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伝えていきたい「ふるさとの食」―日々の生活の中で―

遠藤光智子/女性農業士

子どもと過ごす、しいたけ農家の一日

発表をする遠藤光智子さん

 秋田県横手市で農業を営む遠藤さんは、稲、ダイズ、シイタケ栽培など幅広く作物を手がける専業農家です。10年ほど前から、東京や大阪、仙台などから、修学旅行の中高生の「農業体験」を受け入れています。朝9時に対面してから夜19:30までの丸一日、子どもたちとともに過ごします。
 「初めのころは自分へのご褒美の1日としていましたので、いろいろなところへ連れて行ったのですが、かえって疲れさせてしまって失敗したので、今はほどほどにしています」と、一日の日程を話してくださいました。

 

<一日のスケジュール>

時間と仕事 子どもたちのようす
9:00 対面 本当に嫌々という感じで下をむいている子どもたち。うちに乗せていく車の中で「おはよう。おばちゃんのうちに来るの、嫌だったでしょう」と言うと、「うーん。ホント」という返事が戻ってきたり、「昨日は眠った?」ときくと、「ぜんぜん寝てない」とか。でも時間とともに子どもたちも打ち解け、作業をしながら笑顔を見せ、イキイキとしてきます。
9:30〜 しいたけ作業  
10:00 休憩 必ずコンビニに連れて行きます。「へえ、こんな田舎にもコンビニがあるんだ」とか言われるんですが、「気分転換。休憩も仕事のうちだよ」と連れて行きます。
11:00 しいたけ作業  
11:30 昼食・昼休み お昼は、おにぎり、卵焼き、豚汁、野菜の油炒めなど、軽いものにします。あきたこまちを使ったおにぎりは、塩だけで握ります。
「この下の部屋を全部使っていいから自由にしてね」と言って、いったん子どもたちから離れます。あんまりくっついていると、子どもたちも息抜きできないような気がして、マンガとかいっぱい子どもたちのものを用意して、自由にさせています。そうすると、昼休みはトンボやカエルなどを捕まえたりして、外でキャーキャー遊んでいます。
13:30 しいたけ作業  
15:00 休憩 さくら荘や大きな川、町内見学ということで、南部シルバーエリアなどを連れてまわります。

16:00 しいたけ作業

 

作業を1時間ほどやって、やめます。そのときに必ず、「よくがんばったね。おかげで助かったよ」と言います。
17:00〜19:00 夕食準備・夕食会 5時から7時までは夕食準備と、夕食会。じいちゃんばあちゃんの話に、大阪から来た子どもたちは「ぜんぜん言葉がわからない。英語かな」とか、「いや、フランス語だよ」「どうして」「だびょーん、そだびょーん って言うから」と言うと「なるほど」って。
19:30 お別れ 朝とはぜんぜん違う顔で帰っていきます。おみやげは米1升と、シイタケ。「一生の付き合いだよ、うちのシイタケは、おいシイタケ、うれシイタケ、たのシイタケだよ」と言って渡します。
渡すときに必ず、「私たちはずっとこの土地で農業をやっているから、何か人生で疲れたり、彼氏ができたとか、何か休みたいなというときはいつでも遊びに来てね」と言ってお別れします。

 家に帰った子どもたちから「帰ってから、スーパーのシイタケとか野菜を見る目が変わった」とか「秋田の天気予報が気になる」と手紙がくることも。

 「作業効率でいえば私の1/4日分ほどですが、労働力としてみているわけではないんです。本当に、それ以上の感動を子どもたちからいただきます。1人1人が違うし、子どもたちと楽しい1日を過ごせればそれでいいし、農家の流れはこういうものだということを子どもたちが感じてくれればいいなあという気持ちで受け入れています」

毎日が食育

 「私はずっと料理教室などであちこちへ行くのですが、得意な料理はトラ皮巻きや山菜おこわ、三杯もち、桜もち、漬け物などです。原点は、祖母が小さいころ、料理好きで教えられたことが今に活きているように思います。

 中学生が来たときに、焼き餅などをつくって食べてもらったら、ひとこと『甘い』と言いました。そこで私が『昔は秋田県では砂糖=おいしいといったものなの。甘ければ甘いほどおいしい、贅沢な料理だったんだよ』などと説明したら、『へぇ、この三杯もちはうちのおばあさんもつくる』などと言って、理解をしてくれたように思います。

普及センターの先生方や、食育担当の方から、指導・活動の場をいただいて吸収することで、農業にますます意欲が出てきました。本業の農業を軸に活動していることが、結果的に食育ボランティアになっているということに喜びを感じます。日々の生活、毎日が食育だと思います。食事をしている人は、食育もできると思います」とまとめ、農家だからこそできる「食育」の意義をお話しされていました。