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「岩手の豊かな食文化」伝承活動事業

特定非営利活動法人 いわてNPOセンター

(岩手県内4エリア(県北・県中・県南・沿岸)を中心に県内全域)

2008/01/18
郷土料理教室・セミナー in 油島小学校

(県南地域・油島小学校)

 この日は、県南の一関市立油島小学校で、5年生の子どもたちと、その父兄を対象にした郷土料理教室・セミナーを開催しました。料理の先生は、農家レストラン「夢見る老止の館」の佐々木善子さんと、油島生活研究グループ連絡協議会の方々。一関市には、昔から様々なもちがりますが、今回は、沼えびを使った「えびもち」、ゴボウの皮をむかないですりおろし、だし汁に加えて調味してもちをからめる「ふすべもち」、そしてくるみの味とタレの味が絶妙な「くるみ豆腐」の3品をつくりました。

 家庭科室へ移動後、「えびもち班」、「ふすべもち班」、「くるみ豆腐班」の3班にわかれて料理を開始。ふすべもちに使うゴボウの擦りおろしに苦労していましたが、なんとか無事に調理することができました。また、つきたてのもちを使うということで、平成5年に村おこしのために結成された「出前もちつき隊」のみなさんの協力で、臼と杵を使ったもちつき体験もありました。途中、「腰が入ってない!」「もっと高く杵を上げて!」など、「出前もちつき隊」に声をかけられながら、初めてのもちつきに子どもたちは大喜び。子どもたちの一番人気は、「えびもち」。「沼えびうまい!」と、おかわりをする子もいました。
 食後は、花泉給食センターの佐藤富美子さんが、「食事バランスガイド」について説明。佐藤さんの話に「これまで、栄養バランスのことをあまり考えてなかった」と食生活についてあらためて考えさせられたようです。

 佐々木善子さんは、「岩手県は県北が雑穀文化なら、県南はもち文化。この辺りでは、おめでたい時、悲しい時にもちを振舞う風習がありました。とくに花泉町は気候にも恵まれ、沼も多いことから昔は沼えびがよくとれたものです」と、ふるさとの食文化にふれたうえで、「今は飽食の時代。毎日の食事をできあいのもので済ましていては、料理をつくることが途絶えてしまいます。この地域は、地元の豊かな食材が手に入るのだから、これからは料理をつくることにも挑戦してみてください」と、手づくりの料理の大切さを呼びかけました。

 郷土料理教室・セミナーを通して、子どもたちは「もちのつき方やもちにもたくさんの種類があることがわかってよかった」「家に帰ったらもちつきをしてみたい」「えびもちがおいしかった」など、それぞれ何かを学んだようでした。


2007/12/26
郷土料理教室・セミナー を2地域(見前・釜石)で同時開催!

(見前地区公民館/釜石市立砂子畑集会所)

 岩手県の沿岸地域にある釜石市栗林地区では、釜石の根浜海岸にある宝来館の女将、岩崎さんの協力のもと、地元の若いお母さんと幼稚園から小学生の子どもたちを対象にした郷土料理教室・セミナーが開催されました。料理の先生は、釜石・大槌農水産加工組合代表の小笠原静子さん、宝来館から中村サツさん、佐々木絹子さんの3人。

 この日は酒かすと鮭のマッチングが食欲をそそる「鮭のかす汁(※)」、お米の他に押し麦、もちきびなど雑穀を加えた郷土料理である「三穀飯」、釜石で取れるいかを使用して昔から地元で食べられてきた「いかの酢漬け」を作りました。子供たちは慣れない手つきながらも、材料の皮を剥いたり、切ったり、煮たりと3人の先生に教えてもらいながら一生懸命作っていました。

 できあがった後、子供たちはおいしいと夢中になって作った料理を試食。食べながら、小笠原さん、佐々木さん、中村さんから作った料理の説明がありました。そして食べ終わった後に小笠原さんから郷土料理を伝えることについて「栄養バランスを考えて、昔からある地元の食材を使って料理をして、それを伝えていくことは地域の文化を残す意味でとても大切です」との話がありました。どちらのお話も子供たちは真剣な顔で聞いていました。最後はみんなで後片付け。参加したお母さん、子供たちからは「とてもおいしかった!」「郷土料理がこんなにおいしく食べれるなんて知らなかった。他にも知りたい。」など、大盛況な料理教室でした。

(※)鮭のかす汁(沿岸)〜寒い冬に体の芯まで温まる鮭と酒かすの汁〜
 岩手県の沿岸には8月初旬から1月下旬までの間にたくさんの鮭が回遊してくるが、海でとったものと、川へのぼってきてからとったものとではその姿が違います。産卵期になり川へのぼってきた鮭は海のものと違って、淡白で脂肪分が少ない。この川の鮭は脂肪分が少ないため保存に向いているので、多くは塩引き(新巻)にします。
 この塩引きした鮭ができる時期と、地元の蔵元が新酒を出す時期とが重なり、酒かすを入れることで体の芯まで温まる汁物になります。しかし、子供や酒に酔いやすい人たちは、塩味だけにする場合もあります。

    ●材料・分量(4人分)
  • 酒かす…60g 
  • 水…5カップ 
  • 塩…少々 
  • 塩鮭…150g 
  • 大根…150g 
  • にんじん…50g 
  • しめじ…50g 
  • ねぎ…1/2本(約50g)
    ●作り方
  1. 酒かすは少々の湯で溶かしておく。
  2. 鍋に水5カップを入れて火にかけ、沸騰したら切り身の塩鮭を入れて約15分煮る。
  3. 大根、にんじんをいちょう切りにしてゆがいて、しめじと一緒にAに入れる。
  4. 味をみながら塩を好みで入れる。
  5. 仕上げに(1)の酒かすを入れて、ひと煮立ちする。
  6. 最後にねぎを入れる。

鮭のかす汁

 一方、見前地区では、地元の料理教室である「だんごの会」の会員を対象とした郷土料理教室・セミナーを開催しました。料理の先生は、料理研究家の梅津末子さん。献立は、「三穀飯」、「ひっつみ」(ひっつまんで作ることから、その名が付いたと言われる岩手県各地で食べられている郷土料理)、季節の鮭を使った「鮭の南蛮風味漬け」、そして「がんづき」(丸い蒸しケーキにくるみ、ごまをあしらえたのが、満月を背景に群れをなして雁が飛んでいるように見えることからその名がついた)の4品です。参加者は、料理教室の会員なので、調理の手際はお見事!でも意外や意外。「ひっつみ」をつくったことがない人が結構いるのです。

 食後は、梅津さんから郷土料理を伝える大切さを中心に、食の大切さと重要性を「食事バランスガイド」や成分表を用いての講義がありました。また「今の時代、どこからでもどんなものでも手に入ってくる時代なだけに、体を考えない食事になっている。満腹になれば良いだけではない。だからこそ食育を考える時だ」という話に、「子どもや孫たちと一緒になって料理をして、伝えるのが一番だと思う」「近所づきあいから教えられることも多い」「料理教室などの機会に親子で参加していきたい」といった意見や、「若い世代には郷土料理は物足りないようだ」「郷土の食材が都心に流れ地元で手に入りづらいのが問題」といった課題も出されました。


2007/10/09
第2回いわて食文化推進委員会を開催しました!

(岩手県民情報交流センター アイーナ6階)

 第2回の委員会では、前回の委員会で選出した郷土料理の確認、それを基に作る郷土料理カード、今後の各地域での郷土料理教室・セミナーの進め方についての話合いをしました。

 郷土料理教室・セミナーについては、地域で郷土料理に意欲的に取組んでいる方を(食生活改善推進員、岩手県食の匠など)を中心に対象とすることで、次世代への食文化の伝承が効果的にできるという意見や、地元の郷土料理を知らない若い世代もいるという意見も出てきました。地域により食育の取組みの進行状況も違うこともあり、4地域で一律に対象を決めないで、各地域の実情に合わせて実施することでまとまりました。

    岩手県内5地域で選出された郷土料理は以下のとおりです。
  • 県北地域 柳ばっと、豆ぶ汁、けんちん汁、へっちょこだんご、豆しとぎ
  • 県央地域 ひっつみ、しゃべこと汁、ぬっぺい汁、きりせんしょ、がんづき
  • 沿岸地域 どんこ汁、氷頭なます、鮭のかす汁、ほやときゅうりの酢のもの、すきこんぶの煮物
  • 奥羽山系 納豆汁、ぜんまいの一本煮、山菜の煮しめ
  • 県南地域 くるみ豆腐、もち膳、ゆりぶかし

(1)山菜の煮しめ(奥羽山系)  
〜山の幸もりだくさんの伝統の味〜

 よく煮て味をしみ込ませることを「煮しめる」といい、「煮しめ」の名はこれに由来すると思われます。
煮しめは県内全地域にある代表的な行事料理の一つであり、特に正月、祝儀、不祝儀、人々が多く集まる時には欠かすことのできないものでした。
材料は地域、季節、行事によって異なるが、入手しやすい多種の材料を使い、長時間煮込んで作ります。じっくり煮込んでいる間にそれぞれの食材の味が混ざり合い、まろやかな味が出てきます。
雪に埋もれて長い冬を過ごす豪雪地帯では、山菜やキノコが豊富でおいしく、それを使った煮しめがよく作られます。


山菜の煮しめ

(2)くるみ豆腐(県南)  
〜練れば練るほどまろやかな口あたり〜

 「くるみ豆腐」は奥州市江刺区特有の料理で、お盆や法事などの精進料理の際、刺し身代わりとして必ず作られてきたものです。この料理は、手間のかけ方で仕上がりが違い、なかなか面倒な料理です。しかし、手間ひまを惜しまずたっぷり時間をかけて練り上げると、つやのある、なめらかで口あたりの良いものができます。
食べ方としては、大根のせん切りを添えて盛り付け、たれは好みにより甘めのみそに生姜汁を加えたものを使用するのが一般的です。たれをかけずに、そのままお茶うけにもむきます。


くるみ豆腐

(3)がんづき(県央)  
〜黒砂糖の風味が豊かなふわふわ蒸しケーキ〜

 丸い蒸しケーキにくるみとごまをあしらえたのが、満月を背に群れをなして雁(がん)が飛んでいるようであることから「雁月(がんづき)」と呼ばれるようになったとされます。
冠婚葬祭の引き出物や農繁期の小昼として、また日常のおやつとして、昔から親しまれてきた郷土料理です。
現在では、黒砂糖を使った「黒がんづき」や砂糖と牛乳で作る「白がんづき」など、さまざまながんづきがあります。


がんづき

2007/9/18
第1回いわて食文化推進委員会を開催しました!
〜伝えるべき食文化を体系的に整理し、次世代へ伝える仕組み継続的な仕組みを構築するために〜

(岩手県民情報交流センター アイーナ6階)

 県北、県央、県南、沿岸の4地域から本事業を推進していく委員を選出し、これからの活動内容についての話合いをしました。本事業の目的は「伝えるべき食文化を体系的に整理し、次世代へ伝える仕組み継続的な仕組みを構築する」ことです。第1回の委員会では、この目的について、どのように取組むことが効果的であるかの検討を中心に進めていきました。当初、事業計画では岩手県を4地域に分けて、各地域から郷土料理を選出することにしていましたが、「岩手の西、秋田に接する奥羽山系も他地域と違った文化である」という意見が出され、岩手の食文化を語るには外せないことから、奥羽山系も加えた5地域から選出することで委員会の意見は一致しました。

 これを踏まえて、県内5地域の郷土料理を委員の意見や資料を基に「地域特有の食材を使用したもの」「地域の行事に関連するもの」「その地域独特のもの」を基準として選出していきました。