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農家まるごと体験「ふるさとの家」の運営方法と普及開発

長野県農村文化協会

(長野県長野市南県町)

2007/12/19
むらの力とまちの力を結ぶ「ふるさとの家」活動報告会を開催――休憩時間には自慢の一品の試食も!(長野県JAビル)

■「地域に根ざした食文化」が長寿県の秘訣

 この日、会場となった長野県JAビルには報告者や関係者、報道陣をはじめ約100名が集まりました。はじめに 「長寿は食にあり 大豆の力、米の力、雑穀の力」と題し、日本の長寿むらを訪ね歩いて食文化を研究しておられる永山久夫氏(食文化史研究家)が基調講演を行ないました。そのなかで、今年、男性の平均寿命が第1位、女性が第5位となった長野県民の長生きの秘訣を引き継がれてきた「食文化」の視点から説明。米や大豆を中心とした和食の素晴らしさにふれながら、「長生き貯金のためには、『胡豆魚梅参茶(ごまさかうめじんぢゃ)』を積極的に採りましょう」と呼びかけました。「よく笑う人は元気」ということで、永山氏のユニークな講演に会場も終始笑いが絶えませんでした。

■どこか懐かしい〈伝承される味覚〉

 また、別会場には「信濃の国 食の文化祭」ということで、「やしょうま」や「あずきれんこん」、「いなごの佃煮」をはじめ、昔懐かしの郷土食がテーブルに並べられました。ワラ苞に入った納豆をみて、「懐かしいわねー」と参加者同士の会話も弾みます。ごはんに小麦粉を加えて味噌をつけて焼く「こねつけ」や、在来種のねずみ大根のおろしを入れる「おしぼりうどん」など、小腹の空いていた参加者はその味つけにも大満足。ふるさとのご馳走の皿があっという間に空になってしまいました。

■「ふるさとの家」で食と農と暮らしのほんもの体験を

 休憩後は「『ふるさとの家』は新しい地域づくり運動」をテーマにパネルディスカッションを行ないました。むらの力とまちの力を結ぶ場になりたいと奮闘中の「ふるさと家」の家主は、Iターンの新規就農者やUターンで地元に戻ってきた大学の先生など、とても個性的です。それぞれの報告のなかでは、「命を感じられる農山村の豊かさをまちの人たちに発信したい」、「都会の子どもたちだけでなく、近隣の子どもたちとも結びついていきたい」、「そば打ち隊を結成して老人ホームに慰問したい」、「親子で参加できるような体験メニューを考えたい」など、今後の活動に向けての抱負が述べられ、会場からも大きな拍手が起っていました。


2007/12/2
未来へつなごう ばあちゃんの味 母ちゃんの味 「食の文化祭」を開催(長野県飯山市・トピアホール)

■飯山市選択無形民俗文化財認定郷土食にふるさとの味4品が選ばれる

 12月2日、”未来へつなごう ばあちゃんの味 母ちゃんの味”をテーマに「食の文化祭」(主催:飯山食文化の会、長野県農村文化協会)が開かれました。今回は、”飯山市選択無形民俗文化財認定郷土食”の発表も併せて行なわれ、講演やパネルディスカッション、郷土食の試食会といったイベントに約300名が集まりました。
 民俗文化財というのは、衣食住、生業(なりわい)、信仰及び年中行事に関する民俗習慣、民俗芸能及びこれらに用いられる衣服、器具、家具等で市民の生活推移の管理のために欠くことのできないものをさしますが、数ある郷土食のなかから、「富倉の笹ずし」「いもなます」「えご」「富倉そば」の4品が選ばれました。

■今なお人寄せの時には欠かせない「えご」

 「えご」は、日本海沿岸で採れるてんぐさの一種。かつて直江津からくる越後の魚商人が、飯山の南の地区に行きつくころには売り切れてしまうほどの人気で、つくられていなかった地区もありました。その後の文化の交流に伴い、今では冠婚葬祭など人寄せの時には必ず出されるハレの日の料理として受け継がれています。水を加えて煮溶かしたものを切り分け、辛子しょうゆで食べるのですが、海無し県に住む飯山の人にとっては、保存もきく重宝な海の幸であり、ふるさとの懐かしいご馳走といえます。
  「えご」は北九州地方や東北でも食べられていますが、九州博多地方では「おきゅうと」、東北や北陸では「えごてん」「えごねり」「えごこんにゃく」と呼ばれているそうです。

■自分の子どもにも飯山の味を伝えていきたい

 「ふるさとづくり 鳥の目 虫の目」をテーマとした、結城登美雄さん(民俗研究家)の講演では、全国の農山漁村の「食と暮らし」の情景を写真でみながら、「つくる暮らしから、かう暮らしへと変わるなかで、かう暮らしが当たり前となり、食べものが見えなくなってしまいました。もう一度、自然と人間、暮らしの関わりを取り戻すためにも先人が創りあげてきた食文化を見直しましょう」という問題提起がありました。
 また、パネルディスカッションでは、結城さんを交えて5人のパネラーが郷土食に対するそれぞれの思いを語りました。「飯山の郷土食は美味しいと思います。将来、自分の子どもにも笹ずしやえごの作り方を伝えていきたいです」というパネラーの小学6年生の発言には、会場のおじいちゃんやおばあちゃんたちから大きな拍手がわきました。午後の郷土食の試食会では、飯山の代表的な郷土食やふるさとの薬膳料理が参加者にふるまわれ会場も大いに賑わいました。


2007/12/1
見つめる、見つける、見なおす・食の宝物「ふるさと食の祭典」(長野県・飯綱町民会館)

■懐かしい味、初めてのふるさとの味に大満足!

「いただきます」の掛け声を合図にテーブルに並べられた郷土料理に一斉に箸が伸びました。この日、飯綱町民会館で行なわれた「ふるさと食の祭典」には、地域内外から450名が来場。親子連れや若い世代の参加者も多いなか、キビ餅や野沢菜漬け、信濃地鶏、とろろ汁など、懐かしい味や初めて出会う味に感動しながら並べられた45品の郷土食は開始40分でなくなりました。
  なかには、スタッフの生活改善グループやヘルスメイトといった調理のベテランにつくり方を聞いて熱心にメモをとる若い母親の姿もあり、「どぶ漬けってのは、米ぬかを使ったぬか漬けだよ」など、ふるさとの食の伝承が行なわれていました。

■引き継がれる食の知恵に思いを馳せる

 なかでも参加者の興味を引いたのが「むじな団子」。食べると鶏肉のような味がしますが、大豆と小麦粉でつくられた郷土料理です。かつて農家は田んぼの畦にも大豆を植えて、大切な日々の食材としてきました。むじな団子には、家族に大豆をおいしく食べさせたいという女衆の優しい思いが込められていたのでしょう。
 「肉料理は苦手ですが、これなら食べられます」と参加者もむじな団子を美味しそうに食べていました。

■当たり前の「食」こそ地域の宝

 後半では、民俗研究家の結城登美雄さんが「子どものための食農教育の前に」と題して講演。結城さんは「食育には、(1)教室(田や畑、川といった地域自然)、(2)テキスト(旬の食材や郷土料理)、先生(地域のおばあちゃんとお母さん)の3つが必要です」と指摘したうえで、「家庭の食育が難しくなっている現在、地域の食育で子どもたちの食べる大切を育てあげることが大事だと思います」と、これからの食育の道筋を提案しました。
 当たり前の食こそが地域の宝。今後もこうした「地域の台所」を守りながら、次世代に大切な食文化を伝えていきたいと会場も大いに盛り上がりました。


2007/09/16
古民家に集い山里の歴史を語りくらしの文化と技を伝える―いろりを囲んで伝統食「おやき」をつくる

■「ふるさとの家」は都市と農村を結ぶ場

 長野市の北部、旧上水内郡の西端にある鬼無里。山々に囲まれたこの地区に「ふるさとの家」のひとつ、大日方さんのお宅があります。

 家主の聰夫さんは、かつて都会の大学で物理の教鞭をとっていました。定年後に生まれ育った鬼無里に戻り、いろりのあった生家を改築。今では都会に住む仲間たちと地元農家の出会いの場になっています。屋敷前のせんぜ畑(自家用畑)にはソバが播かれているなど、ここにはふるさとの原風景が残っています。

 この日は、近隣町村だけでなく東京や埼玉、千葉方面からも足を運んでくれた方もあり、20代から70代まで、40名が大日方さんの家に集まって「おやき」づくりを体験しました。
■伝統食の「おやき」も地域によってさまざま

 「おやき」は長野県の代表的な郷土食ですが、地域によって作り方もさまざま。今回は、鬼無里の80歳のおばあさん、都会から嫁いできた40代の女性、近隣の地域のおばあさんの3種類のおやきを参加者全員がつくりました。

 それぞれに作り方のこだわりがあり、おやきの皮ひとつとっても、小麦粉を熱湯でかまかすのか、ぬるま湯でかまかすのかなど個性があります。地元の鬼無里では、今は皮にふくらし粉を入れるそうです。それぞれの作り方を教わりながら、カボチャや丸ナス、ジャガイモ、あんこを入れたおやき120個をいろりのセイロで蒸しあげました。

■農家の食の知恵に目からウロコ

 鬼無里には保存食として野菜を干して食べる習慣が現在も残っています。ナスやカボチャ、きのこなど自然と上手につきあってきた女衆の食の知恵に参加者も目からウロコでした。農村には今でもこのような個性豊かな食文化が継承されているのです。

 今後は、紅葉のいろり談義・新そば粉を使ったそばうち(10月)、晩秋のいろり談義・ふるさとの味しみ大根づくり(1月)を大日方邸で予定しています。ご期待ください。