藤沢かぶ(ふじさわかぶ)

色・形・味のよさは焼畑の恵み――山形県鶴岡市

(写真家 浅賀進氏 撮影)

調査地:山形県鶴岡市藤沢地区
産地:山形県鶴岡市藤沢地区(焼畑地)、下川地区(砂丘地)
生産量:藤沢地区 4〜5t、下川地区 4〜5t
生産者:藤沢地区 農家4戸、下川地区 生産者1名
流通・購入ガイド
  • 生産量が限られるため、生の藤沢カブは小売で販売されていない。
  • 大部分は鶴岡市内の漬物屋「本長」により、漬物として同店舗や通信販売で売られているほか、市内のスーパーや観光土産物店で販売している。
  • 漬物以外で藤沢カブを食べさせる店として、山形県東田川郡櫛引町のイタリアンレストラン「アル・ケッチァーノ」がある。
    入手先に関するお問い合わせ
    つけもの処 株式会社 本長
    山形県鶴岡市大山1丁目7-7
    TEL 0235-33-2023 FAX 0235-33-0878
    調査内容のお問い合わせ
    山形在来作物研究会(幹事・江頭宏昌えがしらひろあき
    〒997-8555 山形県鶴岡市若葉町1-23 山形大学農学部
    TEL 0235-28-2852 FAX 0235-28-2852

  • 魅力、利用、継承

    甘酢漬け:地元鶴岡の漬物店で加工・販売されている。独特の辛みとパリパリした歯ざわりがおいしさを引き立てる。

     太さが2〜3.5センチで、長さが10〜13センチ、色は上半分が鮮やかな赤色で、下半分が白と美しい。在来かぶの宝庫である山形県にも、こういう小型の細長い赤かぶはほかにない。食べ方はかつては、ザク切りした渋柿と1本ままのかぶを交互に塩で漬ける伝統的な「アバ漬」であったが、近年は甘酢漬が主流である。薄皮でパリッとした歯ごたえ、上品な甘さと辛さが、藤沢かぶの身上で、このような持ち味は焼畑栽培でないと得られない。また、砂丘地でつくられている藤沢かぶは形と肉質のしまりのよさと辛味が強いのが特徴で、たまり漬けにも加工されている。

     明治時代ころから藤沢地区に入ったとされ、杉を伐採した跡地を山焼きして栽培されてきたが、昭和の終わりにいったん絶滅の危機に陥った。集落でただ一人栽培を続けていた人、そのタネを受け継いだ人、保存を願う報道関係者・漬物業者などの協力と連携で、藤沢かぶの焼畑が復活し、二地区で栽培が続けられている。タネは自家採種である。

     焼畑は、夏の猛暑の中でのヤマハライと火入れ、そのあとの播種から収穫と、急傾斜地での厳しい労働をともなうが、自然の循環にそった技術と儀礼に満ちた貴重な農耕文化である。