開会あいさつ
講演/中橋義幸
福岡県/福岡女子大学しょくぼねっと
佐賀県/オリザジャポニカクラブ
長崎県/西海市地産地消地域推進協議会
熊本県/熊本県食生活改善推進員連絡協議会
大分県/本匠農林水産物生産組合「あぐり」
宮崎県/三者会
鹿児島県/かごしまの“食”推進員
意見交換会
 
 


 
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学校給食に季節の野菜をとどけて

磯川りえこ/本匠農林水産物生産組合「あぐり」

地域の子供たちにもっと、季節の地元野菜を

発表をする磯川りえこさん

 直売所に出荷する生産組合に所属する磯川りえこさんは、地域で栽培した季節の野菜を学校給食に届ける取り組みを、平成16年から始めています。
 これには学校関係者と生産者、お互いの協力があって初めて成り立つことなので「思いあれど」実施は難しい試みですが、そもそも「生産者から声があがってきた」と言います。

 理由について「幼稚園、小中学校と、全部で160食ぐらいの小さい規模だからできることなのかもしれませんが」と前置きしながら、
 「野菜を直売所に出荷するうち、もっと野菜をいろんなところに、地域に、もっともっと出せたらいいなと話すようになりました。
 また、季節に取れる野菜を季節に食べるのが私たちの生活では常でしたけれど(本当に小さな田舎なので)、給食は少し離れているのではないかという心配も、みんなの中であったと思うんです。そこで、もっと給食に地元の野菜を食べてもらおうという声が、生産者組合の中からあがってきました。役場の方のリードのもと、学校側と生産者組合とでこの取り組みが立ち上がりました」と経緯を説明されました。

 生産組合に属する100人ほどのメンバーの中から希望者をつのり、現在は生産者10名が参加。構成は、振興局の職員が1名、生産組合の事務局、そして学校栄養士の先生、そして生産者となっています。

はじめは「ついうっかり!」も

 毎月1回の会議が運営の基本。学校栄養士の方がたてた献立に従い、生産者が自分の畑を見て「何と何の野菜は私が出します、何と何は誰々さん」と調整しながら、出荷する野菜を決めていきます。そのとき生産者側から使って欲しい野菜の情報をだしたり、栄養士側から「こんな野菜はできますか?」とリクエストが来るなど、話し合いをします。

 大変なのは、そこで決まった「出荷表」ができてから。給食が始まる1カ月ほど前に計画を立てる都合上、天候の加減で「あ、そうもいかなかった、足りなかった」とか「出来そうもないわ」ということが、当然起こってしまいます。それを生産者が連絡を取りながら、決まった野菜はできるだけ出荷ができるようにします。

 でももっと緊張が走るのは、出荷当日のこと。
 「私ももうすぐ60が近くなってきておりますけれど、60過ぎた人がほとんどですので、やはりどうしても『ついうっかり』『ついつい』、本当に気をつけていないと、忘れてしまったということがあるんです。
 前には私の近くに住む生産者が、出荷するはずのニンジンをうっかり、本当についうっかりなんですけど、カレンダーにしっかり大きな字で「ニンジン」って書いていたにもかかわらず忘れてしまい、『磯川さん、(ニンジンが)届かないんです』と連絡が入ったことがあって。
 で、私も一緒に手伝ってすぐ畑で掘って、洗って、そのまま給食室に持っていき…、近いおかげで10分か15分もかからず、なんとかギリギリ間に合わせたこともありました。
 だから給食室から出荷当日の朝、電話が入ると、『えっ、もしかして!』という緊張感が走るんです」
 ほかにも、やはり「ついうっかり」が起こってあわててスーパーで買うことになったり、出荷できないことが間際になって判明して困ったりと、試行錯誤を繰り返してきました。その度ごとにみなで「こういうことは困るから」と話し合いをしては進めてきたといいます。

交流会の楽しいひと時

 平成17年の3月には中学校の生徒との交流会をひらき、「私たちがこういう野菜を、こんなふうにつくりました」と、生徒に直接話す機会をもちました。「どういうことに気をつけて作ったのですか?」「どんな保存をするのですか?」など、いろいろな質問を受けたり、最後は一緒に給食を食べ、とても楽しいひと時を過ごしたそうです。
 その後、家に帰った子どもたちが家族に話したり、お母さん方からは「ああ、地域の野菜をこういうふうに給食に使ってくれていたんだ」という声を、よく聞くようになったといいます。
 「毎月1回・会議に最低でも2時間を費やして野菜の売り上げは千円に満たないときもあるんですが」と言いながらも、「生産者としては、できるだけ畑の野菜と給食の献立が近くあって、出荷できる野菜がもっともっと多くなれるように、私たち自身も勉強していかなくてはいけないなと思っています」と結び、生産者が直接手応えが感じられる喜びがうかがえる発表でした。