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食べ物選びは「命」の問題

小川雅子(農業者)/新潟県

田んぼで「科学者」になる

 二番目の発表は、新潟県の小川雅子さんの「食べ物選びは『命』の問題」。20年以上も前から始めたという「小川塾」の活動を皮切りに、農業の大切さをわかりやすく伝えることを続けていらっしゃいます。

 「私は、『食べ物には物語がある』こと、『自分の力で食べ物を選べるようになること』を伝えたいと思っています。食べ物のことがわかることで、生活がどのように変わるか、そのことを実感してもらいたいのです。
  小・中学生に私の田んぼに来てもらってお米の勉強をしてもらったり、出前授業をしています。最近ではじいちゃんばあちゃんに『あなたたちの時代です! あなたたちの知恵が今、必要な時なんですよ』と伝えております」
 という言葉とともに映し出されたのが、田んぼの中で子どもたちに語りかける、小川さんの写真。

田んぼの中で「今日は科学者になるんだよ」と子どもたちに語りかける(当日のスライドより)

小川雅子さん

 「私の田んぼにきてもらった子どもたちには、『今日は田んぼで科学者になるんだよ』と話します。『科学者』という単語を使うことで、今までの農業に対するイメージとは、違った視点をもってもらうためです。すると、子どもたちの目が(意識が)変わってきます。
  なぜ一枚の田んぼに米を作っているところ/いないところがあるの? と疑問を感じる子や、田んぼにはこんなにたくさんの生き物が棲んでいることに気づき、ここはただ米をつくっている場所じゃないんだ、ということを実感したり、田んぼが社会とつながっていることに気づいてもらいます。

 そこで初めて私は、日本の食べ物の現状を話します。日本の食料自給率が今40%しかないこと、残りは外国、しかもアメリカやブラジルなど偏った国からの輸入に依存していることがどれだけ危ういことかを伝え、最後は日本の農業を支えるのは食べる人の食べ物の選び方であることを、わかってもらいたいのです」

出前授業で「食料自給率」の意味を考える

出前授業のようす(当日のスライドより)


 小・中学校で出前授業をされるときでも、食べ物を多角的な立場で捉えるための試みをされています。 
「たとえば子どもたちが作付けから収穫までしたダイズで豆腐づくりをしてもらったときは、スーパーの豆腐の一丁にも多勢の人がかかわっていることや、ニガリという添加物を入れて初めて豆腐になること、さらには『遺伝子組み換えダイズを使っていない』と書かれた表示にはどんな意味があるかといった、社会・科学にかかわることまで、子どもたちの視点が広がるように話をします」

 

 また、食料自給率を考えてもらうために「輸入食料が止まったら」というテーマの学習にも参加されています。
  「学校に泊まり込んで皆で食事をしてもらったのですが、カロリーベースで一日の栄養をまかなおうとすると、給食から翌日の朝まで、主食はすべてサツマイモになります。
 はじめは大喜びで食べていた子どもたちも、最後はさすがにゲンナリしていたようですが(笑)、おかげで外国からの食料が止まるというのはどういうことかが、よくわかってくれたようです。  
  それを発端に、地域の農業や自然の中の食材について見直してほしいこと、山菜・木の実などを食べる知恵が、昔の生活にはあったことなどを話しました。
 1年間の反省会には保護者の方も参加されました。あとに戻ってきた感想は、『自分の周りの農業を考えるきっかけになった』というのが多かったですね」

 最後は添加物の話。
  これにはのちほど会場から「食品添加物は、法律で定められた基準に基づいて使われているはず。一概に悪いと決めつけるべきではないのではないでしょうか」と質問がありました。
 小川さんは
  「添加物がいいか悪いかということを、いいたいのではないのです。使用量は法律で規制されている(むやみにつかわれているわけではない)という情報も伝えています。同じことは農薬にもいえます。添加物も農薬も作る人と食べる人の距離が短ければ少なくてすみます。地産地消が大切なことはこのことからもわかります。
 外国に食料を依存するのがいかに危険なことであるか、という現実を伝えていかなければいけないと考えています。それを説明することが、農業者としての責任だと思っています」と、作り手の側からみた食べ物のことを、真摯にお話されていました。