の評価方法が示されていない。従って本研究では環境負荷と食品が本来持つ機能的価値・経済的価値を統合的に含めた評価手法を検討する。具体的には、同じ献立を(1)市販加工食品を利用する場合、(2)家庭で食材から調理する場合を想定し、家庭料理が出来上がるまでの生産・流通・消費・廃棄に至るあらゆる過程の資源とエネルギーの消費からCO2排出量を推測し、さらにその料理の官能評価を行い、料理の価値観、満足度を考慮した新たな食生活を提案する。また食生活に係わる消費者行動に関するデータを把握・分析し、消費者行動の背景にある価値観について考察することで、環境を考慮した食生活へ消費者を誘導する方策について検討する。その実践として収集したデータ等を活用した食教育を行う。このような活動の結果として、消費者がCO2問題の重大さとライフスタイルが大きく影響していることに気付き、環境を自らの問題として認識し、環境に調和した食生活を実践することで、「持続可能な消費」社会を実現することが期待される。
味の素株式会社 平田昌之
共立女子大学 瀬戸美江
産業技術総合研究所ライフサイクルアセスメント研究センター 稲葉敦
2 学校・地域・家庭が連携した児童の噛む力を育む食育活動の展開 女子栄養大学教授 岡崎光子 鶴ヶ島市教育長 松崎頼行 【研究内容】1,噛むことを必要とする食育の実践/藤小学校(以下、介入校)において、2学年、4学年を対象に、毎週学級活動の時間帯に15分程度の食育を実施する。2,咬合力測定/介入校及び非介入校(栄小学校)の2学年、4学年全員を対象に、咬合力測定を実施する(6月、11月〜12月の2回)。3,噛むことを必要とする給食の実施/鶴ヶ島給食センターとの協働で毎月の給食献立を協議し、決定し、6月〜12月の約半年間は、意図的に噛むことを必要とする給食を配食する。4,日常の生活習慣、食生活に関する実態調査/食育を実施する介入校及び非介入校の児童の日常生活及び食生活に関する実態調査の実施(5月、12月)。
【期待しうる効果】介入校及び非介入校の児童に対し、「噛むこと」の必要性を認識させ、よく噛んで食べる習慣を習得させることが可能である。更に介入校の児童の咬合力は、食育を受けることにより非介入校の児童より助長されるものと考える。
鶴ヶ島市立藤小学校長 荻原則男
鶴ヶ島市立栄小学校長 粕谷誠
鶴ヶ島市立学校給食センター所長 沼田修
鶴ヶ島市学習支援員 金子千尋
女子栄養大学助手 藤田恭子
女子栄養大学研究生 吉田須美子
女子栄養大学学生 竹中麻里
女子栄養大学学生 服部真知子
3 NPO―学校の連携による食育支援プログラムの開発 東京農工大学大学院科学技術研究部助教授 朝岡幸彦 東京農工大学 矢口芳生 本研究は、東京農工大学農学部付属FM津久井農場で大学とNPOによって過去4年間に積み上げられてきた、青少年自立支援のための食農教育実践「ニローネ緑の学校」を「食育」という視点から発展的に再構成しようとするものである。NPO法人「文化学習協同ネットワーク」(東京都三鷹市)は不登校児のたまり場づくりから青少年の自立支援をめざすパン工房「風のすみか」の設立(2004年)に至る一連の取り組みの中で、FM津久井農場での実践を含む食農教育に関する豊かな実践を蓄積してきた。本研究はこれらの実践を「青少年自立支援食育プログラム」として再構成し、小学校及び中学校における食育プログラムと積極的に結びつけることで、総合的・系統的な「共生型食育支援プログラム」を開発しようとするものである。本研究の成果は、これまでバラバラに取り組まれ、評価されてきた食育プログラムを小中学校から社会教育(NPO)に至る一連の「共生型食育支援プログラム」として組み立てることによって、食育推進計画を策定・評価する1つの基準をつくることができると考えられる。
東京農工大学 野見山敏雄
東京農工大学 武田庄平
東京農工大学 島田順
東京農工大学 黒川勇三
東京農工大学 小島喜孝
NPO文化学習協同ネットワーク 佐藤洋作
墨田区立小梅小学校 大森亨
大東文化大学 野田知子
農業者大学校 野村卓
4 食農体験とそれを生かした絵本作りによる,子どもたちと大人のコラボレーションシステムの構築 熊本大学教育学部教授 桑畑美沙子 熊本大学 田口浩継 1.栽培と収穫……熊大教育学部附属農場で,さつま芋と大豆などの作物を栽培し,収穫する.
2.調理……さつま芋できんとんを,大豆で豆腐,納豆,味噌を作る.
3.聞き取り……熊本における大豆の食べ方について高齢者から聞き取りする.
4.絵本作り……食物繊維とさつま芋,熊本における大豆の食文化をテーマに絵本を作る.これらの活動によって,次の4つの成果が期待できる.(1)園児とその保護者は,食物繊維に関して自身の食生活に課題を見出し、その解決をめざして自身の食生活の改善を手がけるであろう.(2)小学生は,生活科の授業でいっそう熊本の食文化に注目した調べ学習を手がけていくであろう.(3)中学生は,絵本を作りを通して園児や小学生と学びを共有することで,自らも食物繊維のとり方や,熊本の食文化について深く学ぶであろう.(4)学部生・院生は本研究に終始関わることで,教員になった時,食と農の文化を伝承し創造する教育実践を進んで手がけるであろう.
熊本大学 宮瀬美津子
熊本大学 村上正祐
熊本大学 萩嶺直孝
熊本大学 隅田博美
熊本大学 石川由里子
5 「ぎょしょく教育」プログラム開発に関する研究―地域特性に根ざしたプログラムの検討:愛媛県を事例として― 愛媛大学農学部海域社会科学研究室教授 若林良和 愛媛大学 竹ノ内徳人 (1)研究対象:愛媛県下3地区における小・中学校の児童・生徒とその保護者。
(2)研究方法
:地域に根ざした水産業部門における食育のあり方を、愛媛県を事例に検討する。地域特性を生かして、「ぎょしょく教育」という新たな視点を提示し、そのコンセプトを整理する。そして、その実態把握を進めながら、具体的な実践的課題を洗い出して新規の教育プログラムを構築する。
(3)研究内容:次の3つの段階で調査研究を推進していく。第1段階:「ぎょしょく教育」のコンセプトを検討・構築する。これまで、「ぎょしょく」は「魚食」というコンセプトしか想定されなかった。しかし、本研究では、「ぎょしょく」のコンセプトに、新たに「魚触(魚の調理実習や魚に直接触れる等の体験学習)」・「魚色(嘱) (魚の種類や栄養等の魚本来の情報に関する学習)」・「魚職・魚殖(魚の生産・流通現場を知る学習)」・「魚飾(飾り海老や祝い鯛などの伝統的な魚文化の学習)」の5つを加え、総合的に「ぎょしょく教育」を検討する。ちなみに、「ぎょしょく教育」は共同研究者の阿部による造語であり、本研究はその実態を詳細に把握し、より精緻な概念化を試みる。第2段階:「ぎょしょく教育」プログラムを開発する。「魚触」〜「魚色(嘱)」〜「魚職」〜「魚殖」〜「魚飾」の学習プロセスを経て、「魚食」に到達するよう配慮したプログラムを企画し、開発する。第3段階:「ぎょしょく教育」を実践する。対象となる愛媛県内の3地域(東予地区:今治市、中予地区:松山市、南予地区:愛南町)の小学校を選定し、本研究で開発した「ぎょしょく教育」プログラムを実施する。小学校の授業などにおいて、「魚触」から「魚食」に至る一連のプロセスを射程に入れた教育プログラムを実践する。
(4)期待しうる効果:学術的な効果はもちろん、次のような教育的・社会的な効果が期待できる。「漁と食」の乖離を解消でき、「漁業者の高齢化」と「魚食の高齢化」が進行するなかで、若年層に対して魚への興味・関心を惹起させる契機となる。さらに、地域で水揚げされた水産物の利用により、地域水産業の活性化に一定、寄与し、地域資源の活用につながると考えられる。
愛媛大学 野崎賢也
愛媛大学院生 阿部覚
今治市立立花小学校 黒河美佳子
松山市立久米小学校 阿部みどり
愛南町立長月小学校 山口和子
6 地域特産農産物を活用した食育教材開発プログラム(久留米市の事例) 久留米信愛女学院短期大学健康栄養学科助教授 山下浩子 久留米信愛女学院短大 廣畑一代 対象別研究:対象とする公立保育園5歳児(約200名)を2群(介入群と対照群)に分け、介入群に対し、次の介入を行う。介入前後に、対象となる園児とその保護者にアンケート調査を実施し、介入効果を評価する。1) 毎日、保育所給食の献立にある「野菜・果物」の実物と名前カードを、教室ごとに一日中呈示し、給食時間には保育士がそれらの紹介を行う。園児は、野菜・果物を自由に見て、触ることができる。2) 栄養指導を行う(月1回予定)。指導媒体として「久留米の野菜・果物かるた」を考案作成する(本学学生)。3)農業体験プログラム(野菜種まき・育成観察・収穫・調理)を実施し、生産から消費までを学ぶ。介入群園児の保護者対象に、本学公開講座『親と子の食育』(全6回)のビデオや、スローフード協会主催のシンポジウムを紹介し、視聴や参加を促す。

期待しうる成果:介入群の園児は、保育所給食の献立にある「野菜・果物」の呈示を、毎日見て、触れ、食事として味わうことにより、野菜や果物を身近なものとして関心を持つようになる。また定期的に行われる栄養指導や、農業体験を通して、野菜や果物の名前を覚え、摂取への動機づけができる。本研究終了時には、調査期間中に用いた「久留米の野菜・果物かるた」を園児たちに配布し、調査終了後も、遊びの体験を通じて、さらに久留米産の農産物を覚えるなど、学習効果の持続をねらうことが出来る。将来的には、これらの食育実証活動の継続により、園児(学校)から保護者(家庭)へと、子どもから大人への食育効果が広がることを期待する。

久留米信愛女学院短大 江越和夫
久留米信愛女学院短大 尾形寿子
久留米信愛女学院短大 眞谷智美
久留米信愛女学院短大 高松幸子
九州大学 横川洋
7 パネルシアター等の教材開発と小学校食育プログラムの開発 実践女子短期大学助教授 白尾美佳 実践女子大 三田薫 本研究では、学校給食、総合的な学習の時間、生活科ならびに家庭科の時間において、児童が、知識を強要されるのではなく、自然と楽しく食に関する知識を得ることで、偏食を防止し、食生活の乱れを改善できるような食育実践活動を通した食育プログラムを開発することを目的とする。具体的研究内容は、学年ごとに、学校給食、総合的な学習の時間、生活科、家庭科の時間における指導計画、指導案、教材を作成する。その際、学校給食時における食育では、学校給食のメニューの中にある食材や地場産農作物を中心に指導計画、指導案を作成する。なお、。総合的な学習の時間、生活科、家庭科の時間においては、地域農家やボランティアと連携し、学童農園活動、地域の食文化や外国の食文化についての指導計画を作成する。その後、小学校において、校長、教頭、学級担任、学校栄養士との検討会を重ねた上で、継続的に食育活動を開始する。具体的な活動内容は、食品の生産から加工、食品の選択の仕方、食品の機能性や安全性、栄養と身体の関わり等についての食教育を実施する。その後、児童と共に楽しく食事をすることで、楽しい食を介した交流の中から児童の食生活の現状を把握する。また、食育の効果を評価するために、通常の給食時の残食調査を継続的に行い、クイズ形式で食に関する知識を得ることができたかどうかを評価する。これらの活動により、生産者に敬意の念をもち、正しい食事マナーのもと、子どもたちが食事を美味しく、楽しく食べることができるようになり、将来、食に対する自己管理能力が身につくことができるようになるものと考えられる。
日野第三小学校 鈴本理恵子
日野第一小学校 小杉博司
国立成育医療センター 高島麗子