ニゴロブナ

琵琶湖の環境再生と伝統的食文化ふなずしの継承――滋賀県琵琶湖周辺

子持ちのニゴロブナを使ったふなずしは最高級のもてなし料理
(写真提供:阪本屋)

調査地:琵琶湖周辺
産地:琵琶湖周辺
生産量:漁獲量約29t(平成15年)
生産者:不明
流通・購入ガイド
  • ニゴロブナはそのほとんどが「ふなずし」として利用される。家庭で漬ける人のためには、塩切り(エラや内臓をとって塩漬けしたもの)で販売されることが多い。漬けた桶の状態での販売も。「ふなずし」は専門店、川魚屋店頭、インターネットでの通信販売で入手可能。価格は魚の大きさや品質により多種多様だが、1匹3000円〜10000円くらい。
    入手先に関するお問い合わせ
    ふなずし
    ・株式会社阪本屋
    TEL 077-524-2406 FAX 077-526-2404
      ほか、多数
    調査内容のお問い合わせ
    (社)農山漁村文化協会

  • 魅力、利用、継承

    職人の技が受け継がれている
    (写真提供:阪本屋)

     ニゴロブナは琵琶湖の固有種。沿岸のヨシ帯で産卵、孵化し、成長につれて、沖合いに移動する。2〜3年で全長25〜35cmになり漁獲される。

     古くから、琵琶湖に面した湿田地帯は上質の米産地。この米と琵琶湖の魚とが地域の食文化を形づくってきた。その中でも、かつてはほとんどの家でつくられていたのが「ふなずし」だ。海水魚に比べて鮮度が落ちやすい淡水魚を、獲れたとき塩漬保存しておき、必要に応じて塩出しして、ご飯と漬けて食べるのがこの地域の食の技である。ニゴロブナと米飯がじっくり乳酸発酵してかもし出す、特有の酸味あふれる香り、魚卵の色鮮やかさ。近江のふなずしは一度食べたら、その複雑で奥深い味わいが忘れられない。中でも、春4月、抱卵した雌を刺し網で獲って使ったものは最高のもてなし料理であった。

     江戸時代膳所藩お抱えの御用料亭が創業した大津市の(株)阪本屋は、鮒の選び方に始まる厳格な製法を代々伝えている。

     近年、湖の環境と生物層の変化の中で、ニゴロブナの漁獲も減ってきたが、平成11年に始まった琵琶湖総合保全計画などにより、回復の兆しが見え始めている。琵琶湖沿岸の環境と生物と食文化の絶妙なつながり、その保全と継承が期待される。