開会あいさつ
講演/中橋義幸
福岡県/福岡女子大学しょくぼねっと
佐賀県/オリザジャポニカクラブ
長崎県/西海市地産地消地域推進協議会
熊本県/熊本県食生活改善推進員連絡協議会
大分県/本匠農林水産物生産組合「あぐり」
宮崎県/三者会
鹿児島県/かごしまの“食”推進員
意見交換会
 
 


 
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意見交換会

中橋さんの講演と7組の発表がすべて終わったところで、全員が参加しての「意見交換会」がありました。

登壇者のみなさん

活動のむずかしさ

 まず中橋さんが「非常に皆さん熱心に地域で活動されてるな、ということが感じられました。そこでききたいのですが、たとえば福岡『しょくぼねっと』のお二人、ユニークな食育カルタを使っての活動をされてますけれども、活動する側と受ける側で温度差というのはないんですか?」と問いかけがありました。

 それに清水さんと田中さんは、「大体どこも熱心に取り組まれているから、私たちが呼ばれるので…温度差といいますか、求められる食育のレベルの高さと、それについていけない自分達の専門性の低さというのがすごく如実に現れたことがあって。そのときはボランティアに行ったメンバー全員が落ち込んで帰って、『あぁもっと勉強しなきゃ』となったことがありました。
 そこで自分達がしっかり自信をもって伝えられる知識をもちたいと、食育カルタには小話などをつけました」と、自分たちの経験を活動の改善点につなげたことを話してくれました。

 また白濱さんは、佐賀県内で食のネットワークを組織化した時の話として「やはり自分達が実践してやっていくということよりも、外部から講師をよんでただポンと講習会みたいな形になってしまうのか、実際に体験などを盛り込んでやっていくのか、温度差があるのを感じております。先日、服部幸應さんを交えたサミットがあったんですけども、『親を子供を通じて引っ張り出さなきゃいけないね』といった話も出ていました。それを親の責任として、私たちが子どもたちと一緒に気づいていかなければならないとも痛感しております」と、県内の活動をそろって充実させていくことの困難についても話していました。

「食育」をどう伝えるか

 郷土食の掘り起こしをしている川添さんからは「食」の大切さを伝えるむずかしさについて話がでます。

「私はミカン農家をやっておりまして、夏の一番暑い盛りの作業に(日頃は農業をしていない)私の子ども夫妻を手伝わせます。食べ物のありがたさは、自らその現場に立って作業して初めて、本当にわかってくるんですね。
 それと私の畑から直接買ってくださるお客さんで来たいという方には、まずミカンの木を、土を、その作業を、見ていただきます。中橋さんもおっしゃっておりましたけど、とにかく現地に足を運ばせること、私達は農業者の使命としてやっていかなくちゃいかないなというのを、常々、ひしひしと感じております」。

質問する竹熊宜孝さん
(菊池養生園)

 ここで会場から手が挙がります。発言は、竹熊宜孝さん(菊池養生園)から。
「今日の発表、ずっと聞きました。結論から言ってね、よかったと思います。で、今おっしゃった『食農教育』ということ、あれが大事なんです。みな勉強しますよ、色んなことをやってる。だけどね、自分で田んぼや畑をしたり、魚を料理したとしても、残念ながら農業ということを広く捉える機会がないんですよ。

 願わくば、(少なくとも若い学生二人は将来指導者になる人だから)、いっぺん断食ばしてください。食の専門家は断食するとね、いや3日4日言わんでもよか。1日でもいい。そうすると命が見えてきます。その教育も食育ですよ。

 食育というのは食わせること、朝食を抜かないようにとか、もう『食わせろ食わせろ』というのが当たり前になっていますけど、これとは別の意味で、食わないと命が見えてくる」

 さらに続けて「郷土料理っていうのはおいしいです。ただ郷土料理っていうのは、おじいちゃんおばあちゃんたちが残してきた文化なんです。そしてそういう方たちは、お砂糖が大変好き。非常に貴重だったお砂糖が入ると「うまかばい」って。
 それはそれでいいんですよ。だけど色んなところで、お砂糖入れないとうまくないというのが頭に入っちゃうとですね、もう砂糖入ってないと「うもなか」とくる。そこで聞きますが、フランス料理は砂糖をお使いなんですか?」
と、今度は中橋さんに問いかけます。

 「多少は使用します。特にお菓子は。料理はあまり使わないですね、基本的には化学調味料もほとんど使わないです。ブイヨンも全部素材からとってやりますんで」との答えに、竹熊さんは、
  「砂糖もデザートのときはしょうがない、だけど、料理にそれを入れるのは。たとえば日本料理。まずそのままご飯に砂糖かければ寿司、ビフテキに砂糖をかければすき焼き。魚も煮しめもガンモドキも精進料理が一番砂糖を使います。こんな国っていうのはないですよ。
 そういうことも含めて、今から食育をやらなければいけんと私は思います。
私は中橋さんの料理を食べたことがあっとですよ。去年でしたけどね。あれは砂糖が入っておらんだったです。おいしゅうございました (笑)」
と、食育の伝え方について、会場とのやりとりが見られた場面もありました。

「食と農」の関係を見直す

 竹熊さんの発言に触発されたのか、発表者の間からは、「食と農」の関係を、発表者自身が見直したいという発言も続きました。

 たとえば磯川さんが「まず自分が農業をしっかりと経験してものをつくる大切さを思わないと、思いが伝わらないのではないかと思ってます。だから私も、一年間のローテーションを組んで、今冬の時期はシイタケのこま打ち、春になったらお茶摘み、夏になったらナス、秋には米の収穫といった、一年の仕事を通じ食に活かしていきたいです」と言えば、

 萩元さんも「今度地域で大きな畑を何人かで借りまして、農を自分の手で作り出していく試みを始めようとしているところです。そしたらまた生産をする気持ち、ほんとうに野菜を作る気持ちになって、教えられることもあるんじゃないのかなと思っています」と答えていました。

 ほかにも「地域版食事バランスガイド」が、地域の特産物を使った料理をじょうずに取り入れたことの説明をする青木さんの発言や、命の大切さを知っていただくことから食育が始まるので気持ちも新たに思えたという武田さんの発言もあり、活発な意見交換会となりました。

 最後に、司会を務めた中田哲也 九州農政局消費生活課長の「地域でできるところから実践すること、さらにどんどん交流することで広がりを見せることが食育にとって一番大事なことと思っております」と今後の発展を期待した言葉で、会が終了しました。

司会の中田哲也 九州農政局消費生活課長